いつかの#家出少女3
ジブリの映画でみたような。白いお面をかぶった。黒くて得体の知れない生き物。
周りのものを鵜呑みにして、体が汚く太ってゆく。
半透明に透けるノアはぐちゃぐちゃに何かを取り込み過ぎたみたいだ。
全部がまざって汚く濁っていた。
何度鏡をみても、自分の色だけ見えないの。
歌坂はノアの背中を摩るだけだった。
完全に頭がおかしいと思われているだろう。
ノアの目は血走り、ゼイゼイと息をしていた。甲高い声を上げる。自分には何もかも聞こえない。どんなに叫んでも、苦しさはどかない。
この苦しい夜が明けて、はやく朝になってほしい。何事もない日常に、つまらない授業を受けて平穏な空気を吸って。
歌坂くんの色がほしい。ちょうだい。
大丈夫です。この人病気なので。もう少ししたら落ち着きます。
戻れるならあの日に
見た。ここは地獄だ。
夜迎え、朝を待つ。
素行の悪い男と、
変なところに空いたピアス
心理、倫理、脳裏、有利
君がのぞむなら
ぜんぜん響かない
出会い咲いた、一輪の花のように
全てを狂わす花がノアに咲いた日があった。