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第2回市民対話を開催しました

こんにちは、すさきのすづくり編集部です。
2024年9月28日土曜日の午後に、須崎市の図書館等複合施設の運営を考える市民対話の第2回を開催しました。平日の夜に開催した前回とは曜日と時間帯を変え、15名の皆さんにご参加いただきました。前回より女性の割合が多く、今回はじめて参加した方も3分の1ほどいらっしゃいました。

写真:コルクボードに市民対話のポスターが貼ってあります
会場は前回と同じ、交流ひろばすさき

すさき流の運営を考えよう

前回に引き続き、アカデミック・リソース・ガイド株式会社(arg)代表の岡本真さんが対話の進行を務めました。

写真:図面を手に、マイクを持って話す岡本さん
運営形態探求の支援を行なっているargの岡本さん

須崎市で整備を進めている図書館等複合施設では、図書館だけでなく、大きな屋外ひろばや一時預かりを含むキッズスペース、多目的ホールなどの機能を備えています。これまで須崎市になかった多世代が集えるこの複合施設を、どのように運営していけばよいでしょうか。

写真:施設の図面を見る参加者

岡本さんは運営形態のプランを短期・中期・長期の3つに区切ったうえで、開館後3年までの短期プランでは市の直営を基本としつつ、「市民のみなさんと協働で施設を運営していける関係づくりをすることが必要」と話します。

行政と市民が両輪となって運営を行なっている好事例として、伊丹市立図書館ことば蔵が紹介されました。ことば蔵では、年間200回を超えるイベントのうち、約半数を市民が主体となって行っています。月に1回開催される「交流フロア運営会議」は誰でも参加できるオープンな会議で、参加者同士でやりたいことを実現する方法を議論します。企画から資金集め、運営まで市民が行うイベントはどれも大好評で、伊丹市外から会議に参加する人もいるほどです。

伊丹市立図書館ことば蔵の交流フロア運営会議
当日の投影資料より

「伊丹市と須崎市では人口も財政状況も異なりますが、豊かな街だからできること、というわけではありません。他の自治体でうまくいっているやり方をそのまま真似るのではなく、“すさき流”の方法を考えてみましょう」と、岡本さんは呼びかけます。須崎の図書館等複合施設がどんな場になるとよいか、参加者同士で意見を出し合いました。

みんなでも、ひとりでも過ごせる場

新施設では、エントランスの「集いのひろば」や多目的ホールなど、市民がさまざまな活動で集えるスペースが計画されています。一方で、「勉強や読書に集中したり、ひとりでゆっくり過ごしたりできる場でもあってほしい」と参加者の一人が話します。

写真:メモを片手に話す女性
香美市立図書館かみーるでの体験を話してくださいました

学生時代に図書館にこもって試験勉強をした経験のある方も多いでしょう。新図書館にも自習室はありますが、試験前には席が足りなくなることも想定されます。また、自習室ではなく好きな場所でじっくり勉強をしたい人もいます。

席の長時間利用については、制限時間や有料席を設けるという考え方もあります。岡本さんは「ある自治体では、試験期間中は学生の長時間利用を認めています。ルールで縛りすぎず、利用者同士“お互いさま”でゆずり合って使うという考え方もあります」と紹介します。「高齢者、子育て世代、学生、社会人など、時間帯によって自然と利用者層が入れ替わっている」というケースも。その施設にどんなルールが必要かは、実際に利用する人が判断することの大切さがわかります。

目的がなくても立ち寄れる場

別の参加者からは「本を借りたりイベントに参加したりといった目的がなくても、ふらっと気軽に立ち寄れる場になれば」という思いが語られました。須崎市立図書館長の山﨑さんは「何をすれば図書館を利用してもらえるだろう?といつも考えていましたが、ただそこに居たい人にも居心地のよい場所にできることを考えてみたい」と応えます。

写真:ショートカットの女性が手振りを加えて話しています
須崎市立図書館長の山﨑さん

外構空間のルールづくりと可能性

おおきな広場のある外構空間の使い方に関しては、こどもたちの遊び方やペットの立ち入りなど、心配事がいくつか挙がりました。「禁止のルールをたくさんつくるのではなく、利用者にマナーを呼びかける方法もあります」と岡本さん。市民対話は一問一答で答えを出す場ではなく、参加者同士の対話から“すさき流”の運営方法を探る場です。ぼんやりとした不安や期待も、持ち寄ることで解決策や実現方法のヒントになります。

写真:マイクを持って話す男性の横顔

また別の参加者からは、構内にキッチンカーを出店するアイデアが出てきました。さまざまなキッチンカーが入れ替わって出店すれば、利用者も飽きずに楽しめます。店舗をもたないお店のチャレンジの場にもなりそうです。

中心地外からのアクセスと“地域見守り”の考え方

新しい図書館等複合施設は、須崎市西糺町の「ゆたか跡地」を建設地として整備を進めています。須崎市中心市街地からも周辺都市からもアクセスの良い立地ですが、中心地外に住む人も身近に利用できる方法はあるでしょうか。市内の公民館を図書館バスが巡回するアイデアや、曜日ごとに各地区の人が集まるアイデアが出ました。

写真:メガネをかけた女性がマイクをもって話しています

本を借りるだけでなく「みんなが集まっている図書館へ行きたい」というニーズもあります。「今は自分で車を運転できるけど、免許を返納した後にも図書館へ行ける仕組みがあるといい」という声も挙がりました。お隣の佐川町のさかわぐるぐるバスでは、2024年12月に開館する図書館前に新しくバス停が設置される予定です。近隣同士で誘い合って「積んでいく(土佐弁で「同乗させていく」の意)」のもよいでしょう。

写真:笑顔で話をする女性

市の直営で出来ることには限りがありますが、地域住民による自治組織(地域自主組織)に運営業務の一部を委託するという方法も考えられます。

地域自主組織とは…
年代や性別、活動が異なる様々な組織や団体が地縁でつながって連携を深めることによりそれぞれの長所を活かし補完し合い、地域課題を自ら解決して、自分の地域の振興・発展を図る取組み。

浦ノ内地区『地域自主組織』の取り組みより

どの地域でも保育士の確保が難しい中で、一時預かり機能をどのように運営できるだろうかという問いに、岡本さんは気仙沼でのエピソードを紹介します。「気仙沼のこどもたちは、家族以外の大人に抱っこされ慣れています。漁業のまちに続く“地域見守り”の文化があるからでしょう」
地域の暮らしの豊かさを支えるには、「自分たちのまちのことは自分たちでやっていく」という自治の意識が大切だと感じられました。

写真:手を広げて参加者に向かって話をする岡本さん

参加者ひとりひとりにマイクを回しながら、施設の具体的な使い方について議論の進んだ第2回の市民対話。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。レポートを読んでくださった方も、何かやってみたいことやアイデアは浮かんだでしょうか。ぜひ今後の対話の場でお聞かせください!

次回の市民対話では、こども・若者の声をみんなで聞く会を予定しています。主役はこども・若者ですが、大人の参加も歓迎です。詳細が決まり次第、改めてお知らせします。

写真:窓ガラスにキャラクター(しんじょうくん)のシールが貼ってあります

次の記事では、市民対話でも話題になった伊丹市立図書館ことば蔵の視察レポートをお届けします!