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自作IoTシステムの構築 基礎編0:はじめに

自作IoTシステムの構築 基礎編』では、私自身の経験をもとに、IoTデバイスを自作するために必要な知識の全体像と、各要素の選択肢や選び方を整理して解説しています。

第0回として、IoTシステムを自作する意義についてまとめます。IoTシステム導入を考えておられる方の参考になれば幸いです。


■ なぜ「現場」にIoTが有用なのか?

私は、現場が抱える問題を解決する手段の一つとして、IoTは非常に有用だと感じています。まずは、その理由を考えてみたいと思います。

1つ目は、現場を、「感」ではなく「数値」で捉えることができるようになることです。感で捉えていると、判断が曖昧になったり、熟練技術者でしか対応できないということが発生します。数値で捉えることで、数値に基づく判断が可能となります。

2つ目は、遠隔で現場を知り、遠隔で判断できるようになることです。従来は、現場を知るために現場に行き、現場で判断する必要がありました。言わば受け身の働き方でした。現場をインターネットに繋げ、得られた数値をクラウドに飛ばすことで、「遠隔で得られたデータに基づいて現場に行く」という、能動的な働き方が可能となります。

3つ目は、現場に行く回数を削減できることです。本当に必要なときだけ現場に行くことで、より本質的な仕事に時間を割り当てることができるようになります。

■ なぜIoTシステムを「自作」するのか?

次に、なぜ「自作」するのかについて考えてみたいと思います。

1つ目は、現場を知りたい(=IoT化したい)と思ったとしても、実際には現場ごとに多種多様なニーズがあり、必ずしも既存IoT商品では解決できないからです。

2つ目は、自作できる環境が整ってきているからです。IoT向け通信の普及、安価なマイコン/通信モジュール/センサーの普及、プログラミングに関する情報の普及、ChatGPTによるプログラミングなど、自作環境が整ってきました。プラモデルのように部品と部品を接続し、サンプルプログラムを参考にチューニングすることで、まずは動くものを作ることができます。

3つ目は、現場課題を理解している現場の人自身がIoTシステムをつくるからこそ、より速く課題解決できるからです。自分自身でつくるからこそ、現場の個別ニーズに応じた、柔軟かつスピーディーな課題解決が可能となります。

■ IoTx高知(田舎)のメリットは何か?

次に、高知にIoTを導入するメリットを考えてみたいと思います。

1つ目は、高知県(田舎)は土地空間が広いからこそ、IoTによる現場への移動工数削減効果が高いことです。なんせ、現場が遠い。だからこそ、移動工数削減効果が大きく、コストメリットも大きいと感じます。

2つ目は、生産人口の減少スピードが速く、IoT等を用いた工数削減が待った無しであることです。今後、各種インフラ設備の維持管理など、IoTの活用無しには不可能だと思っています。

3つ目は、東京(都会)と比較し、1次産業や2次産業の割合が高く、特に1,2次産業の現場改善は、高知(田舎)でやる優位性があるのではないかということです。

■ 自作IoTシステムの構築 基礎編シリーズで何を書くか?

とはいえ、IoTシステムを構築する上での要素技術の幅は広く、現場課題の明確化に加え、メカ、エレ、ソフト、クラウド・・・などの知識が必要となります。「IoTはテクノロジーの総合格闘技」とも言われているようです。

私は、IoT向け通信であるSigfoxの電波が高知県に開通した2018年秋頃から、IoTに興味を持ち始め、少しずつ手を動かしてきました。大学/大学院では機械を専攻していましたが、機械(メカ)の知識だけでは全く足りず、必要に迫られ、徐々に周辺知識を獲得していきました。これまでに得られた知識を、思考の整理も兼ね、記事にしていきます。IoTシステムを自作される方の、参考になればと思います!

次の記事では、IoTシステムの全体構成を整理します。


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