自作IoTシステムの構築 基礎編2:「電源」をどう選ぶか?
『自作IoTシステムの構築 基礎編』では、私自身の経験をもとに、IoTデバイスを自作するために必要な知識の全体像と、各要素の選択肢や選び方を整理して解説しています。
前回記事では、IoTシステムの全体構成を整理しました。
IoTシステムを自作していく上で、まず考慮したい部品要素は「電源」です。電源にはどのような選択肢があり、どのような特徴があるか、整理します。前提として、「AC100V電源が無い屋外環境下で、センサーの値を取得し、クラウドに送信するIoTシステム」を想定します。
■ 電源にはどのような選択肢があり、どのような特徴があるか?
主に、電池、モバイルバッテリー、太陽光、AC100Vの商用電源という選択肢があります。現場環境を考慮し、適切な電源を選択肢します。今回は、設置場所の自由度、耐環境性、電気容量の多さ、コストという切り口で評価します。下記図をご覧ください。
■ 設置場所の自由度
AC100Vの商用電源が使える環境下であれば、AC100Vを利用するのが最も簡単です。電池持ち等を考慮する必要がなく、シンプルです。
ただし、山間部、農地、各種屋外フィールドなど、AC100Vを利用できない環境も多いと思います。私が担当する現場の多くは、AC100Vが利用できない環境です。このような環境下においては、電池、モバイルバッテリー、太陽光が選択肢となります。
長期運用をするなら、電池や太陽光がよいです。一方、数日間等であれば、モバイルバッテリーも選択肢となります。私は、毎日現場に人が行き、人がいるときにデータを取りたい、という現場では、モバイルバッテリーを使っています。
また、太陽光の場合、上空が開けていることが必須となります。山間部などでは注意が必要です。
■ 耐環境性
屋外環境下にIoTデバイスを設置する場合、冬の寒さ、雨天、落雷などの環境を考慮する必要があります。
まず、太陽光は曇天が長期間続くことを考慮する必要があります。想定曇天日数x安全率を考慮し、バッテリー容量等を設計します。
AC100Vを利用する場合、落雷による瞬停や停電も考慮します。電源供給が失われたときや復帰時の動作を考慮して設計します。
電池は、商用電源や太陽光に依存しない給電方法であり、寒さに強い電池を選べば、耐環境性は良好と考えます。
■ 電気容量
AC100Vは商用電源から無限に電源が供給されますし、太陽光の場合もバッテリー容量次第で電気容量が大きいです。よって、IoTカメラなど電気を食うデバイスの運用にメリットがあります。
電池は電気容量が小さいため、限られた電気容量をいかに効率的に利用するかという、省エネ設計が重要になります。
■ コスト
AC100V<電池<モバイルバッテリー<太陽光の順でしょうか。
■ まとめ
今回は、「AC100V電源が無い屋外環境下で、センサーの値を取得し、クラウドに送信するIoTシステム」という前提条件において、どの電源がよいのか考えました。
電池、モバイルバッテリー、太陽光、AC100Vという選択肢を、設置場所の自由度、耐環境性、電気容量、コストという評価軸で評価した結果、電池駆動が最も有用と評価しました。
次の記事では、「どの電池を選べばいいのか?」について、整理します。
■参考
・自作IoTシステムの構築 基礎編の各記事を、マガジンにまとめています。