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高知生成AIラボのイベントで学んだ、AIエージェントによる「10倍速開発」の秘訣
2025年2月14日に、高知生成AIラボで「AIエージェントと可能性の拡大〜生成AIに関心のある方のためのトーク&交流会〜」が開催されました。その中で発表のあった、AIエージェントを使って10倍速でソフト開発した話などに、大変刺激を受けました。得られた学びを忘れぬうちに言語化します。
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■ 高知生成AIラボとは?
生成AIへの感度が高い方が集まる、高知県内のコミュニティです。定期的にイベントが開催されており、高知県内の生成AI活用事例を得られる貴重な場です。以下、公式サイトから引用します。
生成AIでどんなことができるのか、どのくらい効果的なのか、は手探りの部分が多いですが、それも含めて高知県でいろんな人が集まり「ラボ(実験)」的な動きをしていくグループです。 生成AIに関心の高い方が集まり、高知県内の活用事例を知り、交流や学び合いができるようなイベントを行なっていきます。
今回は「AIエージェントと可能性の拡大」がテーマであり、3名の方が事例発表されました。本記事では、その中でも、AIエージェントを使って10倍速でソフト開発した話について、その学びをまとめます。
■ AIエージェントを使って10倍速でソフト開発
株式会社PROMPT-X CEO 天辰さんから、下記noteの内容とその裏側に関する発表がありました。
このnoteは大変興味深い記事ですが、実際に話を聞くとより一層気づきや学びがありました!学びを3つにまとめます。
◎ 学び1:生成AIにコードを書かせるのではなく、仕様書を書かせよ!
特に比較的大きなソフト開発においては、生成AIでいきなりコードを書かせるのではなく、仕様書を書かせるとスムーズです。まずは、生成AIとのチャットを通し、頭の中にある考えを、仕様書という形でどんどん言語化していきます。
AIエージェントとの開発の基本は「徹底的に仕様書を書く」ことです。こちらの要件をランダムでもいいのでとにかく入力しまくると、かなり良い感じで設計書をマークダウンで整理してくれます。
◎ 学び2:チャットが長くなってきたらMD形式でまとめ、このMDを追加して新たなチャットを開始せよ!
これも学びでした。生成AIとやりとりしてくと、どんどんチャットが長くなってしまいます。頭の中の考えを整理しながらのチャットだと、不要な情報が混ざったり、話題が分岐したりすることもあると思います。
このような場合は、これまでのやり取りを、生成AIにMD形式で吐き出させ、いったん話を打ち切るとよいです。吐き出したMDを新たなチャットに読み込ませ、再スタートします。これを繰り返すことで、複数のMD形式の仕様書とこれらを読み込んだチャットが作られます。自分の考えの整理と言語化が同時に進んでいきます。
設計チャットでも長くなりそうになってきたらmdに書き出す!を徹底するのが吉です。
(中略)
私一人の頭の中にある設計意図が、AIとの対話を通じて明確な文書として残される。この仕組みは本当に画期的でした。
◎ 学び3:作成した複数のMD形式の仕様書を社内共有し、コミュニケーションコストを下げよ!
頭の中の考えが、MD形式の仕様書という形で言語化できているので、わざわざ1から他の人に説明する必要はありません。仕様書を読み込んだチャットのURLを共有するだけで、コミュニケーションを図ることができます。
一般的に、熟練技術者の思考プロセスを言語化することは大変ですが、開発と同時に言語化も進んでいることが画期的です。共有された人が仕様書を読んでわからない場合は、共有されたチャットで生成AIに聞くことができることも、生成AI時代の働き方だと感じました。
プロモーション用のAWS(EC2)へのデプロイは、正月休み明けにウチのエンジニアにお願いしましたが、ここは「あえてミーティング無し」で「Claudeのプロジェクト見て下さい」とURLを渡しただけにしてみました。私が口頭で説明するより、非常に詳細な設計書が整っているわけで、なんら説明することなく稼働環境へデプロイとGitへの登録ができたのは必然でした。
■ まとめ
以上、3つの学びを言語化しました。
一人の開発者が、生成AIと徹底的に会話しながら頭の中の整理し、仕様書を作り上げていく。この仕様書を読み込んだ生成AIとのチャットURLを共有することで、コミュニケーションコストを最小限にしていく。そして、生成AIを使いこなす1人の人間が、圧倒的な生産をあげていく。
このような時代がくる予感がしました。
また、作りたいものがあることや、作りたいというモチベーションも人間の価値になると感じました。
ちょうど今、比較的規模の大きなソフト開発を1人で実施しており、早速得られた学びを使って開発を実施してみます。
本記事では紹介しきれませんでしたが、上記事例以外にも2名の方が事例発表されました。1名の方は、社内で生成AIを導入していく中での実際の話でした。もう1名は、replitというブラウザ上で開発と実行を行えるAIツールを用いた開発デモでした。実際のデモを見て、このようなことができるのだと驚きました。生成AIを用いることでノーコードでソフト開発できる時代ですね。
高知生成AIの運営の皆さま、発表された皆さま、参加された皆さま、ありがとうございました。
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《参考》
・本記事で紹介しきれませんでしたが、AIエージェントでローカルPCを操作する事例も、可能性しか感じませんでした。
・本文中でも紹介した下記noteは、大変興味深いです。生成AI活用の重要なポイントがいくつも詰まっています。
・そして、高知生成AIラボのイベントの内容について、天辰さんがnoteを書かれています。またスライドも公開されています。