
Wio BG770Aの研究2:仕様書から読み解く電源周りの特徴
Wio BG770Aの研究シリーズでは、Seeed社のLTE-M対応IoT開発ボードWio BG770Aについて深堀りしてきます。第2回目の記事では、Wio BG770Aの仕様書から、まずは電源周りの特徴を紐解きます。
屋外IoTシステム開発において、特に重要なのは電源設計です。本記事では、Wio BG770Aの仕様書に記載された電源関連の特徴を深掘りしていきます。
■ 優れた省電力性能(待機時75μA@3.7V)

まず注目したいのは、②の待機時電流です。75μA@3.7Vとなっています。電源制御モジュールWio Extension – RTCを使った時の待機電流は1μA以下であり、これには及ばないものの、電源制御モジュール無しでも電池駆動が可能なレベルです。技術的にはLTE通信の省電力機能(eDRX/PSM)をサポートしているため、省電力を実現できているようです。これも深堀りしていきたいテーマです。
次に注目したのは③の送信時電流です。平均電流が27mAと非常に低いですね。LTE-M通信をこの電流値で実現できるのですね。ただ、処理時間が49秒もかかっていることが気になります。私が運用してきた別の通信モジュールを用いたLTE-M送信の処理時間は、10秒台のイメージです。プログラムの内容も見ながら、ここをどれだけ短縮できるか、別途深堀りしていきます。
■ 広範囲な入力電圧に対応(3.4V〜17V)

電源の入力電圧幅が3.4V〜17Vと大変広く魅力的です。17Vまで対応していることにも驚きです。これまで使用してきたマイコンの上限電圧は5.5Vだったため、アルカリ電池1.5V x 4本の運用はできませんでしたが、これであれば可能ですね。アルカリ電池やニッケル水素電池8本直列で稼働時間を延ばす事もできるかもしれません。
回路図を見ると、電源ICとしてテキサス・インスツルメンツ製の降圧型コンバータTPS62148が用いられているようです。この電源ICも深堀りしていきたいですね。
■ PHコネクタでの電源入力

このPower supplyの端子はPH端子です。電源用端子があるのも、良いと感じました。配線の抜け防止にもなりますし、USB Type-C給電よりもコンパクトに設計できます。
■ 内蔵ヒューズによる電源保護

上図は、Wio BG770Aの回路図の電源部抜粋です。USB Type-C給電もしくはPH端子から給電したその後に、2A/6Vのリセッタブルヒューズが付いています。これも非常にいいですね。
これまで、ヒューズが内蔵されていない場合は、別でヒューズをつけていました。例えば、電池→XH端子→ヒューズ→XH端子→USB microB→電源制御モジュール(Wio Extension – RTC)→USB Type-A→マイコン→通信モジュールのような電気の流れでしたが、Wio BG770Aであれば、電池→PH端子→Wio BG770Aとなり、非常にシンプルです。
■ Groveモジュールへの電源供給制御

Groveモジュールへの電源供給をソフトウェアで制御することができるようです。これもいいですね。これまで、Groveモジュールへの電源供給を制御できないマイコンを使ってきました。そのため、マイコン側でどれだけ省電力化しても、Groveモジュール側で電力を消費してしまっていました。この機能を使えば、Groveモジュール側の消費電力を0Wで運用できそうです。
■ まとめ
本記事では、Wio BG770Aの仕様書から、電源周りの特徴を紐解きました。以下のようなポイントが挙げられます。
待機時電流は75μA@3.7V、送信時電流は27mA@3.7Vと低消費電力であり、電源制御モジュール無しで電池駆動を実現できる
3.4〜17Vの入力電圧にしており、電池本数の制約が小さい
PHコネクタや内蔵リセッタブルヒューズにより、電池と直接つなぐだけで安全に電源供給可能
Groveへの電源供給をソフトウェアでON/OFF制御することができ、不要な電力消費を防ぐことができる
今回取り上げた電源周りの特徴は、電池駆動のIoTデバイスにおいて大きなアドバンテージになると感じました。次回は、通信とマイコン周りの機能に注目して深掘りしていきます。
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■ 参考
・Wio BG770Aの研究シリーズの各記事を、マガジンにまとめています。
■ 更新履歴
2024/12/06 誤記訂正