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SORACOM Discovery 2024 参加レポート

2024年7月17日に、国内最大級のIoTカンファレンスSORACOM Discovery 2024に現地参加してきました。得られた情報や気づきをまとめます。


1. 背景と目的

モノづくりのアイデアを得るべく、2024年7月17日に、東京ミッドタウン六本木で開催されたSORACOM Discovery 2024に参加しました。高知から東京へ。現物を見たり、開発者と話をさせて頂くことで得られた気づきを、自分なりに言語化します。

2. Seeed社のIoT開発ボード Wio BG770A

記事執筆現在、私は、LTE-M通信のIoTデバイスを自作する上で、Arduinoマイコンと、LTE-M Shield for Arduinoという通信モジュールを組み合わせています。ただ、LTE-M Shield for Arduinoの入手性が悪くなっており、代替部品を探していました。

展示ブースを歩いていると、Seeed社のブースに、LTE-M通信に対応した新しいIoT開発バードが展示されており、目を引かれました。下記、Wio BG770Aです!

Wio BG770Aは、マイコンと通信モジュールが一つの基板の上に乗っています。さらに64KiBのFeRAMも搭載していることから、一時的にデータを保存させておくこともできます。LTE通信の省電力機能(eDRX/PSM)をサポートしており、待機電流を75um@3.7Vまで下げることができるようです。さらに、電池駆動を想定してか、電源入力用のPHコネクタも付いています。これは使いやすそうです!

また、Arduino+LTE-M Shield for Arduinoの組み合わせで電池駆動を実現する場合、電源制御モジュールWio Extension – RTCを組み合わせていましたが、電源制御モジュールを省略し、Wio BG770Aのみで電池駆動が実現できるかもしれません。期待!

ここで、Arduino+LTE-M Shield for Arduinoと、Wio BG770Aを比較してみます。

改めて比較すると、Wio BG770Aが良いですね。5年ほど前、私自身が初めてLTE-M通信のIoTデバイスを自作した際、Seeed社のWio LTE M1/NB1(BG96)を採用しました。ただ、このマイコンボートの入手性が悪くなり、Arduino+LTE-M Shield for Arduinoに借り換えた経緯があります。以前Wioのマイコンを使ったことがあり、使いやすかったことからも、Seeed社からの新しいIoT開発ボードWio BG770Aに期待です。

ご興味ある方は、Wio BG770A公式ドキュメントを御覧ください。

3. SORACOM Flux IoTアプリをローコードで

午前中の基調講演で、ローコードで IoT アプリケーションを作ることができるSORACOM Fluxというサービス発表されました。以下引用します。

SORACOM Flux はローコード IoT アプリケーションビルダーです。デバイスから送信されたセンサーデータ、カメラから送信された画像に対して、ルールを適用し、複数のデータソースや生成 AI を組み合わせて分析/判断し、その結果を IoT デバイスの制御に反映させる IoT アプリケーションをローコードで構築できます。

https://soracom.jp/services/flux/

私は、SORACOMからの発表の中で、このSORACOM Fluxが最も面白いと感じました。ローコードかつ生成AIを組合せることができる点が良いですね。

自作IoTをモットーにしていますが、自作でできる幅がどんどん広がります。いくつかアイデアがあるので、今後作って行きたいと思います。

4. IoTと生成AIを応用した空調機器制御

最も興味を惹かれたIoT事例は、三菱電機のIoTと生成AIを応用した空調機器制御でした。

基本的な空調機器の温度制御は、設定温度と現在温度の差分から制御量を計算するものです。問題は、設定温度の調整が基本的には人の調整に委ねられていることです。三菱電機は、この設定温度調整という課題に対し、IoTと生成AIを活用した設定温度調整の仕組みを構築したようです。プレスリリースを読むと、

  • センサーから得られた環境データ(1分毎/室内温度・湿度)

  • 外部の天気情報から得られた環境データ(室外温度・湿度、日照度)

  • 空調機器の設定温度

  • 空調利用位置検知システムの情報(画像/ 室内の温度のヒートマップ、オフィス勤務者数、オフィス勤務者の位置・分布情報)

  • 感性情報(オフィス勤務者からの快適性についての定期的なフィードバック)

を生成AI(=最適温度予測LLM)に入力し、最適設定温度を出力します。この、生成AIから出力された設定温度を空調機器に入力することで、あとは空調機器側で温度制御するのだと思います。

上記仕組みの空調機器制御を実施した結果、期間平均47.92%の電力使用量削減と、平均26.36%の快適性改善効果を実現したようです。すごいっ!驚

空調機器自体の省エネ性向上や空調機器自体の温度制御向上よりも、設定温度制御の高度化の方が、省エネ効果や快適性向上効果が大きいのかもしれませんね。大変興味深い事例です。詳しく知りたい方は、プレスリリースを御覧ください。

5. IoTプロトタイピングコーナー

SORACOMの方の作品に加え、SORACOMユーザーグループの方の作品が、17作品が展示されていました。制作者から説明頂くこともでき、大変学びとなりました。やはり、自作IoT楽しいですね。

6. まとめと今後の課題

SORACOM Discovery 2024に参加し、面白いと感じたデバイス、サービス、事例を、いくつかご紹介しました。これら以外にも、面白い事例がありましたし、やはり、現地でモノを見たり、開発者と話をしたりすると、ものづくりのモチベーション向上に繋がります。これが一番大きな収穫です。

参考

・SORACOM Discovery 2024 基調講演の概要を知るにはこの記事

・SORACOM Discovery 2024 基調講演のスライドが、公開されています



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