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雑文・幻冬 小説幻冬通巻100号達成について
幻冬舎発行の文芸誌、『小説幻冬』が通巻100号を迎えた。私も、2号目が発売された時点で他社が発刊してる文芸誌と比べると随分と薄くてライトな内容だなあと思いつつも応援の意味も兼ねて毎号購入してきました(創刊号も後でブックオフで買った)。文芸誌が売れない時代に、新規に紙媒体での文芸誌を立ち上げるのは酔狂としか言えないので、出してるだけで偉い! と言いたいのだが、競合誌、例えば近年リニューアルした『小説現代』。小説幻冬と同様に、たまに芸能人を表紙に起用するなど、方向性が似通っているのですが、こちらと比べると、現代の方は純文学系文芸誌のように人気作家の新作まるごと掲載!のような企画があるのに、幻冬はそういうのがないので弱さを感じる。幻冬舎は、元々角川書店に所属していた方達が立ち上げた出版社なので、角川が発行していた文芸誌『野生時代』が電子オンリーに移行したのに対抗して、意地でも紙媒体で出し続けるのだろうか。今回の巻頭企画で、過去100号の表紙が掲載されているが、たまに坂道グループのメンバーが表紙になっていて、やはりその号は華があってよいと思う。もう毎回芸能人表紙でもよいような、、って、なんでめでたい100号発売なのに、こんな微妙な文句めいたこと言ってるかというと、今回が過去イチで薄いんですよ! 総ページ数188ページ! 総ページ数が毎回安定しない雑誌ではあるが、いくらなんでも今回薄すぎだろ!! 本来100号の目玉として用意してた作品が丸々落ちたとかあるんじゃねーかと邪推したくなるくらい薄すぎる!! 手に取って、あまりの薄さに衝撃を受けて、今回ネタにしようと思ったくらいである。せっかくの100号なのに、それらしい企画は巻頭の編集長と誌面デザイナーとイラストレーターの座談会くらいで、特集らしい特集は特に無し。創刊から休む事なく連載されている中谷美紀さんのエッセイが珍しく巻頭に載っているくらい。中谷美紀さんといえば、いまや大女優で浮世離れした感のある美人ですが、デビューは以外にも桜っ子クラブというテレビ局発のアイドルグループだった。でも、桜っ子クラブって菅野美穂もいたところだな。この桜っ子クラブの番組には、今話題のSMAPやTOKIOもレギュラー出演していた。錚々たる布陣だな。人に歴史あり! 中谷美紀さんのエッセイは、平易で明晰な知性を感じる文体ですが、遠回しなものの、なかなか辛口な意見もあったりして面白いです。100号記念もあってか、過去に幻冬舎から発売されたエッセイ集に触れているのですが、それと比べて小説幻冬の連載は全く反響の無い月もあります。と素直にぶっちゃけてて、中谷美紀さんほどのビッグネームでも、承認欲求を感じるのだなと好感を持てますね。今回のエッセイ内で「書くという行為は、人生の節々で出逢った魅力的な方々についてお伝えする手段であり、書くことでしか生きられない人間の魂の救済なのである」とあり、私もまさにその通りだと思います。
中谷美紀さんは歌手活動もしておられましたが、やはり坂本龍一プロデュースによる『砂の果実』が印象深いですね。その坂本龍一さんも昨年亡くなり、寂しい限りですが、遺された作品は今でも新たに人々に感動を与えることができるのです。今回取り上げた小説幻冬からも、新たに素晴らしい作品が生まれていく事を期待して、応援を続けたいと思います。次回もっと薄くなったら、どうしよう。