ろんり@公立高校入試の英語:実践編2(長文読解)

いよいよ長文読解の解説に移らせていただきます。
長文読解こそ、ろんりの本領発揮です!

前回の長文読解解法ポイント含め、今までお伝えしてきた内容はすべて使います。しっかり付いてきてください。

ー栃木県高校入試ー

大問3(長文)
解答手順はざっくり分けていきます。


設問の内容把握を行います。設問が大量にある場合は初めの方を把握するだけに留め、残りはサッと目を通す程度で。

まずは長文の一番上にある日本語の書き出しを読み、話題を把握。
⇒功と留学生アグスが納豆とテンペ(多分食べ物)について対話している。
⇒納豆とテンペに関する話が出てくるんだろな~。

続いて設問(1)
⇒「具体的に書け」とあるから、下線部が具体化された部分を見つけなきゃな~。

設問(2)
⇒「アグスがテンペについて説明したこと」
⇒アグスの発言部分であり、テンペが話題となる部分に答えがあるに違いない。

更に、この問題には空欄のある英文が用意されており、本文中の内容を踏まえてその空欄を埋める、というものである。こういった問題の際は、用意された英文の主語(S)と動詞(V)を見て、その英文の大体の内容(SがVした話なんだな~程度でよい)を把握したら、次は空欄の前後を踏まえて構造上、空欄にはどんな品詞の単語が入るのかチェックしてください。

こんな感じです↓

用意された英文のSとVは「Tempeh is」「テンペは」である。つまりこれはやはりテンペに関する話題なんだな、と。そして1個目の空欄の位置はそのTempeh isの後ろ、つまり動詞がisであるSVの後ろだから第2文型のCで名詞か形容詞が空欄には入ります。

そして次の英文ではVが2個目の空欄になっていて、SがTheyだから、空欄に入るのは当然動詞であり、内容的には「彼らがVする」という「彼ら」に関する話ということでしょう。ここで、theyのままでは正直言って何の話だか分からないので、はっきりさせちゃいましょう。時間はかかりませんから。theyは指示代名詞ですから、前文にtheyの指す「彼ら」がいるはずです。theyは複数形ですから指すのも複数。それはpeopleしかありませんね。よって空欄に入る動詞は「人々がVする」という話題に関するVということです。

解説として書くと長く感じるかもしれませんが、実際にやってみると秒で終わります。慣れるまではちょっと時間がかかるかもしれませんが。

以上で(2)は終わり、後は振り返らず(3)へ。

設問(3)
本文中の空欄を埋める問題だ~
⇒文と文の前後関係が分からないと解けない問題だな~。

設問(4)
⇒「具体的に書け」とあるから、下線部が具体化された部分を見つけなきゃな~。


設問の内容がなんとなく把握できたら、早速実際に解いてみましょう。
本文のどこを読んでいるのかは、段落などでお伝えします。

ちなみに、設問を解く順番はそれほど重要ではありませんが、できるだけ短い時間で終わらせたいですよね。栃木県入試は特に大問1個1個にかけられる時間が短いので、ゆったり順番通りにやってたら間に合わないかもしれません。私は基本、本文のSVを追っていくうちに設問(下線部とか空欄)にぶつかったら解くようにしています。
もちろん臨機応変に変えますけど。
そこは重要ではないと言ったように、自分の思うようにやってください。

さて、早速3段落目に設問1の下線部(1)が出てきましたね。
下線部が引かれているのはthatで、何かを指しています。その何かが具体的に書かれている部分を探さねばならないわけですが、この英文は主語がIで動詞がbe surprised(厳密にはbeのみが動詞)なので「私(功)が驚いた」ことについて語る文章です。thatは「あれ」とも訳される単語で、指示語です。指示語は日本語でもそうですが、原則前の文で出てきた内容を指すことが多いです。指示語が出てきたら、まずは以前の文から探してみてください。そしてthatは単数のものを指します。文全体を指すこともあります。一文は1文ですから、単数なのでthatで指しても不思議はありません。

と考えて前の文を見てみると、I eat natto every morning.という英文がありますね、驚いてるのは功ですから、そりゃアグスのセリフに対してだろうから大体この英文がthatの指す内容なんだな、とまあ予想はつきます。指示語より文章のほうが具体的ですから設問の指示にも沿ってます。

しかし、こんな曖昧な解説で皆さんが納得してくれるとは思っていません。
どうしてアグスが毎朝納豆を食べたくらいで功が驚くのかわからないと、これが答えだ!とは言いずらいですよね、わかります。
根拠を示します。

第3段落で下線部の引かれた英文の次の文を見てください。

どちらの文も主語は同じですが、下線部の引かれた英文は時制が現在で、次の文は時制が過去になっています。
同じ人が現在と過去の話をしているんですね。

実はこの2つの文の間には集合の論理に基づいた抽象具体関係が存在しているんです。

例えば、「日本」と「東京」なら、広いのは日本ですよね。このとき、詳しいのはどちらでしょう。「日本」は日本という大きな範囲の話であり、広すぎて何の話をしたいのかわかりずらいです。対して「東京」は、日本の47都道府県の中の東京に関する話であり、ぐっと詳しくなりましたね。高校数学では、このような同一系列の話題(単語)を比べたときに決まる範囲の大小を特に集合の大小として表し、範囲の大きい方を大集合、小さい方を小集合と呼びます。

高校1年生で習う内容ですから、中学生の皆さんに用語を覚えろとはいいません。イメージだけ覚えてください。**その集合の大小のうち、大集合は小集合よりも抽象的です。逆に小集合は大集合よりも具体的です。 **

ここでまた例えば、の話ですが、
2010年と2019年ではどちらが時間的に長いですか?
2019年ですよね。

つまり、過去よりも現在の方が範囲が広いんです。集合で言えば現在が大集合で過去が小集合になります。
よって、現在の文に対して過去の文は具体的なんです。

(これは中学生には早すぎる話だと思うので本当は省きたいのですが、理屈が曖昧になるのが嫌なのでちょっと書かせてください。高校数学において集合の論理では、「小集合ならば大集合」という因果関係が成り立ちます。逆に「大集合ならば小集合」は成り立ちません。東京は日本の都市ですから、「東京ならば日本」は適切ですが、「日本ならば東京」は不適切です。日本には北海道も沖縄もありますから、東京ただひとつに定まるはずがないからです。それゆえに抽象と具体の間には「具体ならば抽象」という関係が成り立つわけです。)

下線部の引かれた英文が次の文で具体化されているわけですから、次の文を読めば驚いたことについて具体的に述べてくれているはずです。

じゃあどうしてここは解答にはつかわないの?と思うかもしれませんが、今回はhear thatのthatに下線部が引かれてますから、聞いた内容について答えなければなりません。なので、功本人が述べたことについて書いても、答えにはならないのです。
しかし、もし下線部がthatでなく文全体に引かれていて、設問が『なぜ驚いたのか具体的に述べよ』などであれば解答には使わなければなりません。先ほども説明したように、因果関係がありますから、驚いたという結果を導く原因として使えるのです。

そんなことはさておき、具体化された次の文を読んでみましょう。
「私は、納豆の臭いのせいで、多くの外国人が納豆を好きだとは考えていなかった。」
功は、納豆がくさいから外国人は皆納豆が好きではないだろうと思っていたということですね。

以上から、外国人であるアグスは納豆が好きじゃないと思っていたから、(アグスの話を聞いて)驚いた、という話が見えました。

というわけでやっぱり毎朝アグスが納豆を食べることについて驚いていたんですね。

よって、答えは「アグスが毎朝納豆を食べていること。」で正解です。

はー(1)だけでこんな長くなりますか、、、。予想してなかった笑

さあ次!!

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次にぶつかったのは設問(2)の空欄(A)です。空欄の後ろにコンマがあり、その後ろに疑問文が続いています。前にも文がありますが、この時点でわかることはあまり無さそうですね。
ここで選択肢ですが、
By the way「ところで」は、「話題を途中で切り替える」ときに使われるフレーズです。
「今日のあの子めっちゃ可愛かったよな!ところでお風呂入れた?」
みたいな感じで。

Of course「もちろん」は、皆さんにも馴染みが深い表現だと思います。しかし、Of courseの使われ方には2パターンあるのはご存知でしょうか。
パターン①:質問に対して『当然』と答える際に用いられる場合
      『うちら友だちだよね?』⇒『もちろん!』
パターン②:自分の説明に具体性を持たせる場合
      『僕はクラス皆のことが好きだ!もちろん、担任の恵美子先生も好きだ!』
皆のことが好きでも十分分かりますが、更にそこに担任も付け足すことでより具体的に好きの度合いが分かります。

よって、日本語でも英語でも、文〜. Of course, 文〜.の前後関係になっていれば、こんな関係が成り立ちます↓

『of courseの後ろには前の文よりも具体的な文が続く。』

分かってもらえたでしょうか。

以上を踏まえて本文の空欄の前後を見てみると、前文が『納豆が大好き』と述べていて、後ろの文は『テンペって知ってる?』と述べています。

完全に別の話題に切り替わってますよね。

テンペが納豆の具体化なわけないです。別の食べ物ですから。

よって、正解はBy the wayです。

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次に解くとしたら本当は設問2なのですが、設問3が途中で割り込んでくるので、解説の便宜上先に設問3を解いちゃいます。

設問3の空欄Bも、Aと同様に文〜. ( ), 文〜.の構造ですね。
こういう時はさらっと前後を確認したら、選択肢を見て、選択肢ごとにどんな方向性の文が前後に並びそうか把握しちゃいましょう。

At the same timeは直訳で『同じ時間に』で、実際の意味も『同時に』です。覚えやすいですかね。その意味の通り、こいつは前後の行動が同時に行われる場合に用いられます。

For, example『例えば』は言わずもがなでしょう。当然、後ろには前文を具体化した内容が来ます。

本文に戻ります。前後を見ると、前文では『テンペが役に立つ』と述べていて、後ろでは『私たちはサラダやカレー、ピザなどにテンペを置くことができる』と述べています。役に立つ内容について例を挙げて詳しく述べてくれているわけですから、答えはFor, exampleです。
ちなみに、サラダやカレーなど具体的な名前が出てくると具体性はぐっと高まります
しかし、この程度の問題で抽象具体を考える必要はありません。さっさと進めましょう。

念のためですが、『役に立つ』は概念であり行動ではありません。対して『料理にテンペを置く』は行動です。概念と行動に対して同時という表現は使いません。時間の存在しない概念と存在する行動ですから。概念と概念、行動と行動ならあり得ます。

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設問2を解いていきましょう。

5段落目で、アグスがテンペの話を始めます。
この辺りから設問に使えそうな内容が出るのかな〜。
その後功がテンペ?と訊き返し、アグスが『It's〜』と答えます。Itがテンペを指すのは前文から明らかなので、テンペの話を中心としてアグスが語り始めたことが分かります。よって、もうここのアグスの台詞はがっつり読んでください。構造とかどうでもいいです。

9段落目まで読んでいったところで、設問に用意された『among people in Agus's country』を満たす主語として登場するのは8段落目のPeopleから始まる文章だけです。
訳してみると、
『私の国の人々はテンペが好きでよく食べる』
ですね。
よって、アグスの国の人達はテンペが好き、つまりテンペはアグスの国で人気だということになります。
空欄には好きとか、人気などの意味の単語が入るのだと考え、空欄にはpから始まる単語だと指定されているので、これは形容詞のpopular『人気な』が正解ではないでしょうか。

設問の内容を把握する段階で予想したように、空欄にはCの名詞か形容詞が入ることも満たしていますね。

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空欄Bに移ります。
①で説明したように、主語が前文のPeopleですからPeopleが何をするのかという話ですね。

ちょうどさっき空欄Aを解く時に使った8段落目の文のandの後に『eat it very often』とあるので、空欄Bに入るのは『食べる』系の動詞かな〜、と私も一旦は考えますが、uから始まる食べる系の動詞は思いつきません。
違うのでは?と考えて、他の文を読んでみましょう。

11段落目の空欄Bの前後の文に注目してみてください。
Tempeh is very useful.ときて、その次にどう役に立つのかが空欄Bの後ろで述べられていますよね。
in salad, curry, pizza and so on
これ、設問2にあるin many kinds of foodの具体だと気づけましたか?

サラダやカレーは多くの食べ物の中にあるものですよね。
つまり小集合なんです。

ちょっと難しいかもしれませんが、この文が用意された文の具体なので、具体ならば抽象の因果関係から、この文を解答に用いることができます。

役に立つ、という話の後にサラダやカレーに置けると言っているということは、つまりいろんな料理で使われているということですから、設問2の空欄②に入るuから始まる動詞は、use『使う』で正解だと思います。

ここは、論理で行くと難しいので、わっけわかんねえーって方はもう訳していいと思います。
中学生の頃の私なら訳したと思います笑

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いよいよラスト問題。12段落から18段落までは読み飛ばし、下線部まで一気に行きましょう。

the ideaに下線が引かれ、ここの具体的な部分を見つけて答えろという問題ですね。方向性は設問1と同じです。

ここで、注目すべきはideaの前にtheがあることです。theは既に本文中に出てきた内容に対して使ったりします。もちろん他にも意味があるのですが、長くなるので割愛します。
今回は旧情報を表すtheで合ってます。

旧情報ということなので、the ideaが指す内容は既に本文中に出てきているのでしょう。

そして当然、そのideaはアグスの考えのはずです。

まずは1番近い前文のアグスの台詞を見てみましょう。
すると、動詞にthinkとあるので、少なくとも何かに対して考えている内容の文だとわかります。ここ以外にideaとなり得るような文は見つからないので、十中八九ここが答えでしょう。

それに、the ideaは明らかにその前文よりも抽象的(一言にまとめているわけですから)なので、具体的に書け、という指示に合います。

というわけで、答えは
『テンペを用いた日本食の作り方を考えること』
です。

これで以上です。
論理は難しいですよね。

解説も長くなっちゃいましたし。

今度、根拠と解答だけを載せた概略版も出そうかなと思います。これは上級者にとっては時間の省略になるのでいいかもしれませんね。

さて、栃木県高校入試の英語の解説はこれで終わりです。

大問3以降はリクエストがあれば作るかもしれません。

次回は単語の覚えた方について載せ、その次はもしかしたら東京都立入試の解説をするかもしれません。

楽しみに待っていてください!

では、ありがとうございました!



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