休憩
転がって床に落ちたオレオクッキー。
その人はオレオを拾って、手で払うような仕草をしてから躊躇なく口に運んで。
「オレオっておいしいよねー」
言葉にはしなかったけど、えっと思った気持ちが、きっと顔に出てたと思う。
その人は、何をするにもとても丁寧で几帳面、円周率なんかいつまでも言えちゃいそうな感じの人だったから。
「もし、買ったばかりのソフトクリームが、机の上に落ちたらどうする?」
コーンを残してアイスのところだけが、ぼてっと落ちる絵が浮かぶ。
買ったばかりかぁ、ショックだなぁ。
「しかも、一口も食べる前だよ」
その日はきっと、何をしてもうまくいかない、そんな日で。
スプーンがあれば机についてない所だけでも食べるかも。
「落ちたのが床の上だったら?」
いやぁ、それはきついでしょ。
周りの目も気になるし。
「じゃあ、周りに誰もいなかったら」
迷うけど。
周りをキョロキョロしてからしゃがみこんで・・・そんな所を想像すると、うーん、ちょっと、やっぱりね。
オレオもなくなって、休憩の時間はもう終わり。
気持ちも軽くなったし、席に戻って、もう少しだけ仕事をしようと思う。
「でも、1,000円くらいするソフトクリームだよ」
落ちたソフトクリームの悩みは尽きないままだけど。
***
仕事は一人より、みんなでやる方が自分には向いていて、ゆっくりだけど前に進める気がしてる。
そして、コーヒーとオレオは、月と兎と同じくらい素敵な組み合わせ。
そんなことをあらためて思った休日出勤でした。
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