同級生
同級生と久しぶりに会って話すことは、だいたい決まってて、学生時代の思い出と仕事の話。
職場は30Fで、3Fのラウンジで人と待ち合わせ。
エレベータの外に面した壁は、ガラス張りになっていて、乗る前は、エレベーターの向こうに見える景色を想像して、注射の順番を待っている時ぐらいには緊張してる。
子供だったらきっと泣いてるからね、とエレベータに乗り込んで。
高い所は苦手なままだけど、外を見ないで済むような振る舞いには、少し慣れたかなぁ。
28Fでエレベータに乗ってきたサラリーマンに、わかりやすく二度見をされて、お昼に食べたカレーが顔についていたら嫌だなぁと思っていたら、ぐいぐいと近づいてきて、「あれっ、〇〇じゃない」と不意に名前を呼ばれて・・・誰だっけ?
声をかけてきたのは、中学校のときの同級生で、同じサッカー部だったKくん。
もうわかったから、昔の住所とか、あだ名とか、結構な音量で言わなくても大丈夫です。
「すごい偶然だよね」とか「このビルで働いてるの?」とか短い会話をひとしきり。
エレベーターが3Fに着いて、慌ただしく降りる時に「今度、飯でも行こう」なんて声をかけあって、お互いの連絡先を知らないことにホッとして。
昔のことをワイワイ話すのは楽しいけれど、そればかりだと後から寂しくて、「今、何しているの?」から始まる仕事の話は、話を聞くよりもガオーなんて、自分のことを大きく見せるのに一生懸命になりがちで、とても窮屈に思うことが多いから。
明日からは、エレベーターの向こうの景色と、会うかもしれない同級生の存在に緊張しながらエレベーターに乗るんだろうなぁ。
子供だったら、きっと泣いてるからね。