なんかあれ(9月エッセイ④)
昨年から悪化した切れ痔が今もまだ辛い。
1年前、消化器科に行ったエッセイを書いた後も、何度か通院していた。軟膏を使ったら少しの間だけおさまって、また元の状態に戻るの繰り返し。痔になった時点で覚悟はしていたけれど、辛いものは辛い。もはやトイレに行くこと自体が億劫になり始めている。
お医者さんにあまりにも出血がひどいので心配なんですけど…と訴えたら、「でも大腸検査とかしたくないでしょ?」と言われた。何もないことを確認して安心したいんだけどな…と内心思いつつ、たしかに出血以外は症状が出ていない。
結局先生の言葉に反論することなく放置していた。
最後に病院に行ってから半年。体調に異変を感じるようになった。普段と同じご飯の量で胃腸に痛みを感じるようになった。お腹を壊すのはよくある。そうではなく、腸に何か固い物が当たってゴリゴリとするような痛みで、それに伴うように出血も悪化した。確実に切れ痔だと思って放置した分のツケが回ってきたのだと思った。あぁ、早期発見していればなぁ。また入院したら嫌だなぁ。そういえば、最近飲む度に吐いていたな。大した量じゃなくても吐くってことは、相当胃腸が弱っているってことか、終わったな…と頭の中に諦めムードが漂っていた。
以前とは違う病院へ行き、診療を受けた。医師からは「過敏性腸症候群ですね、特に大腸検査とかもしなくていいです。」と言われた。言い換えると、特に疾患は無く、直接命に関わるものではないとのことだった。もう死ぬくらいのつもりで病院に行ったので、ストレスや生活リズムが原因かもしれないと言われ、少し恥ずかしかった。
診療室を後にしようとした時、「出血は落ち着いてるんですよね?」と言われ、いや出血自体はひどいです、と伝えると、表情が曇り、「ちょっと院長と相談してきます」と言われた。若干ワクワクしている自分がいた。ほどなくして「クローン病とか潰瘍性大腸炎とかを否定しておきたいので、大腸検査やりましょう!」と言われた。
早く何もないことをはっきりさせたかったので、検査は怖いどころかむしろ楽しみだった。鎮静剤を打ってから大腸カメラを入れることにしたので痛みも特にない。ポリープが見つかって、切除する場合は3万円かかりますと言われた時は震えたけど、それで良くなるなら全然よかった。
当日、横向きになり目の前で点滴に鎮静剤を入れられた。腕にちょっと冷たい液体が入ってくる感覚がある。その時に、そういえば最近薬のアレルギー2回出たな、鎮静剤がもし合わなかったら生きて起きれるのだろうか。このまま2度と起きれなくなったらどうしよう。いや、そもそもポリープ切除に失敗して大腸に傷がついたら…とか考えている間に気づいたら仰向けになっていて、検査は完了していた。
結果は全くの異状なしだった。安心するとともに、もはやなんかあれと思った。痔と胃腸の痛み自体は嘘じゃない。大腸検査は問題ないとして、自分の体に起きている症状は一体どうなるんだろう。
去年頭痛が治らず、突然熱が出て病院に行ったら、インフルでもコロナでもないと言われた。もはやどちらかであれと思った。なぜなら、治るから。激しい頭痛と39度の熱はあまりにも苦しかった。再検査をしたら、今すぐ入院の必要があると言われ、2週間寝たきりの生活を送った。
未だに胃腸に痛みはある。不安要素をどれだけ減らしても、原因が分からない間はずっと怖い。
ここから先は
¥ 300
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?