好きな服屋の店員さん
最近お気に入りの服屋ができた。原宿にあるお店で、自分の好きな系統のアイテムが充実している。初めて行った週には2回足を運んだ。
そのお店のドレッドヘアーをした店員さんが特に好きで、ファッションも自分のしたい服装そのものだし、知識も豊富でアイテムの話を聞くだけで楽しい。
その店員さんが、試着したあと、似合っているということを”調子いいっすね”と表現することが分かった。僕にはそれがなんかすごく面白かった。
なぜそんなところに引っかかりを感じたのだろう。単に言い方が面白かっただけなのかもしれないが、思い返せば、自分も普段から内輪のノリでしか使わないような言葉遣いをしているからだと感じた。
高校生の頃、文化放送超A&G+というネットラジオでヨルナイト×ヨルナイトという深夜の帯番組をよく聴いていた。月曜はマンスリーアシスタントと歌を歌うコーナーがあったり、火曜は寸劇とリスナー参加型のコーナーがあったり、ラジオらしい番組内容だったが、その水曜回は2人のパーソナリティが、自分たちにしか分からない話を1時間続けているだけだった。話の中で片方が例えツッコミを入れると、その例えに対して雑学や豆知識を披露してぐちゃぐちゃと話が展開していって、リスナー全員を置き去りにするかのようなラジオだった。
だけど、僕にはそれが楽しかった。
ある放送回で、このラジオは会話のキャッチボールではなくて、相手が放った言葉をちょんってして、より遠くへ飛ばす競技だとおっしゃっていた。会話の中身とかはどうでもよくて、その話をとにかくどこまで広げられるかという謎なノリが、普段学校にいても会話をする相手がいない自分からしたら救いだった。
初対面の人とか、アルバイト仲間のようないわゆる普通の人と会話する時は基本的な受け答えをするし、それで楽しい。
だけど、強烈に仲良くなる人とは、自分たちにしか分からない言葉やノリを駆使して、会話でもなんでもないことでコミュニケーションを取る。そして、それが1番楽しい。
それ以外のノリが今はできる。いわゆる普通の受け答えができなかったから、人見知りだったし、人となんて話したらいいか分からなかったんだと思う。ただ、人見知りじゃなくなって思うけど、”自分は普通です”みたいな顔している人の中にもたくさん普通の受け答えができていない人はたくさんいる。
一般的に使われる言葉の辞書的な意味合いと個人それぞれが使う言葉の定義はすごくあいまいである。その違いを面白がることは僕にとっては大事なことなんだとあの店員さんに気づかされた。
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