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20年9月9日の読書、モノ語り

秋葉原駅の構内にあった本屋BOOK EXPRESS が閉店してまって、その後になにができるのかなと思ってたら、何台ものガチャガチャがびっちり配置された。なんと。いまは、本屋よりガチャガチャの方が稼ぎますか……たしかに電車で本を読んでる人、みなくなったもんなあ。

■ 『村上T:僕の愛したTシャツたち』
著 者 村上春樹
発行所 マガジンハウス
発 行 2020年
状 態 帰宅途中に買って電車ですこし読んだ

 村上春樹の文章はカッコつけすぎて苦手、という話をSNSで見るたび、そう思うのもわかる…でもオレはちょっとカッコいいとも思っちゃってる、と感想と反論の間ぐらいのことを心で言っている。
 本書は、村上春樹の手元に「集まってしまった」Tシャツにまつわる短いエッセイの連載をまとめたものだ。この「集まってしまった」というのがポイントで、コレクションだとモノを体系化してしまい、その相関関係のなかで語ることになる。自慢話にもなりがちである。が、たまたまモノが手元に集まっただけならば、そのモノを語ることは、自然にその人のライフヒストリーになっていく。この本はまださわりしか読んでないけど、自伝的なエッセイよりも自分のことを語っているように読める。
 そこそこの年月を生きてくると、きっとみんな「集まってしまった」ものがひとつやふたつあるんじゃないか。そのモノ語りは、ひとつとして同じものはなく、村上春樹じゃなくても、どれもとても面白いものだとおもう。

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