
カードマジック教室 第1回
1948年に発行されたヒューガード&ブラウエ著『ロイヤルロード・トゥ・カードマジック』を中心にわかりやすく現代的に翻案し解説していきたいと思います。
従来の日本のカード奇術入門書ではあまり重要視されていないのが以下に示すオーバーハンドシャフルです。これはあくまでもトランプの切り方であってマジックではありません。しかしカードマジックを行う上ではとてつもなく重要な基礎であり基本です。
これは2020年2月9日(日)にマジックバーサプライズにて行われたマジック教室で配布されたテキストです。
なお注釈として専門用語を端的に述べていますが、これは氣賀康夫編『カード奇術用語辞典』から引用しております。
オーバーハンドシャフル(overhand shuffle)①
カード奇術の王道を示すにあたり、この旅路の最初の段階はオーバーハンドシャフルの使い方とそれが果たす多数の目的を解説することにあります。
誰もがカードを演じるにあたりオーバーハンドシャフルを学んできました。これは簡単な作業ではありますが、カード奇術をマスターするにあたりこれが最初のステップであり、非常に重要なステップでもあります。旅路につく前にこの最初の段階を習得することが不可欠です。そのため他の章に進む前に様々なオーバーハンドシャフルのバリエーションを学び、それらによって可能となる多くの素晴らしいトリックを演じていただけることをお勧めするのです。
本書は最後の章を除く各章が、前の章の続きとなり補足していきます。一度にすべてを学びたいという衝動に駆られるでしょうが、それに抵抗し、各章を段階的に勉強してください。それによって驚くべき速さでこの道を旅していくことでしょう。最終的にはこの方法で終業したとき、あなたはせっかちな読者よりもはるかに有能なマジシャンになっているでしょう。
この注意書きが終わるとともに、素晴らしい旅が始まります。
• overhand shuffle [オーバーハンドシャフル]上手切り、(西洋人のカードの切り方)なおundercut, run, jog, shuffle, break, throwなどはオーバーハンドシャフルに伴う一連の動作を表す用語として用いられる
手の中のパックのポジション(Position of the Pack in the Hands)
カードの扱い方がきちんと正確であることが不可欠であり、きちんとした動きを習得するための最初の必要条件が、手の中でのパックのポジションです。
1. 左手を半分閉じたまま手にひらを上に向け、人差し指の指先から三番目の骨が左外側の角に向かって曲がるように、パックを下に向けて置きます。中指と薬指はわずかに曲がっており、ボトムカードの表面に寄りかかっています。小指は内側に曲がりその側が内側の端に接し、親指がトップカードの裏面中央近くにあたっているようにします。
パックは、左に向かって約45度の角度で下向きに傾斜し、ローワー・サイドが手のひらに軽く沿うようにしておきます。このポジションはピンセットのように人差し指と小指がそれぞれのエンド側をはさむことで、パックを握ることができます(図1)。
パックをこのポジションに保持することにより、完全にカードをコントロールすることができるため、厳密に遵守するべきです。グリップはしっかりしていますが、軽くなければなりません。実際のところ可能な限り力を抜いて、リラックスした雰囲気を維持しなければなりませんし、最初からできるようにしておかなければなりません。
• pack [パック]カード一組(a pack of cards)(=deck)
• top [トップ]①一番上の、一番上のカード(ただし全体が表向きであれば一番下のカード)②先端、向こう側
• bottom ①[ボトム]底札、トップと反対のカード(デックのカードが表向きのときは一番上)②底
• lower [ローワー] (a)下の、観客に近い方を「上」といえば、術者に近い方が「下」となる。
• side [サイド] カードの長い方の辺、側、(c.f. end)
• end [エンド] カードの短い方の辺、(c.f. side)
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