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退職届・・ #32

「一身上の都合により退職させていただきます・・」と書いたのだろうか。
もう、覚えてはいないが、何かを書いて、施設長に渡した。
みんなと私では大きな温度差があった。

仕事内容はとても楽しかった。
まだ、少人数だったからか、とても近い距離で利用者さんと接することができた。
職員さんもいい人が多くて、親切に教えてくれた。

だが、だが・・
マネージャーと施設長の仲が。
ここは両者に言い分はあると思うのだけど、まさかこんな巻き込まれ方をするとは考えていなかった。いや、考えられない。

「どうなるんやろ?」と不安な思いが強くなる中、施設長はみんなの退職届を集めて、束にした。

「じゃ、行ってくるわ!!」
そう力強く言って、施設長は会長がいる本部へ向かった。

さらに不安な気持ちが増していた。

・・・。・・・。電話が鳴った。
ある職員さんが出たが、
「はい。変わります。」と言って、受話器を私にも差し出した。

なぜ?と思いながら声を出した。
「もしも・・」
私の声を遮るように施設長は早口で言った。
「くぼくん、会長がお呼びです。すぐに本部に来て下さい。」

なぜ?本部に?会長に?
私は初心者マークをつけた車に乗り込み、本部へ向かった。

つづく・・・

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