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「鑑定士と顔のない依頼人」にみる物神告発

こんにちは、すりみです。
久々に、はらはらどきどきの映画を観て興奮冷めやらぬまま書きます。

英題「The Best offer」、日本語版の題「鑑定士と、顔のない依頼人」を観た感想文です。ネタバレはほとんどないです。

とてもよく計算された映画でした。
ここでこう回収するのか、、!と、何度も驚きました。
数学の問題を解く時には、条件を余さず使い切ること!と言い聞かせられてきましたが、映画にも違わないところだなと、しみじみ。

ここでは内容には切り込まず、今勉強していることと紐付けて、物語の構造の理解を書きます。

物語に「物神告発」が組み込まれている?

今読んでいる本、Latour「近代の〈物神事実〉崇拝について」(2017) で出てくる考え方にそっくりだなと。この本もとても面白いので、読んでみてください。

いきなり何がなんだかわからないことを言ってしまいましたが、
ここでいう物神告発とは、自分が信じているものが空洞化してしまうことを意味しています。

物神告発には、二段階あります。

第一段階では、
目の前にある神がかったもの(物神:偶像や価値あるものと信じられているもの、例えば現代ではブランドがそれにあたるのかもしれません)が、実は神が作ったものではなく、人間の作りあげた陳腐なものであると暴かれます。

第二段階では、第一段階の考えをさらに裏切る形で進行します。
ものが、人間によって作られたということさえも、否定するのです。
ものは、あらゆるモノ、ヒト、事象が複雑に絡み合い、相互に関連しあって生成され、ものを人間だけに還元することが不可能である(人間に自由はない)と宣告します。

最終的に人間に残るのは、無力感、虚無感、それ以上のものはありません。

今回観た「The Best Offer」にもこの二段階構成の物神告発の枠組みが組み込まれているように感じました。私の解釈が間違っているかもしれないので、気になる方は本をぜひ読んでください〜。

おわりに

最近、アルバイトでSFライティングをやっているので、とても参考になりそうだと思いながら分析的視点で観入ってしまいました、、

今回は分析してしまいましたが、何も考えず感情に流されるままに、気になる映画をのんびりと味わう、そんな時間も取りたいです。

二回目観るのが楽しみです。
二回目はもっと自由に楽しめるといいな。

この考察にかかわらず、「The Best Offer/鑑定士と顔のない依頼人」とてもお勧めなので、ぜひ観てみてください〜。

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