001 代謝① 物質としての生物
経済について考えるにあたって、イの一番に考えるべきことは「代謝」だと思います。
細菌から植物、そして人間を含めた動物といった生物は、生命活動を維持するために、外部から物質を絶えず取り入れる必要があります。
外部から取り入れられた物質は、体を構成する材料になるほかに、体の活動のエネルギーとして使われます。
生物が、外部から物質を取り入れて、それを体内で使用し、そして不要になった物質を体外に排出するという一連のプロセスを代謝といいます。
人間の体は数十兆個もの細胞でできています。1つ1つの細胞の寿命は短いものでは数日で、人間は体内で絶えず新しい細胞を作り続けることで生命活動を維持しています。
細胞や組織を含めた人間の体は、分子としては、重量の割合で60%以上を水分、タンパク質と脂質がおよそ15%ずつ、残りは、糖質のほか、カルシウムやリン、カリウム、ナトリウム、塩素、鉄といった無機成分から成り立っています。
生命現象に主にかかわる、タンパク質や脂質、糖といった有機成分は、炭素、酸素、水素、窒素といった元素からなります。植物が空中や地中の無機物質(二酸化炭素、リンや窒素を含んだイオン)を取り入れて、これら有機分子を自分の体の中で作ることができるのに対して、人間を含めた動物は、これら有機成分を他の生物(植物や動物等)やその生産物を食べることによって取り入れなければなりません。
酸素を取り入れる呼吸は、自律的に無意識に行われますが、水分や栄養素(体の構成成分やエネルギー源)を得るためには、人間を含めた動物は何らかの行動をしなければなりません。
しかも、絶えず体は作り変えられており、エネルギーも消費され続けられているので、その行動は絶えず継続して行われなければなりません。
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