インコと一緒にトルコへ帰国しました トラブルと私のパスポート
Merhaba!(こんにちは!)
トルコのエーゲ海から、surf anneです🥰
惜しみながらも4ヶ国のバルカン半島周遊旅を終え、セキセイインコのサーフと一緒にトルコへ帰ってきました。
帰りは、最終滞在地である北マケドニアの首都スコピエからターキッシュエアラインズを利用してのフライト。
スコピエ空港~イスタンブール空港~アドナン・メンデレス空港~バスでクシャダスへ
というルートです。
サーフを連れて飛行機へ乗ることは、搭乗までの一連の流れを含めもうすっかり手慣れたものとなっています。
しかし、今回は違いました。
この想いを忘れないうちに綴らせていただきます。
いや、一生忘れることはないでしょう。
①スコピエ空港での「お前をこの先は通せない…」
スコピエ空港は国内最大の国際空港とはいえ、就航航空会社はわずか10社とちょっという、小規模な空港です。
空港のタクシー降り場から玄関に入るとすぐチェックインカウンターがお目見えするため迷うこともないのが小規模空港の利点。
しかし、オープンしているカウンターは3個ほどのため長蛇の列。
セルフチェックイン機もありますが、ターキッシュエアラインズは対応しておらず。
非効率ですが列に並ぶしかありません。
やっと私たちの番になり、予約番号を見せてチェックイン。
毎回サーフと一緒の旅で迎える第一関門です。
カウンターで担当してくれた女性はターキッシュエアラインズの職員ではなく、おそらく地元マケドニア航空のスタッフ。
だから予想はしていたけれど、インコのチェックインに慣れていない。
早速、電話でターキッシュエアラインズの担当者へ聞いてくれているよう。
その間私たちはちょっとドキドキ。
電話が終わると、ニコリと笑ってサーフのケージが入ったバッグにペット用タグを付けてくれました。
そして、「私もインコを飼っているのよ」
と笑顔で見送ってくださいました。
たびたび、ターキッシュエアラインズの職員でも、
「インコ用のパスポート(ワクチン接種済証明書)はあるか?
ないと搭乗できない。」
と言ってくるスタッフがいます。
我が家のサーフはセキセイインコであるため、そういった書類は必要ありません。
犬、猫とインコを”ペット”としてひとくくりに考えているために生じることです。
そのたびに、
「セキセイインコは鳥インフルエンザ対象ではないため書類は必要ありません!」
と自信を持って伝えるようにしています。
そうすると、隣のカウンターにいる他のスタッフへ聞いたり、それでも解決しないと電話での確認が始まります。
そして毎回、結局はインコ用のパスポートは不要でした、すみません(すみませんとは謝ってもらえないが…)という結論で解決します。
だから今回はスムーズにいって一安心。
ペット用タグをつけてもらえば、航空会社で搭乗を許可されたという証。
だからもう何も怖いものはありません。
と、安心するのは毎回この瞬間です。
しかし今回は、怖いものがまだ先に待っていたのです。
出国審査で無事スタンプももらい、次に進むはセキュリティチェック。
これも毎回手慣れたもので、まずは私たちのリュックと、貴重品が入った手回り品バッグをそれぞれBOXへ入れX線レーンへ流します。
そしてそのあとに、サーフのケージを入れているバッグもX線検査を通す必要があるため、大事な大事なサーフをバッグから出します。
(もちろんサーフはケージに入ったままです。)
そしてサーフのごはんと温度計が入ったサーフのバッグを、同じようにBOXへ入れてレーンへ流します。
いつもは(トルコでは)、サーフをバッグから出した瞬間、見つけた保安検査官がやって来て、サーフが入ったケージを抱えてレーンの先へ持っていってくれます。
そしてサーフのケージを薬検査用紙で拭きとり検査をしてくれます。
動物にやさしいトルコ人、その間もサーフを笑顔で覗いては、
「チッチッチッチッ」
とサーフをあやしながら対応してくれます。
その間に私たちは安心して、金属探知機ゲートを通りボディチェック。
両方の検査が終わるとサーフが手元に返され、検査終了となります。
しかし今回は違っていたのです。
サーフが入ったケージをバッグから出した瞬間、
怖い顔をしたマケドニア人の保安検査官が二人もやってきて、
怖い顔でサーフを覗きこみます。
「これはなんだ?インコか?インコはここを通すわけにはいかない…」
「は?何言ってるの?おじさん」
「いいからここへ座りなさい。お前たちをこの先通すわけにはいかない」
他のスタッフも巻き込み、相談を始めるが、
答えは皆「No」
首を横に振っている。
どういうことか事態をさっぱり理解できない私。
夫はというと、こんなことはもちろん予想もしていないため私の先にチェックを終えて金属探知機ゲートの向こう側。
そして私のパスポートにスマホ、全てが入ったバッグだけがレーンを流れ夫と同じ向こう側へ辿り着いていました。
事態を察知した夫が、こっちへ戻ろうと係員に話している姿が見えるが、保安検査官に止められている。
「お前はここから動くな。検査が終わった者は戻ることはできない」
と言われていたそう。
残された、体一つの私とサーフだけがゲートのこちら側で待機となりました。
そして、怖い顔をした保安検査官のおじさんは続けます。
「お前をこの先は通せない。
だから、お前のパスポートは警察で預かる。」
出国スタンプも押された私のパスポートは没収され、出国審査場にいる警察官に預けられました。
今この瞬間、執筆している今でも、その時の緊張と苛立ち、不安、マケドニア人おじさんの怖い顔を思い出し、手に汗をかいています。
出来れば思い出したくもないけれど、この想いを残しておきたくて今必死に手を動かしています。
そして怖い顔のおじさんは、何やらどこかへ電話をしたあと言ってきました。
「航空会社の窓口へ行って、搭乗許可をもらってこい」
「だから、許可をもらったからここにペット用のタグが付いてるんだよ!
おじさん、あなたにはこの赤いタグが見えないのか???」
何度説得しても、
「No、No」
とおじさんは首を横に振るばかり。
パスポートも没収された私は、いくら理不尽でも従うしかない。
1階へ下りていきターキッシュエアラインズの窓口を探す。
すると、早朝だからなのか、小さな空港だからなのか、窓口がシャッターで閉まっている…
どうすれば…
そうだ!さっき「私もインコを飼っている」と笑顔で見送ってくれたお姉さんがいたじゃないか!
とチェックインカウンターのお姉さんに助けを求めに行ってみることに。
お姉さんは他の乗客の対応をしていましたが、この世の終わりみたいな形相で見つめる私に気づき
「どうしたの?」と聞いてくれました。
「セキュリティチェックを通せないと言われました。
窓口も閉まっています、どうしたらいいの…?泣」
するとお姉さん、閉まっているターキッシュエアラインズ窓口の隣りを指さし、あそこにターキッシュエアラインズのスタッフがいるから行ってみて!
ありがとう!!
サーフを抱え、教えられた窓口へ走る。
するとそこには、ターキッシュエアラインズの制服を着たスタッフさんがいました!!
その制服を見た瞬間、あぁ私たちはこれで助かった…と半ば安心する私。
でも、だからこそ泣きそうになる。
(まだ泣くわけにはいかない。
私にはサーフがいる、サーフと一緒にトルコへ帰るんだ!)
「私はセキセイインコとチェックイン済みです。
でも、セキュリティチェックを通せないと言われました。泣」
「どうして?誰に言われたの!?警察か??」
「そうです、パスポートも没収されました。泣」
すかさず、電話をかけるターキッシュエアラインズのスタッフさん。
ドキドキドキドキ・・・
不安そうに小さな声で鳴くサーフをあやしながら、それはとてつもなく長い時間に感じました。
スマホも時計もX線レーンを流れ、手元にはなんにもない私。
大切なサーフが入ったキャリーだけを大事に抱えている。
大丈夫、とは分かっていても心のどこかで不安な自分がいる。
(このままサーフとトルコへ帰れないのか?
いや、そんなはずはない。
これまでもハプニングはいっぱいあったけれど、
結局くぐり抜けてきたじゃないか…
私はあきらめない)
チェックインで予想外に時間がかかったため、現在時刻が気になる。
スマホも腕時計もないから、空港内にある時計を探す。
ボーディングタイムがすでに経過していました!!!😨😨
しかし焦っては仕方ない、待とう。
すると、何度かの電話を終えたスタッフさんが、
「大丈夫、セキュリティチェックへ行って!」
「大丈夫ですか?私は通してもらえますか?」
「大丈夫、通れるわ」
保安検査官、警察官へちゃんと搭乗できることを連絡してくれたようです。
お姉さん、ありがとう!!泣
ターキッシュエアラインズありがとう!!!
サーフを抱え、空港内を走ります。
エレベーターも使わず、二階にあるセキュリティチェックまで一気に階段をかけ上ります!!
おっと、忘れてはいけない!!
出国審査場でパスポートを取り返さなければ!
「私のパスポートを返して!」
クールな警察官は無言で頷き、念のためパスポートを確認する。
「あなたの名前はヨーコか?」
「Yes!Yes!」
命とサーフの次に大切なパスポートは無事返還され、
ダッシュでセキリュティチェックへ!
到着すると、ゲートの向こう側には心配そうにこっちを見つめる夫の姿が…
待っててね!今そっちへ行くから!
保安検査官は先ほどの怖~い顔をしたおじさんとは違う、若いマケドニア人のお兄さん。
(あいつはどこへ行った!??)
と見えないあいつに心の中で中指を立てながらも、
私には時間がない。
そのお兄さんのチェックに従う。
するとお兄さん、
「インコも検査するから、ケージから出して手で握っていいか?」
返す言葉がない
「この子をケージから出したら、この子は空港中を飛び回り帰ってきませんよ!??
あなたはインコを握って何がわかるんですか?
あなた正気ですか??」
「わかった、わかった」と苦笑いするお兄さん。
こうして、ようやく夫の待つゲート側へ辿り着くことができました。泣泣泣…
ボーディングタイムをとっくに過ぎているから、走るぞ~!
と思ったら、
「ここがゲートだよ」と夫。
えっ!
スコピエ空港の小さな面積に助けられ、すぐ目の前が出発ゲートでした。
席は最後部にもかかわらず、最後の最後で無事搭乗となりました。
免税店で、トルコ人の友人たちにお土産を買っていく予定が、
買い物どころかトイレすら行けずに機内へ滑り込みました。
愛するサーフのためなら、私はなんでも出来る!
口は悪くなるけれど、底知れないパワーが出てくる!
出発時刻はAM8:40
私はすでに、この日の精力を全て使い切りました。
小さな空港であるが故、職員たちがペット輸送に対する認識の薄さ、ずれにより生じたことが原因かと思います。
仕方のないことと捉えればそこまでだけど、今回私たちが経験した想いは消えることはありません。
しかし安心するのはまだ早く、トラブルはまだまだ続いていたのです…
次回予告:②「広すぎるイスタンブール空港で彷徨う&恐怖のラストコール」
③「故障したバス」へ続きます。