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アキバ冥途戦争好きにマストな映画紹介「スナッチ」【豚と拳闘について】

える知っているか。死体の処理は豚に食わせるのが一番。16匹いれば8分で90キロの遺体がぺろりと消える。これが『豚のようにがっつく』の由来。

ベイブ/倫敦へ行く(2000)より抜粋


上記は真っ赤なウソ
だが、メイド×ヤクザ×ガンカタの方程式から繰り出されるガン=オタ芸で、1話目から映画ブレインデッド顔負けの真っ赤な血の雨を降らせ、今期の血みどろアニメ枠にカチコミをかけてきた究極の出オ血アニメ、その名も「アキバ冥途戦争」

ヤクザメイドの歴史に新たな伝説を穿った1シーン


ヤクザをメイドに置換したらウケるよねー以外マジで何も考えてなさそうなその出オチ&生き急ぎぶりは尋常ではなく、2話目にして店の存続をかけた賭博黙示録、3話で地下格闘技、4話でブラック労働洗脳回ときて、次回は主役のメイド(35)のお誕生日会という2期の中盤あたりでやるようなネタ小畑健×大場つぐみ漫画の最初の5巻くらいのネタ詰め込みフルスロットル状態で、オリアニ特有の次に何が来るのかという期待感と後半までネタがもつかへの不安がハーフ&ハーフで甘じょっぱすぎて夜の映画館でしか眠れない。

そんな冥途戦争、特に今激アツのロシアまで参戦した第3次大戦話「メイドの拳、膵臓の価値は」好きの読者にオススメしたいのが、今回紹介する2000年のクライムコメディ映画「スナッチ」だ。

※バカ映画です

ロンドンの暗黒街で86カラットのダイヤが消えた。
ダイヤを追うNYマフィアと賞金稼ぎ。
横取りを目論むコソ泥たちとロシア人武器商。
さらに八百長ボクシングの選手団とその元締めまで絡んできて、
バカ騒ぎのドミノが倒れだす。
最後に笑うのは誰か。すべてのカギを握るのは、1匹の犬?

概略

本作は一言でいうなら第3話を100分の映画にしたような作品。
主人公らが巻き込まれた八百長格闘技の裏で、8桁の値がつく激レアフィギュアにまつわるエピソードが進行していった同話よろしく、「スナッチ」も『八百長編』『ダイヤ編』の二本立てが並走して絡み合う構成。
借金、豚、お宝、八百長と殴り合い、最強のロシア人、そして「ファイト・クラブ」のセルフパロディキャラとして登場するブラピが重要な構成要素を占める物語は、3話を楽しめた人なら色んな意味でニヤニヤできること間違いなしだ。
ただしこちらはアニメの4倍ある尺に併せて登場人物も勢力も倍々、なのにどいつもこいつも強烈にキャラ立ちしていて、そして片端からバタバタと死んでいく、嵐の大渋滞ハイウェイめいたアップテンポな群像劇。
ダーティかつおバカで常識が通じないキャラたちがお宝を巡って争う、シンプルだがそのバカさ故に予測がつかないドタバタ劇で、物語がキャラを動かすのではなく、キャラの珍プレーがバカ話を紡ぐ
そんな愉快で非常識な裏社会のストーリーメイカーたちを紹介していこう。



ドキッ!男だらけのダイヤ争奪戦(拳闘もあるよ)

「スナッチ」~ロンドン裏社会の住人たち~


『八百長編』


ステイサムと舎弟

ロンドン地下ボクシングのプロモーターをしている二人組。
八百長試合の元締めに大きな借りを作ってしまい、豚の餌にされかけるも、黄金の右を持つ凄腕の選手を使った起死回生の策を提案する。
主役でありながら髪も影も薄い、アクションスターとしても覚醒前夜な若きジェイソン・ステイサム演じる主人公は、冥途戦争でいう店長ポジ、つまり下町の非力なチンピラに過ぎない。
この頃は他作品でも宇宙全一になったジェット・リーに足をへし折られたり、ゾンビだらけの火星でいつの間にか死んでたりするので、万年嵐子(35)のような最終暴力装置としての活躍は期待できず、それゆえ彼の作品としては珍しく全編に緊張感が漲っている。
ロンドン橋を逆に渡るのさ…。

ミッキー

ジプシー顔が板につくブラピ

本作のジョーカーで最凶のトラブルメーカー。
パイキー(ジプシー集団)の若者で、訛りがひどく吹替ですら何を言ってるか聞き取れない。それを逆手に取った詐欺同然の商談を繰り返すなど、身内の利益以外は一切顧みない厄介者。
素手拳闘のチャンピオンで、八百長試合を控えていたステイサムお抱えのボクサーをワンパンで病院送りにし、急きょ代役としてスカウトされるも、『勝つなよ?絶対勝つなよ?』と前フリされていた試合でワンパンKO勝利してしまい、あとの展開はみなさんご存じの通り。

前年公開の「ファイト・クラブ」でブラピが演じたタイラー・ダーデンの拳闘属性を引き継いだパロディキャラで、この点も「アキバふわとくらぶ」店長の平伊達子(たいらだてこ)に通じるものがある。


ブリックトップ

泣く子もチビるロンドン裏社会の大物で八百長試合の元締め。
豚万能説を提唱する豚フェチで、彼に背いたものは尽くその胃袋に消えていった。彼の豚語りはこの作品のハイライト。
八百長賭博のノミ屋を経営しており、これが縁でダイヤ編にも絡んでくる。
近未来ボクシングアニメの「メガロボクス」にもそっくりさんが登場するほど界隈にファンが多い模様。


フランキー・“フォーフィンガー”

全ての騒動の発端にして、『八百長編』と『ダイヤ編』を繋ぐ存在。
NYマフィアの指示で高級ダイヤを強奪するも、帰国途中でロンドンに立ち寄った賭博中毒のチンピラ。通称四つ指のフランキー。
ギャンブル狂が高じてエンコ詰められた彼が八百長試合の噂を聞きつけたところから物語のピタゴラはスイッチする。



『ダイヤ編』


ボリス・ザ・ブレイド

ダイヤを狙う勢力その1。
劇中最強のロシア人
武器商で通称銃弾をくぐる男。
『旧ソ連国旗に描かれたハンマーのようなタフさと鎌のようにひん曲がった根性の持ち主』という紹介が彼の全てを物語っており、ロシア人は全員ターミネーターという偏見は万国共通であることを教えてくれる。
四つ指フランキーに八百長情報を流した張本人。
時折口にするロシア語に字幕が付かないのはお約束。
本作に多大な影響を受けているアニメ「バッカーノ!」にも彼にクリソツな不死身マン「セラード」が登場する。
名実ともにこの作品を代表する人気キャラ。

黒人トリオと犬

ダイヤを狙う勢力その2。
街の質屋を営むマヌケな黒人たち。副業でコソ泥もやる。
ロシア人の依頼で、ダイヤを持ったまま八百長賭博に向かった四つ指を襲うが、そこは例の豚フェチが経営するノミ屋で…
彼らの飼う犬はブラピたちとの商談で手に入れたもので、元の主人に似て自己中でずる賢い。
斯様に劇中のクソ因果を一手に引き受けながらもノリは軽い、本作随一のコメディリリーフたち。

トニーとアビー

ダイヤを狙う勢力その3。
アビー(画像右)はNYマフィアで四つ指フランキーのボス。
行方知れずになった手下とダイヤを探しにロンドンまでやって来た。
彼に雇われた賞金稼ぎがトニー(同左)。
過去に6発の銃弾を歯でたまたま当たっただけ受けとめたことがあり、通称は弾丸歯のトニー。
50口径の拳銃を愛用し、不死身のロシア人に唯一対抗できる人材と目される属性盛りすぎマン。


他にも出番は少ないがイチイチ個性過剰な脇役たちが画面を埋め尽くし、
普通の作品二本分の筋を100分で駆け抜けていくお値打ちバリューセットなファーストフードムービー、それが「スナッチ」
酷くごちゃついた紹介で申し訳ないが、実際の本編は情報の交通整理とキャラ立ての巧みさで驚くほど滑らかな口当たり。
「八百長編」も「ダイヤ編」も三つの陣営が三すくみで争う三つ巴構造で、『観客を混乱させず、予想外の動きを持ち込める』のに最適なこの構造は、冥途戦争3話でも踏襲されている。要は3話の内容が二本同時進行しているのがこの作品。

逆に女っ気に関しては3ミリくらいしかない小汚いおっさん大感謝祭な内容だが、前述の通り、こやつらもれなくどこか抜けている可愛げまで完備しており、いい歳こいた強面たちがくだらなすぎるドジを踏んで右往左往する様に萌える「萌えと暴力について」の映画でもあったりする。

次回放送を待つ間の暇つぶしに「スナッチ」、オススメである。


また本作を観て気に入った方には、同製作陣の前作「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」も併せて薦めたい。

街の悪党にイカサマポーカーでハメられ店を取り上げられそうになったステイサムたちは金策に奔走する。
一方でその悪党は、一見ガラクタだが実は8桁の値がつく激レアアイテムを探していて…


どこかで見たような粗筋なのはきっと気のせい。

あ、あとハリポタのロン君が主演してるドラマ版「スナッチ」も面白いよ!(特にシーズン1)





今回は映画の内容をそのままコピペしただけの記事になってしまった。
だって事実陳列だけで面白いんだもの、この作品。

では今夜はこの辺で。

御休みなさ~い♪


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