モダンホライゾン2の新カードたち――ジャンドの目線で(~6/3全カード公開)
●はじめに
モダンホライゾン2のプレビュー期間に気になったカードがあったので、それについてまとめたいと思います。
・前回記事
現代モダンのジャンドについて(カード詳解2)
https://note.com/sura_345/n/nb1781bc0ac82
△5/27 2枚追加
△6/3 3枚追加
●《飢餓の潮流、グリスト》
イラストの気味悪さでは頭一つ抜けているPW。まず、戦場以外の領域ではクリーチャーでもあるという特性があります。これは、実際のゲームでは以下のようなメリットがあります。
・呪文貫き、否定の力では打ち消すことができない
・コラガンの命令で墓地から回収できる
・《発掘/Unearth》で戦場に戻せる
・タルモゴイフのサイズアップに貢献する
・召喚士の契約、エラダムリーの呼び声などでライブラリーからサーチできる
これは今までのPWにはない特性であり、モダン環境でよく使用される否定の力に引っかからないのは素晴らしいです。
また、プラスは1/1トークンを生成&1枚切削とおまけとなっており、小粒ではありますがパワーがあるトークンをプラス能力で生成できるのは優秀だと思います。1枚切削するのも、タルモゴイフやクロクサとシナジーがあります。昆虫が~の部分は、ジャンドに昆虫クリーチャーはまず採用されないため、このカードが重なって落ちたらもう1回繰り返すことができますが……正直ここは本当におまけ程度に思った方がいいんじゃないでしょうか。
マイナスはクリーチャーを生贄に捧げて、クリーチャーかPWを破壊できます。基本的には、歴戦の紅蓮術士のトークンや自身で生み出したトークンを生贄に捧げるのが良い使い方でしょうか。続唱で捲れた時には実質プラスからしか入れないのがちょっと力不足な気もしますが、選択肢として悪くはないと思います。
奥義は自分の墓地のクリーチャーカードの数ぶんだけ相手のライフロスができるというものですが、おそらくこの奥義を撃つのはほとんどないのではないかと思います。ジャンドはクリーチャーが少ないデッキなので、わざわざ-5してまで狙う必要はあまりなさそうです。
●《戦慄の朗詠者、トーラック》
あのトーラックへの賛歌のトーラック本人です。キッカー(黒)(黒)を払うと、トーラックへの賛歌がついてきます。さらに、相手がカードを1枚捨てるたびに自身に+1/+1カウンターを置くことができます。ヴェールのリリアナやコラガンの命令、各種ハンデスなど相手にディスカードを迫るカードが多いため、その点はシナジーがあります。
あと、おまけのように書いてあるプロテクション(白)も地味に嬉しいですね。流刑への道やテフェリーや稲妻のらせんで除去されないため、一定の除去耐性が備わっています。
しかし、タフネスが1のためレンと六番や溶岩の投げ矢で耐久性に難があること、キッカー込みで考えると(1)(黒)(黒)(黒)という唱えにくいマナコストになってしまうこと、続唱からめくれても唱えることが可能ですがキッカー込みで6マナ、キッカーなしだとあまり嬉しくない2/1が出るだけと、採用にはかなり覚悟がいりそうなカードな気もします。
●《虚空の鏡》
プレビュー公開された瞬間から話題の尽きないアーティファクトの1枚。色マナを使用しないで呪文を唱えると自動的に打ち消されるようになる置物です。"色マナを使用しないで呪文を唱える"方法として、以下のようなものがあります。
・ピッチスペル(否定の力など)
・無色マナのみで呪文を唱える
・続唱
・待機
・マナコストを支払わずに唱える
・0マナの呪文
ジャンドは血編み髪のエルフの続唱で唱える呪文がカウンターされてしまいますが、それよりトロンなどへの対策の選択肢の一つとして期待されています。色マナを一つでも含んでいればすり抜けられるので、完全に封殺できるわけではありませんが、行動を大きく阻害できるカードの一つだと思います。トロンを見るのであれば減衰球も競合するので、今後の使用感次第といったところでしょうか。
●《下賤の教主》(5/27)
いわゆるおば賛美(貴族の教主)のジャンドカラー版のクリーチャー。死儀礼のシャーマンと比較対象にされてしまいますが、まあ彼は反則級の強さなのでここでは措いておきます。モダンプレイヤーなら貴族の教主の強さはもう言わずもがなと思いますが、このクリーチャーも同様に相当活躍してくれると思っています。ジャンドでは1ターン目にこれを置いて生きて帰ってくれば、2ターン目にリリアナなどの3マナアクションが取れるようになるので早いターンで"押しつけ"の動きが取れるようになります。血編み髪のエルフの続唱のめくりとしては弱い部類になってしまいますが、賛美がそこを多少は補ってくれるため後半のハンデススペルがめくれるより幾分かはマシと思われます。
例によって溶岩の投げ矢やレンと六番には弱いですが、これはむしろ除去を吐かせてタルモゴイフなどに繋げるための布石としての活用もできます。レンに焼かれても返しに稲妻で倒せる忠誠度になっているので、むしろチャンスと考えることもできます。同じタフネス1の闇の腹心の場合は、2マナアクションを無碍にされるため、こちらのテンポロスが厳しいですが、これは1マナのためそこまでのテンポロスが生じないのが嬉しいですね。
今まで公開された中では、最も期待できるカードかなと思っています。ぜひデッキに入れて試したいところです。
●《黒曜石の焦がし口》(5/27)
5マナですが、対戦相手の(◇)を出せる土地の数だけ(1)軽減されるので最小(赤)(赤)でキャストすることができます。また、CIPで相手の基本出ない土地を1つ破壊できます。主にトロン対策となるでしょうが、逆に言えばトロン特化な気もします。タイタン系にはあまり軽減は期待できないため、ほぼ4~5マナのカードとして扱うことになるでしょう。単純に土地を破壊しつつ、飛行4点クロックが残るのは強いのですが、扱いが難しいという印象がぬぐえません。
しかし、《下賤の教主》と併用して5マナ圏を多少採用できるようにしたジャンドならメインから1枚くらい採用しても良いのではないか、と思います。
●《忍耐》(6/3)
モダンホライゾン2のピッチ想起サイクルの緑です。3マナ3/4で瞬速・到達と、この時点でかなり優秀なマナレシオですが、CIPで対象のプレイヤーの墓地のカードをライブラリーの一番下に戻す効果があります。また、手札から緑のカードを追放することで想起で場に出すことも可能です。スタッツが優秀なうえ、LOやドレッジに有効なCIPなのでサイドでちらほら見かけそうだなぁと感じます。ただ、緑のカードはそこまで多くない&緑ダブルシンボルはマナ基盤に負荷をかけてしまうため、採用枚数には注意したいところですね。
●《ダウスィーの虚空歩き》(6/3)
黒ダブルシンボルの2マナ3/2でシャドーと黒力線のような効果&追放したカードを1枚マナコストを支払わずにプレイできる能力がついています。ジャンドの使うハンデスやリリアナと相性が良い能力なうえ、シャドーで実質ブロックされないのは、稲妻などでやられてしまうという点を考慮してもかなり強力です。このカードで追放したカードは次の虚空歩きでもプレイできる(はず)ので、重ね引きしてもそこまで腐らないのは素晴らしいです。トロンなどのフィニッシャーを抜いてもいいですし、ドレッジ相手には立たせておくだけで相手のデッキを機能不全にさせることができるのも見過ごせない良い点です。ルールスジャンドなら、これを使いまわすということも可能なので、それも強力ですね。
アタッカーとしてはとても優秀ですが、殴りつつこの能力を利用することはできない点、ブロックには基本的に回れない点、黒黒というシンボルの濃さを許容できるか、という点は課題になると思います。
●《敏捷なこそ泥、ラガバン》(6/3)
予約価格が1万円を超えていることも大きな話題となっている、1マナのクリーチャーです。戦闘ダメージを与えると、相手のライブラリの一番上を追放し、そのカードをターン終了時まで唱えることが可能になるうえ、宝物トークンが1個出ます。先手1t目に置いておけばかなりのプレッシャーを与えられる強力なクリーチャーだと思います。後引きでも疾駆で速攻を付与できるため、隙を見せた相手に突っ込ませてアドバンテージを得ることが可能です。姿かたちはかなり違えど、マナも出てくるしカードも使える(かも)ということで《死儀礼のシャーマン》を彷彿とさせるアドバンテージの取り方のため、ジャンドでも採用が期待される1枚です。
しかし、ジャンドは1ターン目にハンデスを撃つのがセオリーでかつ最も強力なアクションであるため、わざわざこれを出すのか、と懐疑的な人が多いのも現実です。タフネスも1ですし、回避能力も何もないため壁があったりするとすぐ腐ってしまう点もあります。
●結び
とりあえず、簡単にまとめてみました。結構雑なので、何か指摘があればTwitterやコメントなどでお願いします。
まだまだプレビュー期間は続きますが、ジャンドの強化に繋がるカードが来ることを祈るばかりです。
⇒全カードリスト公開されました。
それでは、また。