津波で壊滅的な被害を受けたいわき市の小学生がよしもと芸人とCM制作、地元の魅力を『沖縄映画祭2013』で発表 (福島県・豊間小学校)
Support Our Kidsは、吉本興業「よしもとあおぞら花月」と連携し、震災直後の被災地・いわき市立豊間小学校で「地元の魅力」をテーマにしたCM制作の授業を実施。翌春に、沖縄映画祭「JIMOT CM COMPETITON」で発表するプロジェクトを行いました。
【震災被害】 3.11と福島県いわき市豊間
午後2時46分、東日本大震災発生。
裏山の杉の木が震動し、大量の花粉が舞い上がり火災時に立ち上る煙のようだった。長く激しい揺れの収束を待ち、校門前のバス停に向かおうとしていた児童約30人を校庭に避難させた。その後、校舎と体育館の破損箇所を点検した。
徒歩で下校した子どもたちを呼び戻すために、豊間方面には教頭を、薄磯方面には男性の学年主任を急行させた。この間、防災無線の放送はおろかサイレンの音一つ聞こえなかった。
午後3時10分に津波第1波、同3時28分、津波第2波が襲来した。
近くに住み海岸の様子を見ていた人によると、不気味に黒みがかった磯全体が、がらりと姿をあらわにするほどの引き潮であったらしい。
第2波により豊間中の校舎1階と体育館は大破した。
小学校でも大きな地鳴りが聞こえ、2階職員室前のベランダから海の方向に目を向けた。海沿いの電柱が次々となぎ倒され、密集して立ち並ぶ家屋群の屋根からは土ぼこりが舞い上がり次々と家々が倒壊していく。
間もなく学校前のバス通りには、車体を傾け7、8台の車や物置小屋が押し流されてくるのが見えた。その直後、濁流は校門から浸入し校舎に向かい校庭を横切ってきた。幸いにも流れは校庭の中ほどで止まり校舎と体育館は無事だった。
豊間方面に急行した教頭は、道路に座り込んでいた下校途中の子どもに追い付き近くの高台にある稲荷神社に約30人、一方の薄磯方面は、男性職員が弁天様の境内に約20人、全員無事避難させた。弁天様に誘導した職員とは、その後全く連絡が取れず最悪の事態も覚悟した。翌々日の夕方にやっと無事を確認できた。
子どもたちを避難誘導した職員2人は、豊間小勤務が長く地域をよく知っていた。特に沿岸部の学校は、校外の安全な緊急避難場所として使える高台を周知しておく必要があることを痛感した。避難の際は、できるだけ高い場所へ向かい、何があっても絶対に引き返さないことが鉄則だ。(水谷大校長談)
豊間小 太平洋を望む沿岸部に位置し、近くには塩屋埼灯台や薄磯海水浴場がある。学区は、豊間、薄磯、沼ノ内からなる。薄磯地区は260世帯のうち245世帯、豊間地区は600世帯のうち420世帯が流失、全壊、半壊被害を受けた。
(2013/03/09 08:00カテゴリー:震災から2年)
[出典:福島民報 あの時、学校は]
【沖縄国際映画祭へ】 地元の魅力CM制作開始!
〜豊間には、誰も知らない世界一がある〜
【授業1回目:12月17日(月)】
豊間小学校は、21人の6年生が「いわき・豊間発信プロジェクト」に参加。校長先生が、CM作りへの想いを力強く語りました。
応援団は、よしもと芸人のぺんぎんナッツ。
登場と共に教室は爆笑の渦に。
昨年の映画祭の作品を鑑賞。
説明を真剣に聞く子どもたち。
先生方やぺんぎんナッツも地元の魅力について一緒に考えました。
みんなが積極的に意見交換をし、発表をして、様々な魅力が挙がりました。
締めは、全員で「いいじゃないの〜」
【授業2回目:1月28日(月)】
スペシャルゲスト・森浩美さん(SMAPの作詞家)を迎えた第2回目の授業。まずは、体育館でのドッジボールから始まりました。
元気よく挨拶をして開始。
「ドッジボールの〝ドッジ”は、ひらりと身をかわす、という意味なんだよ。だからうまく逃げられた人が一番強いという他にはないスポーツがドッジボールです」
森さんの説明を受けると、逃げて、攻めて、守って。みんな笑顔。
校長先生やぺんぎんナッツもゲームに飛び入り参加。
教室に移動して授業。森先生より、モノの考え方・文章の考え方を学びました。
生徒自ら考えたキャッチコピーを発表。
校長先生も熱い想いを語ります。
言葉のつむぎ方をレクチャーする森先生。
様々なキャッチコピーが発表されました。
【授業3回目:2月12日(火)】
校長先生からCMテーマの確認。CMづくりにかける想いを共有しました。
ペンギンナッツの授業が始まります。
考えたキャッチコピーを発表。
複数発表されたキャッチコピーから言葉をつむぎ、ひとつのコピーにまとめていきます。
みんなの想いがひとつのコピーに。
授業の後半では、CMのシナリオとなる起承転結を考えました。
考えたシナリオを発表。徐々にCMの完成イメージが見えてきました。
CMの概要が決定。撮影が楽しみ!
【授業4回目:2月27日(水)】
校長先生・ペンギンナッツが、撮影スケジュールとCMにかける想いを共有します。
スタートは、筆を使ってのテロップづくり。
教室での撮影。担任の先生、ぺんぎんナッツ、生徒たち全員が、とても良い表情で演技をしていました。
演技指導、ナレーション収録中の子どもたち。
声だけでなく、体を使って表現します。
撮影当日は多くのメディアが取材に来てくれました。
体育館に移動し、合唱と跳び箱のシーンを撮影します。
本当にみんな元気!
寒空のもと、校庭を猛ダッシュ!
きれいにペイントされた防波堤に立つ21人の生徒。
それぞれ何を想い、海を見つめているのでしょうか。
撮影中は校長先生自ら交通整理を行っていただきました。
生徒からは「お疲れ様です!」
津波の爪跡が残る現場で撮影。
寒い中、撮影クルーの皆様もお疲れ様です!
教室に戻り、最後の撮影。
みんな最後まで疲れを見せず、良い雰囲気で撮影できました。
撮影終了後、子どもたちから関係者に対して、感謝の言葉&コント(!)を披露。
【子どもたちの作ったCM】
『何にもないけど、なんでもある』
豊間小学校の子どもたちが制作したCMがこちら ↓
映画祭に参加できなかった豊間小学校の子どもたちへ
子ども達が制作したCMは、翌春沖縄で開催された沖縄国際映画祭に出品されました。沖縄国際映画祭に参加できなかった豊間小学校の子ども達に、参加したよしもと芸人たちから「Laugh & Peace」なメッセージをいただきました。
LAUGH & PEACE!
【特別授業 2月6日】海洋冒険家・白石康次郎さん
「人生で大切なことは海の上で学んだ」
白石さんは、26才の時にヨットで単独世界一周の最年少記録を達成された方です。命をも奪うと言われる世界一過酷なヨットレース『ヴァンデグローブ』に参加している唯一のアジア人として活躍中。
過酷なレースを通じてたくさんの試練を乗り越えてきた体験ストーリーを子どもたちに聞かせてくれました。
命に関わる話に子どもたちも真剣に耳を傾けます。
白石さんからのメッセージ
◆「海の上ではルールを破ったとき死に繋がる。海に限らず、やってはいけないこと(ルール)を判断しよう」
◆「何事も逃げずに今出来ることを一生懸命やろう」
◆「これからこの町を創っていくのは君達だ!」
◆「イメージは形(現実)になる。目標は常に大きくイメージしよう」
◆「運命に対する態度で人生は決まる」
◆「困難は、楽しむ事で乗り越えられる。現実を受け入れよう」
◆「負けるときは、戦って負けなさい」
◆「諦めなきゃいけないことはある。諦めることは『明らかに見極める』ことであり、決して投げ出すことではない」
◆「津波が『怖い』と感じるのは自分自身。次にいつ起こるかわからない自然災害に備え、起きたときには乗り越えようという気持ちを持つことが大切」
◆「自分が助かれば、誰かを助けられる。まずは、自分が生きよう。そして人を助けられる人になろう」
◆「様々な経験をした君達だから言う。『その命、何に使うのか・・・』60歳までに考えよう!」
津波の被災地域の子ども達の目を真っすぐに見つめ、様々な経験をした君たちにだからこそ伝えたい、と想いを伝えた白石さんの言葉は深く子ども達の心に刻まれました。
そんな白石康次郎さんは、世界一周単独無寄港ヨットレース、ヴァンデ・グローブに出場中!2020年11月、フランスを出港し、大西洋、インド洋を抜け、12月23日現在オーストラリアの南側の南極海を22位で航海中です!