見出し画像

【RPA経験談】私がPower Automate Desktopではなくマクロマンを選んだ理由

はじめに

明日からの仕事をもっともっと楽しくしたい、赤松です✨

今回は、「私がPower Automate Desktopではなくマクロマンを選んだ理由」ということで、個人的な経験談をお話ししようと思います。
なお、Power Automate Desktopは以下『PAD』と省略します。長い!

  • PADとマクロマンの違いがよくわからなくて、迷っている

  • マクロマンの方がオススメの理由って何?

そんなお悩みに、少しでもお力添えができればと思います。

ちなみにタイトルからわかるように、マクロマン寄りの内容ですが、
『PADよりマクロマンのほうが優秀!』というわけではありません。
あくまで私個人や弊社にとっては、マクロマンがあっていたということです。悪しからず・・・💦


PADとマクロマン、どちらも無料のRPAツール

まずはPADとマクロマンの簡単な紹介と比較を行います。
もう少し詳しい解説は、下の記事で行っていますのでご覧ください。

Power Automate Desktopの概要

Power Automate Desktop(PAD)は、アメリカのMicrosoft社が提供しているデスクトップ型RPAです。
同企業が提供しているOffice製品をはじめとした、様々なアプリケーション・Windows機能との連携機能を有しています。

世界中で使われており、日本にも多くのユーザーがいます。
また、有償版にアップグレードすることで、クラウド製品との連携も可能になるなど、機能拡張が可能です。

ちなみに私のPAD経験は、無償版までとなります。

マクロマンの概要

マクロマンはデスクトップ型RPAで、Webブラウザ・Excel・その他アプリケーションの自動操作が可能というスタンダードな機能を有しています。

PADとは異なり、有償版は存在しません。

日本の企業である株式会社コクーが提供している国産RPAで、2024年11月現在、ダウンロード数は8,000社を超えています。
なお、弊社は公式パートナー企業として協業しております。

ざっくりとした機能比較

以下は、両ツールの基本情報をまとめた表です。
共通する特徴は、「無料で使うことができる」「サポートは有料である」という点です。

Power Automate Desktopとマクロマンの基本情報まとめ
OSやアカウントには若干の違いがありますが、大体同じ!

そして具体的な機能の比較です。
操作できる主要なアプリケーションには違いがありません。
Office製品に絞って見ていくと、PADの方がマクロマンより細やかな操作設定ができ、同社製品としての相性の良さがうかがえる点があります。

一方で、実行ログや計画実行機能(タスクスケジューラとの連携)など補助機能については、マクロマンの方が使いやすいという印象です。

Power Automate Desktopとマクロマンの機能比較
操作対象はおおむね同じですが、補助機能に違いあり!

マクロマンを選んだ理由

さて、ここからは私がPADではなくマクロマンを選んだ理由をお話ししていきます。

理由①公式の練習事例集で、基本操作の習得がスムーズにできる

マクロマンで最初に助けられたのは、公式サイトの練習事例集でした。

そもそもRPAを始めたきっかけは、請求書作成の自動化でした。
頻繁に作成漏れ・請求漏れが発生してしまうため、Excelにまとめられている情報を会計システムに連携し、請求書を作成する・・・という業務自動化から始めました。

まずPADで自動化を始めたものの、その機能の豊富さに、どれを使ったらいいのか?と悩む時間が長くなってしまいました。
また、
マニュアルはしっかり読む派の私ですが、海外製品にありがちな粗い翻訳マニュアルだと、読んでもなかなか理解が及ばないことがありました。

マクロマンには練習事例集があったので、超基本的な操作を、実際に操作しながら習得することができました。
操作する上で必要な「インスタンス」「変数」といったIT用語の意味も、とても理解しやすかったです。
この辺りは、国産ツールを利用する大きなメリットだと思いました。

理由②画面がシンプルで直感的に操作できる

次に感じたのが、ロボットの設定がしやすいということでした。

PADは、コマンド(パソコンをどのように操作するのかを設定する選択肢)が非常に豊富です。
その反面、コマンドがずらずらずら~・・・っと並んでいます。
使いたいコマンドがどこにあるのか、なかなか見つけられませんでした。

マクロマンは、コマンドがある程度グループでまとめられています。
「ファイルの操作をしたい」「シートの操作をしたい」など、使いたいコマンドを直感的に探し出すことができました。

コマンドメニューの比較。左がPAD、右がマクロマン。縮尺は大体同じです。

また、マクロマンは画面もシンプルな作りであったため、「ここをクリックしたら設定できるのね」と何となく操作しながら覚えることができました。

理由③計画実行機能でタスクスケジューラが利用できる

3つ目の理由が、タスクスケジューラとの連携が可能であることです。

タスクスケジューラとの連携が可能になると、「毎日10時30分になったらロボットを自動実行する」など、無人でのロボット実行が可能になります。

計画実行を使った弊社事例。実行ボタンを押さなくても、資料が出来上がってる!

なぜタスクスケジューラとの連携が魅力的であるかというと、
PADで請求書作成や資料作成の自動化が進むにつれて、
「これ、私が毎日実行ボタン押さないといけないの・・・?」
「担当者が休みの日はどうする・・・?」
とある日疑問に感じました(遅い)。

調べたところ、PADのデフォルト機能として、自動的にロボットを動かすことはできないとわかりました。

マクロマンは、タスクスケジューラとの連携機能も無料で使えます。
今後もRPAで自動化する業務が増えるうえで、自動実行は必要だと思い、マクロマンを選択しました。

ちなみにPADでも、いろいろと頑張れば自動実行が可能であるように思えました。そういうWebページも見つけました。
しかし、もしもRPAの担当者が私以外に変わったときに、その設定作業を引継いで続けられるだろうか・・・という不安もありました。

マクロマンの計画実行機能は、設定が比較的簡単です。
扱いが簡単だと、ノウハウの積み上げ・マニュアル化・引継ぎも簡単です。将来のことを考えると、マクロマンの方が弊社向きだと感じました。

マクロマンを続けられる理由

次は、マクロマンを使いながら気づいた、便利なポイントです。

理由①ログの確認が簡単

マクロマンはログの確認がしやすく、ロボット作成時やエラー発生時のチェックが簡単にできました。

ログとは、RPAがどのような「いつ」「どのような」操作をしたか、テキストデータに書き起こしたものです。
RPAを動かすと、自動的にテキストファイルに記録されます。

エラー発生時には「○番目の動作で、××××というエラーが発生しました」という記録が残るため、ロボットの作成時はもちろん、稼働中に思わぬエラーが起きた際の原因究明に必須となります。

PADの実行ログには『ファイルの保管場所がわかりづらい』『実行ログが読み取りづらい』という問題がありました。
ファイルの保管場所は隠しフォルダになっており、以下の場所に保管されています。

C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Microsoft\Power Automate Desktop\Console\Scripts\個別ID\Runs\個別ID2

PADのログが保管されているフォルダパス。個別IDは英数字の羅列です

また、ログファイルの中身も情報が詰めに詰め込まれており、ぱっと見なにが書いてあるのか読み取れませんでした。

PADの実行ログ。Excelファイルを開いただけの内容ですが、読み取るには慣れと根気が必要。

マクロマンの場合は、インストール時にドキュメントフォルダ内に作成される「MACROMAN」というフォルダに記録されており、すぐに見に行くことができました。

C:\Users\ユーザー名\Documents\MACROMAN\Logs

マクロマンの実行ログが保管されてるフォルダパス


そしてファイルの中身が時系列で整列しているので、比較的読みやすい形式になっています。
ただし、複数のロボットのログが1ファイルにまとまっていることがあるので、やはり読み取りには慣れが必要です。

マクロマンの実行ログ。こちらもExcelを開く動作+αですが、時間や項目が整列していて見やすい

ログファイルは頻繁に見に行くため、探しやすい場所に配置されていて、かつ見やすいというのは、RPA初心者としてはとても助かりました。

理由②スクリプト(プログラム)のPC間移動が簡単

2つ目は、スクリプト(プログラム)の移動が簡単だったということです。

スクリプトとは、マクロマンを動かすプログラムファイルのことです。
例えば「Excelを起動してデータ編集を行い、指定のフォルダに名前を付けて保存する」というロボットを作った場合、このロボットを記録したファイル=スクリプトとなります。

弊社でRPAを作成するときは、ざっくり次のような流れになります。

1.RPA担当者の開発用PCでロボットを開発=スクリプトファイルを作成
2.RPAを実装したいPCにスクリプトファイルを移動
3.実装PCでロボットをテスト実行
4.エラーや変更がある場合、RPA担当者のPCでスクリプトファイルを修正
5.実装PCにスクリプトファイルを移動し、再度テスト
(以下、正式稼働まで4~5の繰り返し)

ロボット稼働までの流れ

このように、開発PCと実装PCの間で、スクリプトファイルのやり取りが頻繁にあります。

マクロマンのスクリプトファイルは、通常のテキストファイルやExcelファイルと同様に扱えます。
そのため、コピー&ペーストやメール送付することで、ロボットを複製することができます。
複製したロボットは、指定フォルダに保存すればすぐに使えます。

弊社では主にファイルサーバーを使って、ロボットの共有とバックアップをしています

PADのスクリプトは、このようにファイルそのものをコピーしたり、メールで送ったりすることができません。
別のPCにスクリプトを移す場合は、いったんテキストファイルにコピーする必要があります。
また、テキストファイルを使ったコピーには、移動できる内容に制限があります。(下記のWebサイトが参考になりました)

マクロマンのように、通常のファイルと同じ感覚でスクリプト共有ができると、とても簡単で分かりやすいですよね。
これも社内ノウハウの積み上げ・業務引継ぎなどが楽になる!と感じられたポイントです。

理由③画面がめっちゃ見やすくなった

マクロマンはVer.5.0.0.0の時に大規模なアップデートを行い、画面や項目名がさらに理解しやすくなりました。

こちら↓が旧画面(2024年3月ごろ)です。

それでも十分に使えましたが!

そしてこちらがVer5以降の画面です(2024年11月現在)。

見やすさ・わかりやすさの印象は使っていればこそ・・・かもしれません。

マクロマンのリリース直後をご存じの方からしたら「こんなに変わったの!?」という感じでしょうね。

もちろん見やすくなっただけでなく、コマンドの追加や補助機能の改善など、様々なアップデートがされています。
弊社での導入当初から考えても、必要と思われる機能が着実に実装されているので、今後も有用なアップデートが期待できます。

まとめ

私がマクロマンを選んだ理由について、お話ししてまいりました。いかがでしたか?
簡単にまとめますと・・・

  • 練習事例でRPAの基本操作が身につくので、初めての人でも使いやすい!

  • 毎日繰り返す作業などに対して、タスクスケジューラとの連携が便利!

  • ログ確認やスクリプト共有など、開発・管理どちらも簡単!

  • これからの開発にも期待大!

こんな感じです。

これからもマクロマンユーザーが増え、便利な機能が続々と搭載されていくことを願っています。
また弊社としても、ロボットの開発代行・導入や運用の支援を行っておりますので、その一助ができますと幸いです。

マクロマンに興味を持っていただけた方は、ダウンロードしてすぐに使えますので、ぜひチャレンジしてみてください!
また、ロボットの開発代行など、お仕事のご相談も承っております。
下記の弊社特設Webサイトより、お問い合わせくださいませ。


いいなと思ったら応援しよう!