ターミナルケアとしての整体
肺がんのおばあちゃんを診た。
ステージ3だという。
背骨の触診から始まるのだが、驚いた。
力がなさ過ぎて硬結すらない。
専門的には"弛緩"といって、状態としてはもっともよくない。
がんも重くなるとこうなるのかといった感じ。
調べると、みぞおちの箇所に異様に巨大な硬結があった。
これががんの中枢だろう。整圧したがびくともしない。
それでも呼吸活点や上肢第一調律点(労宮ツボ)などに愉気をすると、呼吸自体は相当深くなった。操法前はあえぐような息をしていたが、3倍くらい深くなった。
話をうかがうと、かつて給食センターに勤めていたという。
バイト先でも給食センター勤めのママを見かけるが、猫背なことが多い。
人間関係がどこもよくないようで、息を詰めるクセがつきやすいのだろう。
がんはたいてい生活の弱点にできる。
最後に邪気吐きを教えると、おばあちゃんは私に深々とお辞儀をしてくれた。あの瞬間は涙が出そうになってしまった。この仕事をしていてもっとも感動した瞬間だった。
生命は最後のときまで、やるべきことがあるのだ。
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