症状には意味がない

「症状だけに着目するのは、意味がありません」
こんなことを言うのは多分、野口整体だけです。
どういうことでしょうか。

人間が不調の時は、視野狭窄になります。
すると一つの症状に、極端にクローズアップしすぎてしまいがちです。
結果として、症状の主原因である「一番大きな異常部位」を見落とすことが、多々あります。

頭痛の原因は実は目の疲れなのに、「ストレスのせいだ」と思い込む。
あるいは飲み過ぎのせいで足が痛いのに「骨折した」と勘違いする。

よくあるケースです。
ありすぎるほどあります。

ご自身で根本的な観察をミスしたまま適当な薬を飲んでも、残念ながら、症状は決して改善しません。
また、大衆向けの風邪薬などはそういった人間の不安につけこむ、いやらしい売り方を前提としています。
実際は、身体をマヒさせて、心と体の交流を疎外しているだけなのですが。

そういったカテゴリー・エラーを防止するため、野口整体では脊椎を観察します。
身体のあらゆる内臓は、ここに繋がっています。
内臓に起因する異常なら、まず見落としません。

その上で、施術者は身体上の調律点を観察していきます。
調律点は数十ほどありますので、脊椎の可動性と照らし合わせると、立体的な身体像が浮かび上がります。

施術では、そういった複合的な観察技法を用いた上で、「一番大きな異常部位」を見つけ出して、最小の刺激を与えます。

このような野口整体の施術コンセプトがあるため、私たち整体指導者は、症状をあくまで目安として受け止めます。
むしろ症状というメッセージを発する「深層の身体」と、その声を聞き届けなければいけないはずの「表層の心」の致命的なズレ、そのものを問題とします。
メッセージ内容そのものよりも、”メッセージのやりとりがうまくいっているか”が、より大事だということです。
深層の幽き(かそけき)声を聞くことができれば、あらゆる症状は自ずから改善します。

深層と表層の交流を手助けする。
症状は気にせず、目の前の個人を観る。
大衆向け市販薬の対極にある、まっとうな治療観ではないでしょうか。

いいなと思ったら応援しよう!