猫好き老人酒井平次さんのお話メモ。
子供の頃からなぜか猫に好かれまして、野良も簡単に手なずけられるといいますか、猫の方からよってくる感じなんです。頭を軽く撫でるだけで懐いて、私から離れなくなる。とくにエサを与えるわけでもないんですが、なぜか簡単に懐く。
街の猫と戯れるのは日課のようになっていまして、その日も路上の野良と触れあっていました。
そしたら背後に2人組の男がおりまして。2人ともスマホで私を撮影していました。
「あなたの様子を撮っていました。1ヶ月前くらいから。あなたの行動を3分動画にまとめたので見てください」
そう言われまして。
その動画には全てが映っていました。
私が猫と戯れている様子、猫に触れながら住宅を覗いてる様子、猫の動きに合わせて住宅に入る様子、空き巣をするところまで。
全部が撮影されていました。
「私たちは犯罪者です。空き巣よりもっとひどいことをしています。あなたのようなアナログな手法に興味を持ちました。あなたの力が必要です。ぜひ私たちと一緒に犯罪をしませんか?」
そう誘われまして。
気味が悪いし、面倒に巻き込まれるのはいやなので断ったのですが、
「これを見てください。猫の首14個です。この街の猫14匹をまず殺しました。断るならどんどん殺していきます」
そう言われまして。
私は涙が止まらなくなりました。猫達がかわいそうでかわいそうで。ほんとうにほんとうに悲しくて、やめくれ、やめてくれ、と叫びました。
「やめません。あなたが仲間になるまで猫を殺し続けます」
男はそう言い放ちました。
私はやめくてれ、と叫び続けたのですが、
「ちょっと落ち着いてください。謝礼はたっぷりお支払いします。まずは前金として50万円です」
そう言って片方の男が札束を出してきました。
「犯罪ごとに前金50万円、成功したら報酬を別途さしあげます」
金銭の話を聞き、私の心は徐々に落ち着いていきました。
「今回は前金を通常の2倍、100万円お支払いします。無断で撮影した慰謝料です」
私は男たちの仲間になる決心がつきました。
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