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【小説】銃を撃ってないと嘘をつく男達(1259文字)

パパパパパパパパパン!
「くたばりやがれぇ!」
「えっ…?」

 道を歩いているといきなりマシンガンっぽい銃を連射されたが奇跡的に全弾当たらなかった。

パパパン! カチカチ…
「あれっ、もう弾がないのか…!? おっかしいなぁ…」
「お前…。な、何を言ってるんだ…!?」

 危うく自分は殺されていたかもしれないということをこの時に理解する。それと同時に沸々と怒りが湧いてくる。

「おい! マシンガンなんて急に撃ってきて一体どういうつもりなんだ!」

 そいつに問い詰めた。すると、思ってもみなかった答えが返ってくる。

「お、俺は銃なんて撃ってない! 絶対に撃ってないぞ!」

 どうやらシラを切るつもりらしい。これで銃なんて撃ってないはさすがに無理がある。まずそいつは手に銃を持っている。
 銃を持っているだけならいざ知らず、撃った証拠に銃口からは煙が出ている。それでも「撃っていない!」と言う。

「てめぇーいい加減にしろよ!」
「お、俺は銃なんて本当に撃ってないんだ!」
「お前返答には気をつけやがれよ! そんな証拠まみれのクセし」て銃を撃ってないなんて通用しねぇんだよ!
「や、やだー! 近づくなー! やめろー!」
「クソッ! なめやがって! その銃を渡せ!」

 ここで取っ組み合いのような形になった。男は必死にマシンガンを守り、自分はマシンガンを取り上げようとしている形になった。

「おらっ! 渡せっつってんだよ! ゴラ!」
「やだー! やめろー! やぁーーー!」

 この時、銃口は相手の方に向く形になっていた。自分はマシンガンを取り上げようとしている時に引き金に指がかかった状態になっていた。

「クソッ! こいついい加減にしろよ! オラァ!」
「ひぃぃぃぃぃ!!!!! もうダメだー!」

 力を込めて一気に銃を奪おうとした時だった。

パパパパパパン!
「あああああああああ!!!!!」
「えっ…?」

ジューー…

 一瞬訳が分からなかった。もしかしたら今の状態を理解したくなかったのかもしれない。
 今自分の目に見えているのは相手の男が蜂の巣みたいに穴が空いていて、穴から向こうの景色が見えそうだということだ。

「…………………」
「えっ、嘘でしょ…?」

 マシンガンがどうやら全部命中したようだ。どこからどう見ても男は死んでいる。

「やってもうた、自分が犯罪者や…」

 自分は殺されそうになったから抵抗しただけなのにどうしてこうなってしまったのだろうか? 殺人される側が気が付いたら一気に自分が殺人する側になっていた。

「俺は…。俺は悪くねぇー! うわぁーーーーー!!!」

 すると、近くに人が通りかかる。

「やばい、このままだと俺は完全に殺人者だ…。もしかしたら今通りかかっているアイツに通報されるかもしれない…」

 そして自分は手に持ったマシンガンを見つめる。

「やるしかねぇ!」

 通りすがりの男に銃口を向けた。

「くたばりやがれぇ!」
「な、なんだ…?」

パパパパパパパパパン…!

 全弾外した。

「あれっ、外したのか」
「お前…。なんのつもりで撃ったんだ…?」
「いや、俺は撃ってないんだ…。」

~おわり~

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