指す将順位戦5th A3リーグ第9局 vsひややっこさん戦
少し間が開いてしまいましたが、指す将順位戦の自戦記です!
まさかの、前回のIDとパスワードを忘れてしまったので、新しいアカウントで心機一転、書いていこうと思います。
第9局のひややっこさん戦になります。
(対局にあたって)
8局目終了時点で、私ずーは6勝2敗、ひややっこさんは5勝3敗。
どちらも昇級が見えている中、絶対に負けられない戦いだと思いました。
口三味線、盤外戦術なんでもござれで有名(!?)なA3リーグですが、静かに燃えておりました。(ブルブル)
(対局準備・ひややっこさんについて)
ひややっこさんといえば、これは皆さんご存じかもしれませんが、棒銀をとても得意にされています。
そして、サトシンではないですが、序盤から終盤にかけてスキがない。
ひややっこさんの指す将A3リーグの対局はこれまで何局も観てきましたが、勝ちパターンとしては、序盤で大きく優位を稼ぎ、終盤までそのリードをキープしつつ、勝ち切るという印象を持っています。
当然、序盤で優位を築かれた対局相手は綾を求めて色々な方面から攻めていきますが、冷静に、そして辛く対処する、安定感の強いタイプだと思いました。
この点、思い出すのは4戦目のvsポラリスさんの将棋。
この△33歩のような落ち着いた手を繰り出してくるのがひややっこさん。
▲34桂打ちを消す実戦的で冷静な手だと思いました。
指されてみると、先手は綾を消されて嫌な手です。
この将棋を見たとき、強いと確信しました。
そのため序盤で優位を築かれるわけにはいかないという思いが強かったです。
対局に当たっては、棒銀への対策は必須でした。
しかし、振り返ってみると、まさかの、「棒銀対策がない」という事態。
もっと正確にいうと「有効な手持ち対策がない」。
ええ、自分でもびっくりしました。
野良の24で戦うとき、相手が棒銀にしてきたら対応する方法はいくつかあります。
銀を交換させる筋、銀を引く筋・・・いろいろとあるのですが、どれも少し押される展開になり、終盤をごまかしてカウンターで勝つ、という将棋しかなかったのです。自分には。
少し押される展開からでは、これまでのひややっこさんの将棋をみるに、終盤でまくることは難しい。
ひややっこさんの終盤の強さもいろいろとみてきましたが、代表的に思い出すのは、3戦目のvs面妖流さんのこの局面でしょうか。
ひややっこさん▲28金。
もはや穴熊が完成してしまっています。
両者の熱戦を物語る局面ですが、ここからひややっこさんは勝ってしまいました。というか、ここまでに至る手順もすごかったです。
レーティングの差でいうと面妖流さんとは500程度と結構離れていますが、想像以上の強さを感じました。
とてもR1100帯の将棋とは思えない、というと失礼かもしれませんが、本当にそう思いました。指す将はレートは関係ないんだ、とこのとき思いました。
この対局、ご覧になってない方はお時間ある時にでも見てほしいのですが、すごい迫力の終盤でした。
指す将A3の名局賞があるのだとすれば、間違いなく候補にノミネートされるレベルの熱のこもった対局でした。
いろいろと書いてきましたが、ひややっこさんとの対局を迎えるにあたり、
①棒銀対策を徹底すること
②棒銀対応は互角で終わらせること
③終盤までなるべく劣勢にならないこと
を意識しました。
①~③は似たようなことを書いていますが、つまり、棒銀の攻防は無難にこなし、まずまずの局面で終盤を迎えたいなと。
大きく差を離されず、ピッタリと後ろをついていくのが大事だなと考えていました。
全体の方針はこういったイメージです。
ひややっこさん分析としては以上です。
(対局準備:棒銀対策)
そのうえで、棒銀対策をどうするか。
これは大変悩みました。
いろいろと考え、私は対局の前日まで、「ノーマル四間飛車」を指そうと思っていました。
「Ibisya-Minarai」という居飛車をひっさげたIDにも関わらず、振ってもいいのか?居飛車からの逃げではないのか?
という自分への問いかけみたいのもありましたがw
最近指してないけど大丈夫なのか?
急に採用して勝てるものなのか?
など、いろいろと不安はありました。
私は昔、振り飛車党でした。
鈴木大介九段のパワフルな将棋に憧れ、先手なら石田流、後手なら四間飛車で、ガンガン攻める将棋を指していました。
その時に、四間飛車のバイブルとして持っていたのが、みなさんご存じ、藤井猛先生の「四間飛車を指しこなす本」です。
鈴木大介九段の本じゃないのかと思われた方、すいません。笑
四間飛車の急戦対策は、指しこなす本①に載っていますが、当時の私はその手順に感動し、表紙の赤の装丁が変色するくらいこの本を読んでいました。
多分20回以上は読み返していると思います。
この本を読んでいたのは将棋倶楽部24で11級~12級の頃ですが、振り飛車の基本を学べたと思っています。
振り飛車の基本は四間飛車で、対急戦だと思っています。
指しこなす本は②、③が出ていますが、お気に入りはやはり①です。
今でもこの本を書店で見つかるととても懐かしい気持ちになります。
話がそれましたね。
私の振り飛車党時代の話はいずれ書きたいと思っていますのでその際にでも書くとして、続きを書きます。
ひややっこさん戦に「ノーマル四間」で挑むことについて。
四間飛車なら、棒銀対策も道(定跡)が整備されているし、終盤勝負にできるのではないかと考えました。
しかし、そこで思い当たる。
そう、ひややっこさんは棒銀もさされますが、対抗形ではよく、以下のような形を指されることに気が付きました。
私がひっそりと「ひややっこ急戦」と呼んでいるこの形の対策を考えないといけません。
57銀右急戦の1変化とされているこの形。
私が振り飛車をよく指してた頃もあまり遭遇することもありませんでした。穴熊が全盛期(今も?)な時代だったので、藤井システムからの一変化で出現することはありましたが、メジャーではなかったと記憶しています。
それほど本に載っていないこの形を、「激指13」先生と模索する日々が始まりました。
研究の内容は、ひややっこ急戦の対応手段をメインに、中盤の出口~終盤のあたりまで研究しました。
1手指しては検討にかけ、相手の手を予想しながら感覚を戻していきました。
前日まである程度のトレーニングを積み、「これで形にはなるか」というところまでは調べたのですが、前日の夜、湯船につかっているときにある筋が気になりました。
湯舟からあがって調べてみると、ソフト的には「互角」程度でしたが、私の棋力ではどう見ても居飛車よしにみえる形でした。
詳しいことはここでは伏せますが、その形に自信を持てませんでした。
この変化になったらとても、終盤でまくれるような気がしない。
ひややっこさんは冷静に「受け」にシフトしてくるだろう。
そしてヘタクソな私の攻めは途切れてしまうだろう。
そう思って、やめました。
急遽作戦を変更し、自分がよく使う「雁木」で対抗することにしました。
「雁木」は四間飛車ほど整備された定跡手順などはありませんが、いつも指しているので、結果はどうあれ、自分の力が一番出せるだろうと思ったからです。
この段階で、正直、「これは負けたな…」と気が遠くなりましたが、雁木の対抗策について、雁木の本や激指先生、そして将棋Youtuberの動画に教わりながら、対局の時間を迎えました。
対局前は、指す将の一部で流行っているダッツで入室のくだりをやるぞ~と意気込んでおりましたが、それどころではなく、バタバタの対局となりました。
(対局編)
以下、対局のポイントを絞って書いていこうと思います。
この角で対抗する形が準備の一着でした。
ここに至るまでに工夫したことは、
①飛車先をつかない(ついてる余裕はない)
②右銀の保留(動かしている余裕はない)
③玉は動かさない(戦場に近づかない&右玉を見せる)
の3つです。
棒銀はフットワークが軽く動けるので、こちらも、不必要な手は指せません。
そしてひややっこさんは早めに棒銀を繰り出すタイプ。
事前に方針を決めたうえで臨みました。
ここで私の予想では△62飛車でしたが、ひややっこさんは△63金と指されました。
正直この対策はなかったですが、事前準備と同様に、
「袖飛車」
で攻めることにしました。
袖飛車といえば、指す将では有名なヤギのお方がいらっしゃいますね。
対局中も思い出しました。(なんのコメント)
前図からの次の一着。
結果的に、▲45歩があまりよくなかったのかもしれません。
角が先手の角と金をにらんでいるため、動かす手が厳しいような気がします。代えて▲33歩のような攻められる手が嫌でした。
ソフトに聞いたところ最善は▲76歩と打って飛車を引かせる(同飛車は▲65銀がある)のがベストらしいです。なるほど。
確かに飛車の横ききがなくなるのはいやですね。打たれていたら本譜とは全く違う展開になっていたと思います。
対局中はこのカウンターの△35歩でてごたえを感じましたが、よく検討すると、ここで▲97角があったようです。
以下△72飛車を引いて▲64角から角を交換し、
▲35金△55角▲36飛△99角成。
馬ができて少し後手がいい気がしますが、いい勝負な気がします。こう指されていたらまだ難しい将棋だったと思います。
本譜は図から▲46金だったので、△15銀が打てて、優勢を意識しました。
進んだ局面。
ここでノータイムで△48金と権利金をとってしまいましたが、最善は△86角だったようです。
▲同歩なら△59銀~△48銀成~△87金のようなしばりがあり、本譜のように左辺へ逃がすような心配をしなくていいとのことでした。
いろいろと読まないといけないなぁと反省しました。
以下、手数は続きましたが、なんとかそのまま勝つことができました。
(対局を終えて)
正直、自分では予想外の結果で、前日に「ノーマル四間飛車」を諦めたときは、もう勝てないかなと思っていました。
勝因としては、目的をもって将棋に取り組めたことと、四間飛車を諦めた後も雁木での対策をもって臨んだことにある気がしています。
対局相手がいて、それに備える、という指す将の醍醐味ともいえるプロセスを踏めた気がします。
指す将も残り2局となりました。
対戦成績は7勝2敗。
自分としては出木杉の、A3リーグ暫定で1位の成績になっています。
昨日ポラリスさんがまとめてくださったように、暫定で1位とはいえ、勝敗によっては順位が大きく下がってしまうこともあるようなので、最後まで気を抜かずに頑張ります。
(ポラリスさんの記事)※指す将閉幕までの限定公開
次局は、暫定3位のうぇいつぅさんとの対局です。
うぇいつぅさんの成績は6勝3敗。
血で血を洗う大勝負になりますが、今回みたいにしっかりと対策をたてて、臨もうと思います。
純粋に、全力で勝ちに行きたいと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
またブログ書きます。
(追伸)
記事の途中で棋譜を使わせていただいたポラリスさん、面妖流さん、ありがとうございます。不都合等あれば消しますので、何なりとお申し付けください!