ハスラーになるのを夢見てたときの話
夜の静寂。
蛍光灯の下、煌めく緑の台。
カーボンのキューを握る細い指。
その持ち主はショートヘアの少女――とらねこ。
大学帰りの午後七時。
授業の余韻も、テストの憂鬱も、すべて忘れる時間。
手に馴染む革のグローブ。
目の前には、整然と並ぶ鮮やかなボールたち。
一球目の衝撃。
カキン、と響く独特の音色。
緩やかな弧を描く白い球。
跳ね、滑り、絡むように消える他の球たち。
「ナイスショット」
隣から飛ぶ、無骨な声。
常連の先輩プレイヤー――あだ名は「ジャック」。
無愛想だが、