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むかご飯

ヤマノイモを掘って食うと旨いので、
庭に生えたものを育てている。

しかし、生えてほしくない場所にも生える。
伸びて伸びて伸びまくって、樹木を覆う。
宿の木を枯らしてしまいかねない。

だから、生垣となっている躑躅の植え込みの中から生えたものは
昨年、芋をせっせと掘った。
しかし、ツツジの根っこが縦横無尽に張っているので、
うまく掘り出せない。
どうしても途中で折れてしまう。

芋の上の端が成長点だろう、
そこを取れれば来年は生えてこないだろう。
なんて思ったら、甘いんである。
また生えてくる。

どこまで掘れば二度と生えてこなくなるくらいのダメージを与えられるのか。
なんせ、芋が全体でどれくらいの大きさ長さに成長しているのか、
全体像が見えないのだから、分からない。

私の腕を全部突っ込んで届く限りまで掘り出しても、
耳の穴に土が入るくらい地べたに這いつくばって掘り出しても、
また翌年にするすると芋蔓が伸びてくる。
おそろしい。

だから、生えて欲しくない場所にヤマノイモが生えてきてしまったら、
芋が長く成長してしまう前に掘り出す必要が有る。
とは言え、見落としも有れば、
上記のように、いくら掘ってもまた生えるということも有る。



芋のように長々と書いているが、要するに、
駆除しそこねた芋からイモヅルが伸びまくり、
我が家の生垣や庭木を覆い尽くしたのだ。

夏の間、それを見て見ぬふりし続けた。
いやひどい藪。



葉が黄色くなったら、芋を掘る適期である。
今はまだその手前だ。



むかごがたくさん付いている。

わーい。
じゃない。

恐怖である。

これが地面に落ちたら、またしてもこぞって芋が育つのだ。

種もたくさん付いている。
半円が三枚組み合わさったへんなのが、
あの薄っぺたいのが実なのだ。
薄っぺたの間に種が入っている。
薄っぺたの間に入っている種だから、
更に薄っぺたい。
こんなのが地面に落ちたら、見付けにくいことこの上なく、
そっからまたしてもぞろぞろと芋が育つのだ。



せめて、見えやすいむかごは取ろう。
食って旨いのだからむかごは取ろう。

庭仕事しながら、ひょいと手を伸ばして、
生のままポリポリサクサクやるのも旨い。
あいや、別にそんなに特に美味ってんでもないけど、
食感が良くって、独特の香りがするので、楽しい。

いつもそうやってつまみ食いをしていた。
しかし、今年はバカに豊作である。



芋欲に目のくらんだ私が芋蔓をずいぶん放置したせいも有るが、
剪定が行き届いたおかげで芋蔓にも陽当たりが良く、
盛んに繁ったことも有るだろう。

直径2㎝を超すものも多い。



2週間ほど前には、甘辛く炒め煮にした。
サイズが小さいと、皮の苦みとゴワゴワした食感が強いので、
味を強めにしたのだ。

今日は大きめのものを、炊き込みご飯にした。
米2合強、むかご100g弱、塩小さじ4/3。
ご飯の炊ける匂いに、むかごの香りが混じって、いい感じだ。

ホクッとした歯触りに、かすかにトロみが混じる。
旨い。


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