芝の穂を摘む
毎朝、近所のドッグランに通っている。
我が犬ウーゴくんは、そこで毎朝排便をする。
そこでしかしない。
だから、台風が来ようが雹が降ろうが、毎朝ドッグランに行く。
※
2年近く前に、半年以上の期間を閉鎖して、改修工事が行われた。
新しく土が盛られ、西洋芝の種が蒔かれた。
種は妙な青緑の液体に混ぜられているようで、
撒布されると、一旦は一面が青緑色になる。
数日経つとこの色素が落ちてきて、乾いた土の色になる。
撒布した直後に雨が降ると、土に種が定着しておらず、流れてしまい、
低い所に水溜まりとなって種が溜まってしまう。
おかげでマダラな仕上がりとなった。
そこへ毎日、多くの犬と飼い主が来るので、
あっという間に芝はハゲチョロケになってしまった。
※
芝のハゲた地面は、固い土と石ころだらけの荒地。
晴天が続くと乾燥して土埃が上がる。
まあ、以前よりは水捌けが良くなった。
以前は、雨の後は海のようになり、その後ぬかるんだものだ。
水捌けが良いのは良いけれど、それは石ころだらけということでもある。
この感じをいやがる利用者は多い。
※
だから、石ころを拾って集めたりする向きも有るようだ。
しかし、私は反対だ。
石ころを取り除くと、乾いて風が吹いた時に土埃がひどくなる。
風で土が飛べば、次の石ころが現れる。
堂々巡りだ。
玉砂利ではなくて、尖った石ころなのが困りものなんだとは言え、
取り除くというのは無理だろう。
それに、もし取り除くことができたら、今度はまた以前のように
水捌けが悪くなるだろう。
※
芝の生えている所に、穂が出ている。
写真を撮って、検索してみる。
うまくいかない。
穂がしっかり写るように、穂の後ろに手のひらを入れて撮った。
これでうまく検索できる。
すっと伸びた茎から5本くらいに分岐した細い穂が出ている。
これは、芝の穂であった。
私と同じように、手を添えて撮った写真が検索結果に出ている。
その記事に飛んでみる。
※
その人曰く、「芝の穂は摘むべし」と。
花穂を出しっぱなしだと、そこに栄養が行ってしまう。
花穂を摘むことによって、その分の栄養が他に回り、
しっかりとランナーを伸ばして、芝生が広がる。というのだ。
おお。これじゃ。
ぷち。
ぷち。
ぷち。
指で摘まんで引けば、簡単に摘める。
ぷち、ぷち、ぷち、ぷち、
目に入る穂を片っぱしから摘む。
両手で摘む。
そのうち、開きかけの穂が見えるようになった。
ぷちぷちぷちぷち
慣れてくると、全く開いていない、穂の芽も見分けることができるようになった。
穂をくるんでいて、わづかながらふっくらしている。
ちょっとかわいい。摘む。
※
調べると、
これはどうやら「シバ属」ではなく、
「ギョウギシバ属」という別の属のものらしい。
バミューダグラスと呼ばれるものだ。
踏まれに強いので、グラウンドなどに使われるようだ。
なるほど。
ドッグランの踏みにも耐えて欲しいところだ。
※
「何やってるの?」
朝のドッグラン常連仲間が声をかけてくる。ので、
説明する。
「へー。
これ?」
そうそう、それを摘むんです。
みんなで摘めば摘みきれるかもしれない。
たくさん出ている所なんか、掴み取りじゃ。とりゃ!
※
翌朝ドッグランに行くと、先に来ていた常連さんがしゃがみ込んでいる。
ここでしゃがむのは犬だけだろ、と思ったが、
今朝も芝の穂を摘んでいるのだ。
いいぞ。
これで地面剥き出しの部分が減ったら、我らの手柄じゃ。
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