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なぜサイヤ人のシッポは生えなくなったのか?【ドラゴンボール考察】

※本稿はGT等後発作品やアニメ版、その他設定資料や談話は考慮せず、原作漫画版の描写のみを正とします。

サイヤ人はシッポがある種族である。

幼少期の悟空はまさにシッポがあることが物語上のアイコンだったし、悟飯も生まれたときからシッポがある。ベジータにも当初はシッポがあった。
しかし物語が進むと彼らのシッポは消失してしまう。

劇中、ベジータはシッポについて以下のように発言していた。

出典:ドラゴンボール完全版17巻

「かまわん そのうちはえてくる」と断定的な表現を使っており、シッポが再生することにある程度確信を持っていたと考えられるだろう。
実際に幼少期の悟空や悟飯は失ったシッポがきちんと再生されている。

しかし、彼らのシッポはいずれもナメック星以降は生えてこなくなってしまった。これはどういうことなのだろうか?今回はそれについて考えていきたい。

処置をされた悟空

まず悟空については神様が永久的に生えてこないようにしている

ああ神様がとっちまったんだ
よくわかんねえんだけど消えちまった月をもとに もどしたいから
オラにシッポがはえてんのはジャマだっていうんだぜ

出典:ドラゴンボール完全版12巻

そ そのシッポはわしが永久にはえないようにしてやろう・・・
な なにかとジャマであろうからな・・・・・・

出典:ドラゴンボール完全版16巻

劇中でしっかり明言されていることなので、悟空に生えてこなかった理由はこれで確定である。

しかし、ベジータと悟飯にそのような処置が行われていたかというと可能性は低いだろう。悟飯はともかくベジータがそんな処置を受けるとはまず考えられないため、何らかの要因によって生えてこなくなったと考えられる。

2人のシッポに共通点はあるのか?

2人のシッポの共通点を探してみると、一応、二人とも鋭利な刃物で切断されているという部分が挙げられる。
しかし初期の悟空はハサミで切断されても生えてきたし、引っこ抜かれても生えてきた。切断面によって再生が変わるというわけでは無さそうだ。

また回数の面でも悟空は3回生えてきているが、悟飯はまだ再生1回、ベジータは劇中内の描写では再生0回である。再生回数の上限に達したということでも無さそうだ。

その他、尻尾が再生するかどうかにランダム性や個人差がある可能性も捨てきれないが、それであればやはりベジータの「かまわん そのうちはえてくる」のセリフには違和感がある。生えるかどうかわからないのならこのような確信めいた表現はしないはずだろう。
やはり本来は生えてくるはずだったが何らかの理由で生えてこなかった、と考えるのが妥当だと思われる。

彼らのシッポの状況に共通点が無いとすると、シッポが生えなかった要因はシッポ以外の部分なのかもしれない。
一つ確実に二人の共通点として言えるのは、ベジータも悟飯もシッポを失った後、サイヤ人の常識を超えるほどに強くなったということである。

大猿を超えるほど強くなった2人

ナメック星以前のサイヤ人最強はベジータだったが、その戦闘力はわずか18000強である。大猿で10倍になってもたったの18万にしかならない。
ナメック星後半以降の彼らは優に100万を超えており、大猿にならない状態で大猿以上の力を持っていると言っていいだろう。

また、彼らが一般のサイヤ人と異なるポイントとしては、「気(戦闘力)のコントロール」ができることも挙げられる。
初期ベジータやナッパ、ラディッツは気のコントロールができず、それができる地球人に驚愕していた。悟飯とベジータは本来サイヤ人ができないはずのことができるのである。

それらの2つの描写からの仮説として、

  • サイヤ人は元々気のコントロールができない種族であり、潜在能力を引き出すためには大猿になるしかなかった

  • しかしベジータと悟飯は気のコントロールの洗練によって大猿の姿を取らずに潜在能力を発揮できるようになった

  • もう大猿の力を発揮できているのだから、シッポが存在する理由はなくなり、生えてこなくなった

と考えると、シッポが生えてこない理由として筋が通っていそうだ。

要は、ピッコロ大魔王を倒した時の悟空のような、大猿パンチを常時できるようになっていたということである。

出典:ドラゴンボール完全版11巻

それらを裏付ける要素としては、フリーザ戦でのベジータに尻尾が無いことを悔やむ描写が一切無かったことが挙げられるだろう。

ナメック星終盤のベジータは推定100万以上のピッコロを上回るほど強くなっており、更に10倍ともなればフリーザ相手でもかなりの勝負はできたはずである。

出典:ドラゴンボール完全版21巻

もしここから大猿になれるなら限界はまだまだ先であり、「くっ、大猿になりさえすればきさまなど!」などの言葉が出てきてもおかしくはない。(「ムダだよ、パワーボールを破壊するからね・・・」とか言われそうだが・・)

しかしそういった様子が全く無かったということは、ベジータにはもう大猿の潜在能力も含めて全ての力を使っている感覚が実感としてあり、だからこそ限界を感じて絶望したのではないだろうか。ベジータにはもう完全に余力や伸びしろは無かったのである。

また、そうだとすると、トランクスと悟天に尻尾が無かったのも同じ理由と考えられる。

出典:ドラゴンボール完全版31巻

この時のトランクスと悟天の戦闘力は、超サイヤ人状態を考慮しなかったとしても十数万はあるはずだ。(トランクスは150倍の重力の中でもゆっくりだが歩けていた)

ベジータ大猿の18万を基準にすれば、彼らもやはり本来の大猿レベルを超えた戦闘力に達しており、そのため尻尾が消失したのだと考えられる。

なお、トランクスは赤子の時点で既に尻尾は生えていないのだが、

出典:ドラゴンボール完全版23巻

これは住んでいる場所が都会であるため、誤って大猿化しないように尻尾を処理していたと考えると辻褄は合うだろう。

まとめ

  • 大猿化は気のコントロールができないサイヤ人が本来の潜在能力を引き出すための手段だった。

  • 尻尾が生えてこなかったのは、気のコントロールが洗練され、大猿の力を大猿にならずに引き出せていたから。

余談

  • 悟飯の例では尻尾をピッコロに引っこ抜かれた後、ベジータ戦の最中に再生するまで1年弱の期間を要している。少年期の悟空の例でも、プーアルに切断されてから天下一武道会で再生するまでに8ヶ月を要しており、切断された尻尾が生えるまでは1年弱の期間が必要なのだろう。

  • 同じく悟飯と少年期悟空の描写から、尻尾は再生する際、徐々に生えてくるのではなく、ある時に一瞬で生えるようだ。ピッコロの再生のように実はビチョビチョに濡れて出てくるのかもしれない。

  • ドラゴンボール超の設定資料では、尻尾はあるサイヤ人と無いサイヤ人がおり、無いサイヤ人のほうが戦闘力が高いと説明されている。また、超での第6宇宙のサイヤ人は代重ねによって尻尾が生えなくなっている。

  • ドラゴンボールGTではベジータベビーが金色の大猿になったり、超サイヤ人4への変身に尻尾が必要だったりと、改めて尻尾と大猿の存在がフィーチャーされている。

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