
01「MとRの物語」・序章 「シチショウホウコク」
序章
シチショウホウコク シチショウテンセイ
アラヤサウナリ マクマノメイドウ
俺は漂うおびただしい光の粒を、ただただ見つめていた。
寄せては返し、寄せては返すその波は、
俺の心を洗い癒した。
眼前に広がる、ただただ白い、光の空間。
俺は今ここで、何をしているのか。
俺は以前ここで、何をしていたのか。
そして俺はこれから、何をなすのか。
焦燥は、あった。
だが今は、それを隠すのだ。
俺は右手を上げ、光の粒を慈しむ。
彼らと一体になる。
俺は至福を感じ取る。
そろそろ、時は満ちたのか。
矢と剣と、ペンで傷ついたこの身体。この精神。
もう、癒えただろうか。
俺は右手の拳を、力いっぱい握りしめた。
目を覚ませ、大丈夫だ。
その心の声に、俺はゆっくりと起き上った。
周囲の光の粒がざわめき、俺の眼球を強く刺激した。
俺の全身から、何かがほとばしった。

シチショウホウコク シチショウテンセイ
アラヤサウナリ マクマノメイドウ
「さあ、ゲーム再開だ」俺は唇をゆがめて笑った。
2017年5月23日 作家・M
<つづく>