【ひとまず総括】結局、パワハラおねだり問題とはなんだったのか
※斎藤氏が再当選ということで、私も行き過ぎた所があったことを反省し、現時点での気持ちを総括しておきます。ただし、真相はまだ判明していないため、「斎藤氏ごめんなさい」とは、私はまだ言いません。彼にも少なからず、反省すべき点はあったと思うから。それはこの記事の後半で触れたいと思います。
結局、パワハラおねだり問題とはなんだったのか
01.百条委員会でのもやもや
うーん、釈然としない(笑
いや、実は私も、百条委員会辺りから、「何かおかしいな」とは思っていたんです。
瞬間湯沸かし器のように、ちょっとしたことでブチ切れる男だと思っていましたが、全くそんな感じではなく、極めて冷静に淡々と、反省する所では反省し、やりすぎだったことも認める。告発文書の印象と、全く違うではないかと。また、一番印象的だったのは、彼の発言が全くぶれないこと。これをもって「鉄面皮」と感じた人も多くいただろうし、私もそう感じたのですが、でも主張に一貫性があることは、その発言の信ぴょう性を占うのにとても役立ちます。少なくとも彼が嘘を言っているようには、私には思えなくなってきました。
それで私は、「ひょっとしたら斎藤氏は、側近にうまくだまされて、利用されていた裸の王様だったのかも知れない。一連の出来事と、元県民局長の自死によってそのことに気づいてしまい、プライドの高さと、恥ずかしさで何も言えなくなってしまってはないか」と、怪しんでいました。
で、片山元副知事の動画なんかも、確認してみました。彼や、顧問の弁護士などが、斎藤氏に誤った法律知識を与えることで、迷走させてしまったのではないかと思い、それを確認したかったからです。
ですが、そんな様子も見られませんでした。片山元副知事の態度は、不遜でいい加減には見えたのですが、言ってる内容は一貫している。「斎藤知事の命令でやった」と、彼にボールを丸投げするような、無責任な部分も多少は感じたのですが、まあ嘘と断言できるわけでもなく、もやもやした印象が残りました。
02.私がこの問題に異常なほど関心を持っている理由
で、この時点で「何が本当なのか」と疑念に包まれていた私。
「自分のことでもないし、兵庫県民でもないのに、なんでそんなに関心があるの?」と思われる方のために、ご説明しておくと、実は私はとある企業で、上司から犯罪者扱いされ、人事を撒き込んでの大バトルをした経験があったのです。
なので自殺された元県民局長も、私同様の、組織ぐるみのパワハラの犠牲になってしまったのではと同情し、彼のご遺族の応援がしたいと思っていました。
たぶん、そんな感情を抱いていたのは、私だけではないでしょう。マスコミが斎藤氏のことを叩いていたのは、私のように「共感力」が高い人達が、元県民局長と彼のご遺族に共感し、なんとか真実を暴き、諸悪の根源を罰したいと、そんな義憤にかられての行動だったと思います。
まあ結果的にそれは、斎藤知事を不必要に追い詰めてしまうことに、つながってしまったのかも知れません。
03.マスコミで報じられなかった事実とは
うーん、これ、「百条委員会とマスコミで、隠蔽が行われた!」なんていう陰謀論がすっかり浸透してしまっていますが、私はそこは、微妙だと思うのですよねえ。
まず百条委員会の生中継をネットで見ていた時、「PCの中身を調べた所、クーデターを匂わせる文章や、不適切なデータが見つかった」、という証言に対し、コメント欄で、「元県民局長、公用のPCで小説なんて書いてたらしい」、という情報の漏洩がありました。
「ふうん、まあそれくらい、いいんじゃね?」、と私は思い、またPCの中身が精査されて色々暴かれているらしいことに、戦慄を覚えました。「いやいや、いくらなんでもPCを回収してその中身をつぶさに調べるなんて、やりすぎでしょう、警察じゃあるまいし」と思いました。
百条委員会の委員長が、そのデータについて語ろうとした片山元副知事の発言をやめさせ、一方的に休憩に入ったというのが、「隠ぺいだ」と言われているようですが、私は委員長のそういう判断も、ありだと思います。
もともと、保護されるべき公益通報者を、特定するためにメールや通信のやり取りとか、PCの中身を調べるというのは、プライバシーの侵害。いくら公務員と言えども、と思っていました。まあでも、今になって振り返ると、斎藤氏が自分にも職場にも厳しい人で、税金で購入した公用のPCを、自分の趣味や、「クーデター」や「不適切行為」の作成・保存に使うことを、許せなかったのでしょう。
04.斎藤知事と、片山元副知事に反省して欲しいこと
百条委員会で、「元県民局長のプライバシー」に関するコメントを封じられていたらしき、お二人だったようですが、自分達に正義があるという自信がもしおありなんだったら、その根拠をどんどん、百条委員会で発信して欲しかったです。
お二人にとって、亡くなられた県民局長が、元部下であったり信頼できる仲間だったのかも知れないですが、一度その人を疑いプライバシーを暴いてまで真相究明しようとし、「アウト」と判断したのであれば、百条委員会でどれだけ止められようとも、それを証言するべきだったと思います。それが出来なかったのは、お二人の優しさとか、モラルとかポリシーだったのかも知れませんが、そのためにここまで、話がこじれてしまったのです。
さらにお二人にとって不幸だったのは、お二人の証言が、元県民局長の行為を矮小化する方向で、成り立ってしまったこと。どういうことかというと、「公用のPCで不適切な文書を作成することは、公人として許されないことだ」というようなことを、おっしゃっていましたが、その「不適切な文書」というのがきっと公益通報で送られた文書だったのだろうと、みんなに誤解をされてしまったのですよね。
実はそうではなかったと。
もちろん、通報で送られた文書も作られていたと思うのですが、それ以外のあれこれ。職場内の不倫と思われる画像や動画、あと「小説」を書いていたとのことですが、その内容も気になりますね。それらの情報から、「公益通報ではなく、クーデターであり不適切な誹謗中傷行為だ」と判断されたのであれば、百条委員会でもいいし、マスコミに対してでもいい、またSNSでもいい。堂々とそれを、発信して欲しかったです。
政治家は有権者の代わりに議論する者、語る者。
一人の人間として以前に、県知事としての説明責任は、今後はしっかりと果たして欲しいと思います。
05.さらに致命的だった失敗
選挙が始まり、N党の党首、立花氏が参戦し、色々情報を出してくれた。それで「真実」を知り、多くの人が斎藤県知事に理解を示して投票し、彼を再当選させました。
それはそれで、よかったと思います。
が、本当にそれで解決したの?
百条委員会では、公益通報者保護法で保護されるべき人が、内部の捜査によってプライバシーまで暴かれ、内臓の裏側まで精査され、それが世に報道されることを苦痛に感じて死を選んだ、というのが「真相」だったようですが。
やはりその初動は間違えていたと言わざるを得ないと、私は思います。またその点、百条委員会で出した結論、「知事として不適任」は、正しいと私は思います。
第三者に調査を依頼・検証を依頼せず、側近や人事部に犯人捜しをさせたこと。それは断じて許されない、時代に合ってない行為だと、その考えは私は譲れません。
立花氏によれば、「おねだりやパワハラの問題が、百条委員会の主旨だったはずなのに、いつの間にか公益通報者保護の問題に、すり替えられてしまっている」、とのことですが、それを言うなら「公益通報にまつわる自死の問題が、職員によるクーデターや不倫行為の是非という問題に、すり替えられてしまっている」というのも、同じくらいに不適切な印象操作、論点ずらしであると、私には思えるのです。
まあでもそれは、「どこを重視するか」という視点によって重みが変わるので、立花氏が間違えているわけでもないし、私が間違えているわけでもない。「どっちもあり」だと思います。
06.今後のマスコミにお願いしたいこと
今回の選挙での勝利で、「マスコミに勝利!」、と湧いているネット民の方が多数おりますが、決してこれまでのマスコミの報道が「偏向」していたわけではないと、私は思いますし、マスコミの敗北ではなく、今後新たな新世界が日本に生まれるわけでもないと、私は思います。
「公益通報者保護」という観点から見れば、マスコミの報道は適切でした。(立花氏の立候補を隠蔽しようとした神戸新聞の若干不適切な事例などもありますが(笑))
ただ、私同様に、被害者とされていた元県民局長に「過共感」してしまい、一方的に斎藤県知事を叩いてしまっていた部分は、あるかも知れません。
無論その原因は、斎藤知事および側近の方々による初動のミスと、百条委員会で果たされなかった説明、その2点にあると私は思うのですが、そういう隠された事情、言うに言えない事情もあるのではと、慎重に精査した上で、報道の姿勢を決定していってもらえればなと思います。
今思うと一番適切なコメントを発していたのは、橋下徹氏だったかなと思います。彼は確か、こんなことを言ってました。
「斎藤知事は、相談できる人がいないのではないか。俺が飲みにでも誘っていろいろアドバイスしてやりたいよ」
今にして思うと確かに斎藤知事は、孤立無援だったのかも知れないですね。マスコミも我々ネット民も、そんな孤立無援の人を、叩きに叩いて叩き潰すようなことは、やめないといけないですね。そこは反省しましょう。また斉藤知事に寄り添い、潮目を変えてくれた立花氏には、色々もやもやする所はありますけれど、それは置いといてありがとうと言っておきます。ありがとう立花氏。
07.今後の私の予定
で、兵庫県の市政に関する私の関りですが、もともと政治的な関心があって、この問題をウォッチしていたわけではないので、またしばらく静観させていただこうと思っています。もともと知りたかった、「なんでこの知事さんはここまで鉄面皮でいられるのか。報じられてない何かがあるのでは」という私のもやもやは、解消されましたのでよかったです。兵庫県のみなさんが、より幸せになれるような、すばらしい兵庫県になることをお祈りいたします。
今後の究明により、実は斎藤知事が完全な被害者であったと断定されれば、その時は私も深くお詫びをしたいなと思っています。それまでごきげんよう。
2024年11月19日追記:
・アンケートの結果について
斎藤知事および側近に今後お願いしたいことをもう一つ。斎藤知事自身が、ご自分に厳しい方であるというのは今回充分わかったのですが、アンケートの結果、パワハラについて噂を聞いたことがあると回答した職員が、確か4割ほどいたはず。それはつまり、斎藤知事の考える「公職」への姿勢や覚悟と、職員が考えるそれに相当乖離があるのではと考えます。県民の希望に沿った政治は当然大事ですが、職員も「県民」です。県知事としては当然、職員さんの声も聞き、乖離があるならそれを埋めていくよう努力していただきたいと思います。まあこれは、斎藤知事ご自身、充分反省されているようでしたので、私が心配することではないかも知れませんね。
・職員は県庁の備品ではない
公務員というのは、相当な覚悟のいるご職業だと理解していますが、首長が警察まがいの内部捜査を強制で行うのが許されるほどの、滅私奉公、奴隷扱い、ロボット扱いというのはいかがなものかなと思います。職員さんたちは人間です。また公務員である以前に県民です。県知事が自由に使うことのできる備品では決してないのです。いくら「誹謗中傷性が高い」と、初動で判断できたからと言って、ご自分で早々にそれをもみ消そうとしているかの様な暴挙は控えるべきではなかったかなとやはり思います。犯罪まがいの、誹謗中傷性が高い文書だと判断できた時点で、警察に通報するという手も、あったでしょう。それなら私もにっこりです。参考にしていただければと思います。元県民局長さんと似たようなバトルを、所属の組織とやらかした経験のある私からのお願いです。
・選挙の結果についてですが、これまではあまり投票に行ったことのないような、十代、二十代の人の斎藤氏への投票が目立ちます。たぶんですが、これまでは政治について勉強したこともなく、興味もなかった人達が、「利権に切り込み、戦う斎藤氏」というわかりやすいメッセージに共感し、政治に興味を持っての行動だったのだと思います。それはそれで、いいことなのですが、「政治ってそういうものなの?」と、おじちゃんは疑問には思います。次はぜひ、そういう陰謀論めいたドラマチックなストーリーは参考程度にしておいて、「今回の選挙の最大の焦点は何か」を意識して、誰に投票するかを決めるといいと思います。「言われなくてもわかってる、今回だってそうしたよ」ということなら、おじちゃんもにっこりです。
※そもそもSNSでの、選挙に関する情報発信は、公職選挙法的に許されるのかというのを、私は調べたことないので今は断言できないですが、「パワハラなんてなかった!」、「おねだりだって事実無根の捏造だ!」、「優勝パレードの還元だって問題ない!」、という、それこそ全く根拠のない現在確認中の情報が、拡散されたことは法的に問題なかったのだろうかと疑問に思っています。私が先日の「つぶやき」で、「今後ひと悶着ふた悶着ありそう」と述べたのはそこ。今は選挙に関しては、SNSは無法地帯。「オールドメディアに大勝利!」、と言ってますけれどそれこそ武器や暴力で政権をもぎ取るクーデターのような行為だったのではと、思わないでもありません。そんなモラルの欠如した未開な選挙活動が今後もSNSで許されるとしたら?