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長編文学小説・MとRの物語

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Mというのは、あの、三島由紀夫さんのことです。三島由紀夫さんが現代によみがえり、女子高生とともに小説を書いていく、というお話です。ファンタジーっぽいですが、純文学です。
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2018年2月の記事一覧

73「MとRの物語(Aルート)」第五章 5節 花瓶と花

「MとR日記」で書いておいた、「ハピトロピー」「ハピトロピーその2」 のようなものの片鱗を、語っておきました。 「聡子(らしき者)」の言動に矛盾があることに気づきました。 解決するいい方法がないか。なければ第四章最終節の、 書き換えが必要。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第五章 5節 花瓶と花  次の日、暗い表情のRを心配しながらも、母は先にマンションを出て駅に向かった。Rは、スクランブルエッグをのせたトーストを、無表情に咀嚼していた。腕組みをして窓の

74「MとRの物語(Aルート)」第五章 6節 冬の記念文集

残念ながら私自身は、文芸部に所属したことはないけど、 所属できてたらよかったなー、うえーい、とか空想しながら執筆。 今回は「マイルストーン(?)」的な役割のシーンなので、 少し短めです。 (目次はこちら) 学校での授業は相変わらず退屈だったけれど、Rはあくびを我慢して、理解しようとがんばった。一時限目が終わった所で、文芸部のメガネっ子がRの机の上に、一冊の本を置いた。白地に金で、「冬の記念文集」と書かれていた。 「え、これって……」 「Rさんの作品も掲載させてもらった

75「MとRの物語(Aルート)」第五章 7節 封筒の束

才能があればいつか花開くと楽観的だった私。 輝くような才能さえあれば、人生バラ色だと思っていた。 でも、そういうものじゃない。そういうものじゃなかった。 今回はそんな後悔を反芻しつつ書いてみた。 そう、これはたぶん誰もが通る道。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第五章 7節 封筒の束  放課後……。Rはリュックを背負い、校舎の中を歩いていた。ずっとよそよそしく感じていた、すれ違う生徒達の笑顔が、今は少し愛しくうらやましい。  季節はもう冬。10月から12

76「MとRの物語(Aルート)」第五章 8節 豊饒の海

たぶんこれが、事実上の「第一部・最終話」。 ちょっと煮込みすぎた気もするけど、 この凝縮された、ニツメのような、 漆のような文体こそが、私本来の持ち味なのだ!(くわっ。 (目次はこちら) その日、Rは帰宅するとすぐにノートPCを起動して、「未来の可能性」、というファイルを作り、メモ帳で開いて書き込み始めた。 私の未来の可能性  (1)ビットコインで大儲け(無理  (2)Mさんと一緒に小説を書いて大儲け(難しい?  (3)コンビニのアルバイトに復帰(これがいいかも?  

77「MとRの物語(Aルート)」終章 ゲームオーバー

ついに第一部、最終話。 これを書くために生きてきた、と 思わずにはいられない。 お付き合いいただいたみなさん。 いいねを押してくださったみなさん。 ありがとうございました! (目次はこちら) 終章  シチショウホウコク シチショウテンセイ  アラヤサウナリ マクマノメイドウ  神によってこの男の身体に叩き込まれた俺は、  こいつの謀略を辛うじて回避して、今これを書いている。  そう、右腕さえ動けば支障はないのだ。  それにしても……。  神どころかMまでも下僕とし