作業療法士、何が売りの専門職なのかあまりにも知られてなさすぎる問題
作業療法士(わたしは精神科に務めているので、精神科寄りのことを話しますが)、あまりにも作業療法士以外が作業療法士のことを知らなさ過ぎないか?
医療の専門職だけど、目の前の人の人となりやら人生を知った上で、これからどうなっていくのが良いのかだとかどんなリハビリテーション、訓練をしていくのかを考えるというその特性上、まずは人となりに詳しくなりたいがためにその裏にある心理に敏感になるし(リハビリテーションへのモチベを上げたいときとかも心理的な部分、すごく考えますね)、そうじゃなくても普通に心理的な部分には結果的に詳しいはずの作業療法士。
だからこそ病院から放デイまで職場が幅広いし、「人となりに詳しくなる」ことに特化することにより転職アドバイザーをはじめとするコンサル的な仕事なんかもやっちゃってて医療職っぽくもないし(医療行為らしいものは血圧測るとかしかできない)心理士さんともとても近いけど違うし、(そもそも臨床心理士・公認心理師との近さも理解してもらえていない現場もある。)作業療法士以外には結局何が売りの専門職なのか分かってもらえてないと思う。
臨床の最前線で働いている作業療法士さんたち、他職種は作業療法がなんなのかわかってないでしょ、、、と思った経験、ないですか?
パラレルOTやら集団ヨガやらやったりしていたら、大人数取りまとめて何かやるのがOTの売りなんだ!と思われて謎のイベントの司会を任されたり、手指のリハビリテーションで工作やってたらOTは工作が売りなんだ!と思われて季節ものの工作づくりめっっっちゃ頼まれたり…
いや、いいんすよ頼まれたならやります。やるけど。やるけど!!!
忘年会の幹事まで任せるのは違うでしょ?OTさん盛り上げ上手なんだから余興やってよ!とか、もはやそれ職種がどうとかもう関係なくないですか?OTさんは目立つのが得意だから?????注目されたほうがいい???もはや何を言っているのかわかりませんね。(というのはあくまでも個人的な愚痴ですが……)マジで本当に作業療法士以外、作業療法はなんなのかをさっぱりわかっていないではないか。
冒頭でも書いたとおり、私達は人となりを知るために、人生のリハビリテーションをするために、自ずとその心理に詳しい専門職なんです。それはその人の人生を知って、できること苦手なこと良いところを知って、これからをいかに良くするか考えて介入していくため。
そして「リハビリテーション」が何より醍醐味なわけだけど、そのためになんの仕事がどのくらいできるのか(=仕事をするための能力、IQとか巧緻性(手の器用さ)とか認知機能(脳の機能)がどんな感じかとか力がどれくらいあるかとか)を分析するスキルに長けていたり、聞きつけた困ったことにこれからの人生ではうまく対処できるように、同じ場面を作り出して練習したりするのが私達の売りなわけです。
作業療法士は説明が難しい仕事だと言われるけれど、にしてもあまりにもわかってもらえてなさすぎる。そのせいで役割として違うことをやらないといけなくなることもあるし、できることがたくさんあるのに、それが伝わってなさすぎてやらせてもらえないこともある(こっちのほうが個人的には大問題である)。
【作業療法士がするリハビリテーションとは何なのか】
精神科作業療法士だからこそやれるリハビリテーションは大きく2種類あると思っていて、1つ目は心のリハビリテーション(精神療法、病院でやってる工作とかするやつ ウジウジしたメンタルを戻すための、まずは心の状態を立て直すためのものですね)、2つ目が社会で生きていくためのリハビリテーション(SSTとか礼儀を教えるとか、そういう練習はここに含まれると思う)だと思っている。
心のリハビリテーションをしていると、季節を楽しむ気持ちを思い出してもらったり、集団生活をするためにみんなでやる行事に参加してもらったりするためのイベントを作業療法士が主催することなんかがあったりするので、これを傍から見ている人が勘違いして「作業療法士はイベントを取り仕切るのが得意なんだ!」と思われてしまい、忘年会の幹事を任されてしまうわけである。(理由はそれだけではないかもしれないが……)リハビリテーションをされている患者、利用者の層にもよるが、イベントの主催側をやってもらうことを作業療法とすることだってあるから、いつも作業療法士が大きい声を出して回しているわけではないのだが。
そもそもイベントをすることが目的なんじゃなくて、社会に帰るとかいうこと、そのためのリハビリテーションをすることが目的で結果的にイベントをやることになっているのである。そのへん、履き違えないで欲しいですね〜……
そして、2つ目に掲げた、社会で生きていくためのリハビリテーション(スキルの部分)も、現場によってはあまり作業療法士の売りとしては扱われていなさそうな気がする。
SST(ソーシャルスキル・トレーニング 社会技能訓練)なんかも、現場によってはもっと作業療法士が活躍できる現場があるのではないかと思っている。
社会で生きていくために困っていることを聞いて、その場面を再現し、どうすればいいか(精神科だとセリフとか言い方とか)次こそはとうまく行くように練習するのって、養成校の基本のキくらいで習う、ザ・リハビリテーションなことだからだ。
身体のリハビリテーションでも、例えば利き腕が麻痺してしまってコップを握れない場合、どんなシチュエーションで困っているのかを聞いたり想像したりして、できる限りその場面を再現し、一緒に練習したり、ときにやりやすくするための器具(自助具)を準備してそれを使うための練習をする。
精神科でも、色々な事情で(このあたりの説明は省くが)社会的なコミュニケーションがうまくできない、例えば怒られたときにどう答えればいいかわからない場合、「何をして、どんなセリフをどんな雰囲気で言われて怒られたのか」と「その時どんな表情で声色でなんと答えたのか」を聞きとってその場を再現し、どうすればより社会でうまくやっていけるかを一緒に考えて、具体的なセリフを修正し(「以後気をつけます、と言うとか」)、申し訳なさそうな表情にすることや目を見て話すことを改めて教え、練習する。
身体のリハビリテーションの現場の作業療法士だとこの部分が分かってもらえないことではあまり悩まないのかもしれないが、精神科のリハビリテーションをしているとこのあたりがどうも上手く分かってもらえていないのではないかと感じることがある。
作業療法士という名前からも何をする人なのかあまり伝わらない感、ありますよね……
こんなに楽しくて面白くて奥深い仕事、もっと知名度が上がってほしい……!!!
てなわけで、そもそもの目的だけでもまずは認知されてほしい、そんな思いでnoteを書いてみた。奥深くて楽しい作業療法の世界が少しでも作業療法士以外の人間に伝わりますように。