同一労働同一賃金は成り立つのか

最近よく耳にする同一労働同一賃金という言葉。

この言葉から受け取ることができるイメージは、同じ仕事をしているのであれば、同じ給与を支払わないといけないよね、といった具合だろうか。

厚生労働省の特集ページには下記のように定義づけがされている。

同一労働同一賃金の導入は、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者) と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。

どうして同一労働同一賃金のことを書こうと思ったのか。それは僕自身が日々働いていて、確かに正社員間では同じ仕事をしているけれど、パート労働者と派遣社員とはまったく異なる仕事をしている。だからこそ、同一労働同一賃金が成立するケースは本当にあるのか疑問に思ったからだ。

下記には僕の経験に基づく私見を書いていくことにする。ちなみに以下の文章では性別や国籍による違いについては記載していない。あくまで正社員と非正規労働者についてである。

僕自身がとても難しいと感じるのは、同一労働の基準だ。正社員Aと派遣労働者Bで同じ営業職に従事していて、社歴も同程度にも関わらず基本給や賞与の支給の有無といった違いがあるのであれば、もちろん同一労働同一賃金の考え方に基づいて是正すべきだろうと思う。しかし、こんなにもわかりやすいケースばかりだろうか。

例えば、上記のケースで、正社員Aには正社員に課せられる社内の定例会議への出席が求められるが、派遣労働者にはそれが課せられていないとすれば、どうだろうか? この場合、もはや同一労働とは言えないのではないだろうか? 個別のケースを見ていけば、こういった差異は山のように溢れていると思う。

厚生労働省が出している同一労働同一賃金ガイドラインには以下の記述がある。

正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者との間で賃金に相違がある場合において、その要因として賃金の決定基準・ルールの違いがあるときは、「正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者は将来の役割期待が異なるため、賃金の決定基準・ルールが異なる」という主観的・抽象的説明ではなく、賃金の決定基準・ルールの相違は、職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の客観的・具体的な実態に照らして、不合理なものであってはならない。

要するに、将来の役割期待が正社員と非正規雇用とでは異なるから賃金に差を設けているという理由ではダメで、職務内容や配置転換などの具体的な基準が明確でないといけないということだろう。

職務内容に関しては会社によっては派遣労働者や契約社員は正社員と同等の業務に従事しているケースがあるから慎重に判断しないといけないとは思う。ただ、一般的なケースを考えても派遣労働者や契約社員は転勤などの配置転換などはないはずだ。また、パート労働者と正社員を比較したとき、絶対的に職務内容は一致しないと思う。上記に述べた会議に出席することも少ないだろう。配置転換はまずありえない。

ここで僕がずっと疑問に思っていることに繋がってくる。

同一労働同一賃金が成立するケースは著しく少ないのではないかということ。特にデータを取ったわけではないので、これは僕の経験などに基づく私見になってしまうけれど。

どうして正社員、契約社員、派遣労働者、パート労働者と細分化しているかといえば、職務内容がまったく異なるケースが多いからではないだろうか?

今の段階で議論されているのは、アルバイトやパート労働者に賞与や退職金を支給しないのは違法だということだろう。これは同一待遇の話だ。確かにそれは是正すべきだとは思うが、そもそも同一労働とはという議論が抜けていると思うのだけれど、いかがだろうか?

#日記 #雑記 #仕事 #同一労働同一賃金 #労働法


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