北海道の廃線跡探訪 第56回 胆振線(4/6)北湯沢~御園間
1.ごあいさつ
ご訪問ありがとうございます。
北海道の廃線跡探訪第56回 胆振線伊達紋別~倶知安間その4 北湯沢~御園間です。
北湯沢から新大滝までは、だいたい遊歩道やサイクリングロードとなっています。
新大滝からは峠越えとなり、胆振線最長の尾路園トンネル(1,290m)があります。トンネルのほか鉄橋や橋台も残っています。
なお、これからの投稿予定路線などは、初回記事にありますので、そちらをご覧ください。
2.北湯沢~新大滝
北湯沢から優徳方は広い舗装道路となっているが、長流川を渡る手前で路盤は左手に分かれ、遊歩道となる。
第1長流川橋梁は、橋脚やガーダーもそのまま再利用され、「胆振線おもいで橋」となっている。
長流川を渡るとすぐ国道の優徳跨線橋をくぐり、新大滝の手前までサイクリングロード「平成ふるさとの道」として整備されている。
優徳跨線橋の先は北湯沢駐車公園となり、すぐ社珠内川を渡る。このIビーム橋はそのまま転用されているようにみえる。
優徳は、駅前広場だったところが広くなっているだけで、駅の痕跡はない。
サイクリングロードにある、本郷1号川・2号川などの小河川の橋台は再利用されている。
サイクリングロードも大滝市街の入口あたりで終わり、その先に鉱石積込用の高架橋がある。
高架橋の先には、鉱石積込用側線のものらしいコンクリート擁壁が林のなかに見えた。
1952年11月徳舜瞥から改称された新大滝の駅構内は、宅地や平成ふるさとの道公園となっている。
公園には、ホームがあったという位置にオブジェがあるが、それ以外は何もない。
大滝村も平成の大合併により伊達市大滝区となっている。
余談だが、大滝区の名所に「大滝ナイアガラの滝」がある。
「大滝」「ナイアガラ」とくれば、「大滝詠一だ!」と思うが(思わないか)、由来に関係はないらしい。な~んだ。
ゆうもあ倶楽部さんのnoteに、名曲「ナイアガラ音頭」が紹介されています。特典につられて、ついつい買ってしまいました。
3.新大滝~尾路園トンネル
胆振線は新大滝を出ると長流川と別れ、再び山地へ入っていた。
新大滝までも上り勾配が続いていたが、いよいよ分水嶺の尾路園トンネルへ向けて、20‰を超える急勾配が連続するようになる。
大滝市街を抜けると、路盤と国道は次第に高低差がついていく。
現在の地形図でも---で表記された路盤が、尾路園トンネル手前の旧国道まで続いているが・・・。
市街から少し御園方で路盤を見つけたが、新大滝方はまったくのヤブで、御園方もヤブに埋もれかけている。
そこを歩いて行くと、落石防止柵が崩れ、路盤が落石や土砂で埋まっていた。その先はせきとめられた水が、路盤いっぱいにたまっている。
あたりを見まわすと、崩れた落石防止柵の山側に踏み分け道のようなものがあり、水たまりを回避できた。
相変わらず樹木や倒木は多いが、それほど歩きにくいというわけではなく、コンクリート造の落石覆が見えてきた。
内部をのぞくと、天井一面に蒸気機関車の煤がつき、かつての峠越えの苦闘が偲ばれた。
4.尾路園トンネル
オロエンは、尾路園(トンネル)・尾路遠(仮乗降場)、または尾路焉と、漢字表記が国鉄部内でもまちまちだった。
尾路園トンネルの新大滝方は、国道276号の旧道との踏切跡から入ったところにある。
旧国道とは信じがたい、狭い未舗装道をたどるとそれらしき地点に行くことができる。
踏切跡には、踏切警報機の基礎だったのか、大きなコンクリートの塊がころがっていた。
トンネルへ向かう路盤にはイタドリやササが密生し、見とおしもきかないほどだったので、しだいに高くなる道路から、斜面を切り通しへ下りてみた。
川のようになった路盤は歩きづらいが、ようやくトンネルのスノーシェッドを見つけることができた。
スノーシェッドの横腹からは水が湧き出し、路盤へ向かって流れ出していた。
踏切跡から新大滝方は、一応林道になっていた。たどって行くと、やがて急坂となり、分かれた路盤はヤブに埋もれていた。
尾路園トンネルの御園方も、旧国道とのクロス地点から入るが、すぐにIビーム橋の尾路園沢川橋梁がある。
こちらもヤブだが、新大滝方よりははるかにましで、立派な落石防止柵も残っている。やがて切り通しの突き当たりポータルが見えてきたが、ここにも水が溜まっていた。
5.尾路園トンネル~御園
踏切跡から反対側の御園方は林道となっていた。
昭和38年改築工事の銘板も残る擁壁も残っていたが、やがてヤブとなる。
支線一号川に沿った林道と路盤の交叉地点には空き地が拡がっている。
新大滝方は途中に落石防止柵や白樺並木もある、雰囲気のよい道だった。
この道は1.5㎞ほどで終わり、途中にあったはずの尾路遠仮乗降場の痕跡はまったくない。
御園方もすぐにヤブとなっている。
峠を下ると、尾路園架道橋がそのままの姿をとどめている。
高い築堤を新大滝方へたどると、鉄骨で組まれたがっしりした落石覆いが残っていた。
架道橋のすぐ御園方のオロウェンシリベツ川には、第2尾路園川橋梁のコンクリートの高い橋台がある。
金山の沢にもIビーム橋があった。
しかし、2019(令和元)年7月には、新大滝方の橋台が河中に倒れかかり、橋桁が斜めになっていた。
2023年5月には、橋台は完全に倒れ、橋桁も川中に落ちていた。
第1尾路園川橋梁で再びオロウェンシリベツ川を渡るが、築堤だけで橋の痕跡はなく、すぐに道道とクロスして御園に着く。
今回はここまでです。
おしまいまで読んでくださり、ありがとうございました。
次回は御園から京極へ向かいます。