北海道の廃線跡探訪 第85回 池北線(北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線)(6/10) 陸別~分線間(りくべつ鉄道)
1.ごあいさつ
ご訪問ありがとうございます。
北海道の廃線跡探訪第85回 池北線(北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線)その6 陸別~分線間(ふるさと銀河線りくべつ鉄道)です。
この区間は、ふるさと銀河線りくべつ鉄道により、動態保存された気動車での体験運転がおこなわれ、「廃線跡」ではありませんが、ご紹介します。
これからの投稿予定路線などは、初回記事にありますので、そちらをご覧ください。
2.陸別
陸別駅構内は「ふるさと銀河線りくべつ鉄道」として、銀河線廃止2年後の2008(平成20)年4月オープン、運転体験用のCR70形2輌、CR75形4輌のほか、排雪モーターカーや保線用車輌、軌道自転車も動態保存されている。
一部の気動車の塗装が傷んでいた以外、各車輌の状態は非常によく、アイドリング状態のエンジン音を聞くことができた。
駅舎側のホームを含む2線には大きな屋根が掛けられている。風雨による保存車輌の傷みを防ぐためだろうが、これからもずっと車輌を大切にしていこうとする、りくべつ鉄道の意気ごみが感じられる。
構内の線路の保守は行き届き、草1本生えていない。訪問時には、ちょうど分岐器(ポイント)に油を塗布していた。おそらく国鉄時代はもとより、銀河線時代よりもきれいなのではなかろうか。
ホームや駅名標、跨線橋もそのまま使われ(跨線橋には写真などを展示してあるそうだが、訪問時は閉められていた)、古枕木を土留めに使った島式ホームもきれいに手入れされている。
分線方には1930(昭和5)年建築の機関庫、1909(明治42)年設置の転車台も整備・保存されている。
ほかには、炭鉱の人車や炭車(1067㎜軌間に改軌!)もあるが、ちょっと銀河線のイメージとはあわないので、なくもがなという気もする。部外者の勝手な感想ではあるけれど。
運転体験には料金がかかるが、構内には運転体験中以外は自由に入れ(もちろん常識の範囲で)、機関庫や転車台の外観も見学できる。
これだけ見学して無料とはなんとも申し訳ないので、硬券入場券と記念乗車券を買ったが、それでも600円だった(切符は前回=第84回参照)。
軌道自転車を利用した「トロッコ鉄道」とはちがい、本格的な鉄道車輌を安全に走らせるためには、線路や設備の保守には比較にならないほどの大きな費用がかかるし、車輌の維持管理もたいへんだろう。
こうした困難を乗り越え、これからも「りくべつ鉄道」がますます発展してほしいと願わずにはいられない。
3.陸別~分線
陸別からも銀河線・利別川・国道242号がからみあうように進んでいく。
分線までは「りくべつ鉄道」の運転体験コースに使われ、本来の鉄道路線とは使用目的が異なるものの「営業中」。
2012年5月から開始された、当時最長の運転体験「銀河コース」は、陸別駅構内北端にある、かんさい(寛斎=金澤踏切乗降所)から百恋(まつうら踏切乗降所。「ひゃっこい」は北海道弁で「冷たい」の意味)まで1.6㎞だった。
線路が残された分線までは、特別な場合以外運転されていなかったが、2021年4月30日、陸別~分線間5.7㎞が復活、日本最長の体験運転コースとなっている。
1958年9月開業、今では「りくべつ鉄道」の終点となった分線には、かつての駅舎やホームなどはない。
しかし、体験運転「分線コース」の終点となった現在では、駅名標と短いホーム、線路の終端には気動車庫が設けられている。
「りくべつ鉄道」が分線まで復活できたのは、国道とは立体交叉し踏切もほとんどなく、大きな川を渡る鉄橋もないことも大きかったろう。しかし、分線以遠には小さいながらも利別川などをわたる橋梁が連続し、すでに建設以来100年を経た橋梁の維持も難しいため、計画当初の川上までの延長は断念されている。
今回はここまでです。
おしまいまで読んでくださり、ありがとうございました。
次回は分線から置戸へ向かいます。