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北海道の廃線跡探訪 第106回 士幌線(5/7)電力所前~糠平間


1.ごあいさつ

ご訪問ありがとうございます。

北海道の廃線跡探訪 第106回 士幌しほろその5 電力所前~糠平ぬかびらです。

この区間は糠平ダム建設による線路切り替えで、旧線と新線の両方の遺構が見られます
旧線は国道の下方ですが、新線ははるか上方になっているので、接近困難なところもあります。橋の名称も、旧線と新線、橋梁と陸橋で似たようなものが多くて、ちょっと混乱してしまいます。

なお、これからの投稿予定路線などは、初回記事にありますので、そちらをご覧ください。

2.電力所前~糠平 その1

1/5万地形図「芽登温泉」「糠平」ともに昭和51年修正に加筆

士幌線の新線は、電力所前仮乗降場からも25‰の急勾配で高さを稼ぎ、やがて糠平第1陸橋、つづいて屏風岩陸橋となる

①糠平第1陸橋 2009年8月撮影
②屏風岩陸橋 2009年8月撮影(あまりにヒドい写真なので角度を修正)

国道の鱒見トンネル入口附近から旧線の第2音更川おとふけがわ陸橋が見える
なお、その手前にあった旧線の第1音更川陸橋は、道路の拡幅のためか失われている。

第1音更川陸橋
1937(昭和12年)7月鉄道省北海道建設事務所『音更線混凝土拱橋工事概要』より

トンネル入口から分かれる旧道を行くと、上方には新線の糠平第2陸橋・スノーシェッド・下の沢陸橋が連続しているのも確認できる
※タイトル写真は国道(鱒見トンネル糠平方)から見た新線、糠平第2陸橋~スノーシェッド~下の沢陸橋。下には旧線第4音更川橋梁も見える(2013年2月撮影)。

③旧線 第2音更川陸橋 2024年5月撮影
第2音更川陸橋
1937(昭和12年)7月鉄道省北海道建設事務所『音更線混凝土拱橋工事概要』より
④糠平第2陸橋 2009年8月撮影
⑤糠平第2陸橋と下の沢陸橋の間にあるスノーシェッド 2009年8月撮影
⑥下の沢陸橋 2024年5月撮影

下の沢陸橋を過ぎると、すぐ第1糠平トンネル、第2・3糠平トンネルが連続していた。さらに第2・3と第4の間には中の沢陸橋があるが、いずれも接近困難となる

⑦第1糠平トンネル 電力所前方ポータル 2009年8月撮影

国道の鱒見トンネルを抜けると左下手に、ガーダーが撤去されアーチ部分だけとなった旧線の第4音更川橋梁がある

⑧旧線 第4音更川橋梁 2023年10月撮影
⑧同 河原から望む 2014年9月撮影
旧線 第4音更川橋梁
1937(昭和12年)7月鉄道省北海道建設事務所『音更線混凝土拱橋工事概要』より

3.電力所前~糠平 その2

1/5万地形図「糠平」昭和51年修正に加筆
国道が大幅に変わっている糠平ダム附近 国土地理院HPの現況地図に加筆

士幌線は糠平ダム堤体建設予定地を通っていたので、仮線を設けていた。仮線はダム堤体の手前で急カーブし、トンネルを抜け、まだ湛水前のダム湖(糠平湖)にあった糠平へ達していた

中央が建設中の糠平ダム 右に仮線とそのトンネルが見える
1956年7月電源開発(株)発行『糠平ダム』より

雑誌連載取材時に参照したHPには、現存しているとあったが、当時は見つけられなかった。

ダム工事中の写真から推定して探ってみると、旧国道から行くしかなさそうだったので、現在車両通行止めとなっている国道を歩いてみた。

道路からはかなり下方になるが、幸いなことに斜面はそれほどきつくなく、ヤブでもなかった。樹木につかまりながら下まで降りると、路盤跡すらわからない。崖崩れでもあって埋まったかと半ばあきらめたとき、樹林の奥にそれらしきものが見えた。

⑨仮線トンネル 2024年5月撮影

切り通しのようになったところを近づくと、確かに仮線トンネルらしい。なぜか扉が少し開いていたが、内部は当然ながら密閉されていた。それなら扉はいらないと思うが、倉庫にでも転用するつもりだったのだろうか。

⑨同 2024年5月撮影

振り返ると、国道の糠平大橋が見える。これなら、橋上から見えるのではないかと思ったら、案の定、歩道からは見えた(車道からは見えない)。な~んだとちょっとガッカリした。

⑩糠平大橋から見た糠平ダムと仮線トンネル(右下) 葉が茂ると見えないだろうが・・・
2024年5月撮影

帰りは路盤跡らしきところから、林道に出た。
帰宅して確認すると、どうやら旧線跡らしい。国道の築堤が見えたので、そこから直登して戻る。

⑪仮線か旧線の路盤跡 2024年5月撮影

国道の糠平跨線橋の下、電力所前方には第4糠平トンネル、糠平方には第5糠平トンネルがあるが、ともにコンクリートでふさがれている。両トンネルの間には、第1糠平沢橋梁の橋台もある

⑫第4糠平トンネルの糠平方ポータルと第1糠平沢橋梁の橋台 2009年8月撮影
⑬第5糠平トンネル 電力所前方ポータル 2009年8月撮影

国道から遊歩道になっている旧国道へ入ると、糠平湖に沿った路盤が見え、第5糠平トンネルの糠平方も旧国道から行くことができる

⑭第5糠平トンネル 糠平方ポータル 2009年8月撮影
⑮途中にあった小橋梁 第4糠平沢橋梁? 2009年8月撮影
⑯第5糠平トンネルから糠平方の路盤 2009年8月撮影

不二川橋梁も両側の橋台を残すだけになっているが、渡ったところにある第6糠平トンネルは鉄網で閉じられ、トロッコに使われている軌道自転車の車庫?になっていた。

⑰不二川橋梁の電力所前方橋台 2009年8月撮影
⑱第6糠平トンネルの電力所前方ポータル 2009年8月撮影
⑱第6糠平トンネルを出て不二川橋梁を渡るキハ40+キハ12 1980年1月撮影
⑲第6糠平トンネルの糠平方ポータル 角材のレールが敷かれている 2009年8月撮影

やがて士幌線の路盤が近づき、トンネルから士幌駅跡へと軌道自転車を利用したトロッコのための線路が敷かれている。レールは太い角材で、途中から鉄レールになっている。

⑳路盤に敷かれたトロッコの線路(木製レール) 2009年8月撮影

レールは太くて立派なものを使っているが、長さは短く、曲線もおせじにもスムースとはいえず、枕木の間隔も広いから、国鉄線路というより、森を走るトロッコにふさわしい雰囲気になっている。

㉑トロッコの線路(鉄製レール) 2009年8月撮影

4.糠平

糠平駅跡には上士幌町鉄道資料館が建てられている

㉒糠平駅跡に建つ上士幌町鉄道資料館 2023年10月撮影

ここには現役当時の写真をはじめ、士幌線関係資料が充実している。
レール文鎮や絵葉書などの記念品もあり、アーチ橋の詳しい情報も入手できる。

上士幌町鉄道資料館で販売されている散策地図(部分)
 2002年版なので今は変わっている可能性あり
貴重な資料も復刻販売されている

構内には車掌車ヨ4843や踏切などが保存されている
その横には客車用の台車TR11もあるが、上士幌駅跡の交通公園にあったオハ62の台車だろうか。

㉒保存されているヨ4843 レタリングがちょっと残念 2023年10月撮影
㉒同 TR11 2023年10月撮影

敷き直された線路では軌道自転車を前後につけたトロッコが運行され、腕木式信号機とあいまって営業当時を感じさせていた。

㉒腕木式信号機とトロッコの線路 2023年10月撮影

休日には、資料館・トロッコともに盛況だったが、トロッコは現在運行されていない。

㉒線路上を走るトロッコ(軌道自転車) 2009年8月撮影
㉒ありし日の糠平駅のキハ12+キハ40 すでに糠平~十勝三股間はバス代行だった
1980年1月撮影

今回はここまでです。

おしまいまで読んでくださり、ありがとうございました。

次回は、糠平から十勝三股とかちみつまた向かいます。


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