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北海道の廃線跡探訪 第86回 池北線(北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線)(7/10) 分線~置戸間


1.ごあいさつ

ご訪問ありがとうございます

北海道の廃線跡探訪第86回 池北線(北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線)その7 分線ぶんせん置戸おけとです。

分水嶺でもある池北峠を越えるこの区間は、利別川としべつがわや緑川に橋台が残り、小さな鉄橋がところどころにあります。

これからの投稿予定路線などは、初回記事にありますので、そちらをご覧ください。

2.分線~川上かわかみ

1/5万地形図「小利別」平成8年第2回編集に加筆

分線を出た銀河線はすぐ国道の分線跨線橋をくぐる。
上から見ると、路盤には樹木が生え、確たる位置さえよくわからなくなっていた。

①分線跨線橋から川上方を望む 2017年9月撮影

ここから川上まで4個所の利別川橋梁はすべて撤去され、第14~16利別川橋梁は一部に橋台の基礎があるだけとなり、途中から路盤には送電線柱が建てられている。

②第15利別川橋梁の橋台基礎? 2017年9月撮影
②第15利別川橋梁跡から分線方を望む 2017年9月撮影

第15と第16の間には、赤いガーダー橋の第16利別川避溢ひいつ橋梁が架かっているのが国道から見える。

③第16利別川避溢橋梁 2017年9月撮影

最も川上方の第17利別川橋梁には分線方の築堤擁壁といかにも頑丈そうなコンクリートの橋台がある。
その先にはガーダー橋の新川橋梁が残り、停車場接近標や87kmの距離標も立っていた。

④第17利別川橋梁の分線方橋台 2017年9月撮影
⑤新川橋梁 2020年9月撮影
⑤新川橋梁附近の路盤 川上方を望む 右に停車場接近標がある 2020年9月撮影

2.川上~小利別しょうとしべつ

1/5万地形図「小利別」平成8年第2回編集に加筆

川上は廃止後も残っていた駅舎はなくなったが、ホームと駅名標の枠、駅前広場には木製のモニュメントも残り、まだケーブルも張られている通信柱が立っている。
2023年には工事現場事務所が置かれ、ホームや路盤のあるあたりは立ち入り禁止にされていた。

⑥川上駅跡に残るホーム 2017年9月撮影

川上からも路盤には送電線柱と銀河線の通信柱が並んでいる。第18利別川橋梁には川上方にコンクリートの橋台がある。

⑦中央が送電線柱、右が銀河線の通信柱 川上方を望む 2017年9月撮影
⑧第18利別川橋梁の川上方橋台 2017年9月撮影

国道の深雪跨線橋の手前には野地川橋梁の橋台があるが、最後の第19利別川橋梁は完全に撤去され、川岸には橋台もろとも崩された築堤の断面だけが見えていた。

⑨野地川橋梁の橋台 2022年5月撮影

路盤にはあいかわらず送電線柱・鉄塔が建っているが、ところどころ管理用道路にもなっている。

⑩国道の深雪跨線橋から小利別方を望む 2017年9月撮影

銀河線は国道に近づき小利別市街に入る。
すっかり寂れた市街には廃屋が目立ち、人影はない。

駅舎は通常、線路に沿った長方形だが、小利別駅舎は直角に延びているのが珍しく、一瞬、路盤の位置を錯覚してしまう。

⑪元小利別駅舎 ホーム側から望む 2023年10月撮影

コミュニティーセンターを併設した素敵なデザインの駅舎は、待合室に銀河線の時刻表が掲げられ、入口の駅名板もそのままだったが、公衆便所の入口も兼ねている階段に生えていたコケが、利用者の少なさを物語っていた。

⑪入口にある駅名板もそのまま 2017年9月撮影(タイトル写真も同じ)
⑪待合室に残る銀河線の時刻表 2023年10月撮影

駅前広場には気温を表示するモニュメントもあり、広場の反対側の国道にあるバス停とは、路盤を横切ってつくられた通路で結ばれている。

構内は一面草地になっているが、そのなかに下りホームが残り、川上方のホームの端から太陽光発電施設になっている。
置戸方の元構内にも太陽光発電パネルが置かれ、路盤も消失している。

⑪小利別駅跡に残る下りホーム 2022年5月撮影
⑪国道への通路から置戸方を望む 2017年9月撮影

3.小利別~置戸

1/5万地形図「小利別」平成8年第2回編集に加筆

小利別を出ると、2017(平成29)年10月に陸別小利別インターチェンジまで開通した十勝オホーツク自動車道をくぐる。
ちょうどその下の小利別川には北越川橋梁のコンクリート橋台が残っていた。
暗がりにある、打ち棄てられた鉄道の古い橋台と、明るい日差しに照らされた自動車道路の真新しい高架橋は、北海道の地方交通の現実を思い知らされる光景だった。

⑫小利別川に残る北越川橋梁の橋台 上に高速道路の高架橋が架かる 2017年9月撮影

銀河線は、釧路国と北見国、陸別町と置戸町の境である池北峠を越える。
ここで見かけた北見発陸別行きのバスは乗客皆無だったから、やはりこの区間の往来は昔も今も少ないのだろう。

路盤は少し離れて国道とほぼ並行しており、途中の釧北川には、羆川ひぐまがわ橋梁という恐ろしい名の橋があり、かつて作業道として使われたのか、枕木の残るガーダー上に板を渡してクルマが通れるようにしてあった。

⑬釧北川に架かる羆川橋梁 2023年10月撮影
⑬ガーダー上に板が敷かれている羆川橋梁 2017年9月撮影

ほかにも函渠の清水川橋梁が残っており、この前後も作業道として使われている。

⑭清水川橋梁 2020年9月撮影
⑭清水川橋梁から置戸方を望む 2020年9月撮影
1/5万地形図「小利別」平成8年第2回編集に加筆

分水嶺を越えると、利別川流域から緑川流域へと変わり、第1~4までの置戸川橋梁があり、それぞれレンガやコンクリート製の橋台が残っていた。

⑮第1置戸川橋梁の橋台 2022年5月撮影
⑯第2置戸川橋梁の橋台 2022年5月撮影
⑰第3置戸川橋梁の橋台 わかりづらいが両側とも残る 2022年10月撮影
⑱第4置戸川橋梁の橋台 2017年9月撮影

路盤は作業道として使われている(使われた?)らしく、橋台を避け川中をクルマで横断できるように築堤が崩されている。

川名は緑川だが、国鉄(橋台についている銘板や路線図)では置戸川橋梁となっている。

第3置戸川橋梁の手前には大熊川橋梁があり、ここには川はなく、作業道は橋台を避け曲がっていた。

⑲大熊川橋梁の橋台 2022年10月撮影
1/5万地形図「小利別」平成8年第2回編集「留辺蘂」平成7年第2回編集に加筆

山間部を抜けると、路盤はしばらく伐採地への作業道となり、その先も送電線の管理用通路となっているのか、置戸市街の手前まで轍のある未舗装道となっている。

⑳作業道となった区間 置戸方を望む 2020年9月撮影

第1常呂川橋梁の手前で路盤は途切れ、橋の跡もない。

㉑置戸方から第1常呂川橋梁跡を望む 対岸に築堤の断面が見える 2017年9月撮影

常呂川を渡るとすぐ広大な貯木場跡となり、びっくりするような外観の網走中部森林管理署が建っている。

㉒広大な貯木場跡 宇宙船のような?建物が森林管理署 置戸方を望む 2017年9月撮影

市街の路盤は草刈りのされた空き地となり、線路が姿を現すと置戸駅舎が見えてくる。

㉓置戸市街の路盤 小利別方を望む 2017年9月撮影
㉓元置戸駅構内手前から現れる線路 2017年9月撮影

今回はここまでです。

おしまいまで読んでくださり、ありがとうございました。

次回は置戸から訓子府くんねっぷ向かいます。

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