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北海道の廃線跡探訪 第48回 松前線(2/4)湯ノ里~茂山トンネル間
1.ごあいさつ
ご訪問ありがとうございます。
北海道の廃線跡探訪第48回 松前線木古内~松前間その2 湯ノ里~茂山トンネル間です。
千軒~渡島福島間の一部は、ハイキングコース「殿様街道」として、松前線跡が組みこまれ、通行できるように整備された鉄橋があります。
松前線跡のハイライトともいえるところです。
なお、これからの投稿予定路線などは、初回記事にありますので、そちらをご覧ください。
2.湯ノ里~千軒
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湯ノ里を出ると、路盤は国道228号まで舗装道路となっているが、なぜか国道手前からクルマは通行禁止となる。
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国道の踏切には痕跡なく、その先の第1知内川橋梁には湯の里方の橋台だけが残っているが、路盤は2m近くもあるササヤブとなり、近づくのはたいへん難儀する。
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橋を渡った先は国道の対岸になり、福島町へ入る。
第2知内川橋梁も撤去されているが、川原から見上げると、湯ノ里方に橋台跡らしきものが確認できる。
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ヤブとなった路盤は次第に国道に近づきクロスしていたが、踏切の跡すら定かではない。
国道と並行している綱配川橋梁は、千軒方には橋台があるが、湯ノ里方にはなにもなかった。
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1972(昭和47)年3月、碁盤坂から改称された千軒は、広々とした空き地となり、前後の路盤も明瞭に確認できる。
湯ノ里方には構内監視台?が残り、大きな木の根元には、「千軒駅跡」と書かれた小さな立札も建てられている。
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この先の第3知内川橋梁で再び知内川を渡る。ここも猛烈なヤブとなり、とても近づけないが、航空写真を見るかぎり、撤去されている。
3.千軒~福島トンネル
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松前線は知内川を渡ると、大千軒岳登山口への町道を横切り、福島トンネルへ入る。
道道踏切跡の渡島福島方の路盤には、背の高いササが生い茂り、横の作業道からも細流のため近づけず、第3知内川橋梁までは行けなかった。
踏切跡には「殿様街道・観察林の案内図」という看板があり、赤い矢印で左側が「殿様街道入口」とある。
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トンネルまで「殿様街道」として整備されたのかと期待して行ってみたが、ほどなく草木に覆われるようになり、切り割りになったところには倒木さえある。
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「殿様街道」という名前にそぐわない整備状態だとは思ったが、突きあたりにスノーシェッドがあり、その奥にコンクリートで塞がれたポータルが見えた。
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あらためて「殿様街道」の看板を見ると、案内図に「旧国鉄鉄橋跡」とあり、ルートはそこを渡るように描かれている。これは福島トンネルの先にある鉄橋群に違いない。さらにトンネルのような表示もある。「跡」というからには架け替えている可能性もあるが、「所要時間約3時間」とあるので、とにかく行ってみることにした。
しかし、福島トンネルの手前にはそれらしき道が分かれているようすはなかった。あたりをうかがうと、町道の少し左手にヤブが刈られているところがあった。入口を示す矢印は「左の道を行け」ではなく、「もっと左手にある」ということなのだろうか?
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実際に歩いてみると、案内図はあまり正確でないうえ、分岐点にも案内標識がないところがあったが、迷いつつも、松前線跡の方向を明示した標識がある頂点までたどり着くことができた。
頂点からつづれ折りを一気に下ると、木々の間から鉄橋の赤いガーダーが見えてくる。
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4.福島トンネル~茶屋沢トンネル
谷には原形を保った茶屋沢橋梁と塞がれた福島トンネルのポータルがあった。ここのポータルは路盤に対して斜めになっている。
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鉄橋のたもとにある説明板に「茶屋トンネル」とあるのが、福島トンネルのことで、松前線の廃止年月日は運行最終日となっている。
福島トンネルを通行できればここまで15分もかからないと思うが、苦労した分だけ喜びも大きい。
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鉄橋そのものは営業当時と変わっていないようだが、線路は撤去され、保守用通路を渡ることになっている。
手すりもついている通路の床板は鉄網だから、足元から直下の地面が丸見え。手を加えず保存されているのはいいが、高いところが苦手な者にとってはあまり通りたくない。鉄網が破れたり下がったりしたところをきちんと補修してあるのもかえって不気味。もちろん、人が落ちるほど大きく破れることはないとわかってはいるけれど。
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茶屋沢・深雪沢の二つの橋梁を渡ると、茶屋沢トンネルがあるが、ここもコンクリートで塞がれている。
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ここから「殿様街道」は福島川の川原へ下りるようになっている。
川原を下流へ向かうと、茶屋沢トンネルと茂山トンネルの間にある第1福島川橋梁が青空に映えているのが見えた。
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茶屋沢トンネルの渡島福島方へは山裾をよじ登って行くしかない。それほど急でもないので、木々につかまり慎重に登り、見ることができた。
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第1福島川橋梁を渡るとすぐ茂山トンネルのはずだが、どうも見えない。
この鉄橋にも保守用通路があり、まだしっかりしているように見受けられたが、茶屋沢橋梁を渡るのでさえビクビクしているのだから、それより長く(142m)はるかに高い鉄橋を渡る勇気はとてもない。
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後日、渡島福島方から出直し、茂山トンネルも斜面を登り確認できた。
ポータルを塞いだ淡緑色の鉄板も錆つき、鉄橋には木が覆い被さったうえ、一部はガーダーを突き抜け、どちらも廃止後の年月を感じさせた。
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「殿様街道」は、尾根筋のアップダウンを繰り返し、頂点に上ってから一気に谷底近くまで下るので、登山とちがい、行きは苦しくても帰りは楽ということはない。しかし、遠くに大千軒岳も見え、廃線跡を別にしても、手軽なハイキングコースとなっている。
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毎年、春と秋には福島町観光協会が、「殿様街道探訪ウォーク」を開いているが、鉄橋やトンネルを見るだけなら、渡島福島方から途中まで林道を行き、その終点から福島川沿いをさかのぼった方が、「殿様街道」を上下するより、はるかに近くて楽。ただし、案内標識などはなく、道ばたに「殿様街道」とかろうじて読める標識が、朽ちて倒れていたほどで、手入れはあまりされていない。
今回はここまでです。
おしまいまで読んでくださり、ありがとうございました。
次回は茂山トンネルの渡島福島方から渡島吉岡へ向かいます。