
北海道の廃線跡探訪 第29回 羽幌線(5/7)天塩有明~豊岬間
1.ごあいさつ
ご訪問ありがとうございます。
北海道の廃線跡探訪第29回 羽幌線留萠~幌延間その5 天塩有明~豊岬間です。
なお、これからの投稿予定路線などは、初回記事にありますので、そちらをご覧ください。
2.天塩有明~天塩栄

天塩有明から路盤は農地化され、痕跡はなくなっている。
セタキナイ川橋梁の跡もなく、再び丘陵地帯に入っていく。
羽幌~幌延間は、力昼~古丹別間のような峠越えはないが、勢滝内トンネルを皮切りに、短いトンネルが10(実質は9)もある。
以前はイタドリをかきわけながらようやく到達した勢滝内トンネルへは、踏切跡からトンネル手前までの路盤が、土取場への作業道に使われたらしく、容易に行けるようになっていた。
戦後に開通した区間だから、コンクリート製のポータルや内部もまだしっかりしている。

全長130mのトンネルは、反対側の明かりがはっきりと見える。足元はバラストがそのままなので歩きづらいが、難なく出られた。
天塩栄方は切り通しになっているため、湿気が多いのか、ポータルはコケ蒸し、ツタがからまり、上からも樹が垂れさがっている。

天塩栄にも何もないが,、路盤はきれいに残っている。
初山別方はヤブとなり、天塩有明方はクルマも通れる伐採地への作業道となっていたが、勢滝内トンネルまでは行けなかった。


3.天塩栄~初山別

天塩栄から、路盤は一部が作業道となっているほか、ほとんど放置状態になっている。
初山別手前の初山別トンネル(270m)は、接近できる道路がないので、並行する国道から路盤を目指して下りていく。

路盤の上はそれほどひどいヤブではなく、ほどなくトンネルのポータルに出会うことができた。
擁壁には「1954-10」の刻印もある。

ここもしっかりしており、直線だから、反対側の明かりもはっきり見える。通ってみると、初山別方はひどいヤブだった。

初山別川橋梁は、手前に少し築堤が残るだけで跡形はない。初山別方の築堤は崩され、宅地化されている。

道道448号を跨いでいた架道橋もなく、そこから路盤は道路化されている。
初山別駅跡はバスターミナルとなり、ちょうど代替バスが到着、降りた人が2人いた。


あたりは住宅や公共施設が建ち並んでいるが、国道沿いとは対照的に静けさにつつまれている。
4.初山別~豊岬

初山別~遠別間は羽幌線で最後に開通した区間となる。
初山別市街の路盤は道路となり、茂初山別川橋梁で川と道路を一気に跨いでいたが、ここにも痕跡はない。
この先で日本海すれすれに出て、羽幌線のハイライト、初山別陸橋に差しかかる。

初山別陸橋は、上掲写真のように、国道から見ると、その存在感はスゴかった(圧迫感があって、うっとうしいという人もいるだろうが)。
残しておいてくれたら、初山別村の名所になったかもしれないなどと、つい妄想してしまう。
現在、初山別陸橋自体は姿を消し、国道が拡幅されているが、国道から離れていく北側の築堤とそれに続く金駒内川橋梁は健在。

金駒内川橋梁だけでも9本の橋脚があり、現存する旧羽幌線最長の橋梁のはずで、2023年にも変わりなく、残っている。


羽幌線はここから金駒内川支流の沢づたいに内陸へ向う。
金駒内トンネル(455m)へも接近できる道路はないので、南明里の踏切跡からトンネルを目指す。

踏切から豊岬方の築堤はヤブになっているが、初山別方のトンネルへ向かう路盤は、農地への作業道なのか草もまばら。

しかし、そのうちヤブが行く手をさえぎる。7月で暑いうえにアブやヤブ蚊に攻撃され、イタドリにツルや樹木も加わって、きわめて歩きづらい。
クマ避け鈴を鳴らしながら進み、ようやくポータルに対面できた。

入口を塞いだベニヤ板は都合よくはがされ、全長46mあまりと短いので、ここも向こう側の明かりが見える。
キャップランプで足元を確認しつつ入ると、内部は涼しく、アブも来ないので、別天地の感がある。内部には83kmの距離標があった。

初山別方に抜けると、豊岬方にもまして濃密なヤブだった。

トンネルを出た羽幌線は再び海岸へ向かい、豊岬の手前で風連別川を渡る。橋のあった近くまで行ってはみたが、猛烈なヤブにはばまれ、川面を見てみたが何も残っていないようだった。
再び国道と近づいたところにあった豊岬の旧構内は土場になり、原木が積まれている。

駅前通に面したところには、鉄道官舎らしきブロック造の住宅が、半ば草に埋もれていた。

今回はここまでです。
おしまいまで読んでくださり、ありがとうございました。
次回は豊岬から遠別へ向かいます。