北海道の廃線跡探訪 第100回 渚滑線(2/3)上渚滑~濁川間
1.ごあいさつ
ご訪問ありがとうございます。
北海道の廃線跡探訪 第100回 渚滑線その2 上渚滑~濁川間です。
この区間もあいかわらず路盤の痕跡は少なく、ところどころに橋台があるだけですが、上渚滑には鉄道資料室があります。
なお、これからの投稿予定路線などは、初回記事にありますので、そちらをご覧ください。
2.上渚滑
上渚滑は渚滑線の途中駅随一の市街で、今でも小学校や金融機関もある。
末期には唯一の交換駅だった上渚滑は、駅舎のあった中心部に紋別市役所上渚滑支所(上渚滑町民センター)が建っている。
駅があった面影はないが、奥東方は上渚滑交通公園となっている。
ここには元の位置と直角にホームと線路があるほか、軌道自転車や腕木信号機、転轍テコ、信号テコ、踏切警報機なども保存されている。
駅名標はホームに建つ鳥居形のものと、柱につける縦のもの、車寄せにある横書きのものがあり、いずれも実物らしい。
枠に細い軽便レールを再利用した鳥居形の駅名標は、すいぶん状態がよいと思ったら、文字はカッティングシートだった。それでもきちんと整備してあるのは感心させられる。
上東方にあるバス待合所にある鉄道資料室は施錠されているが、町民センターに頼むと開けてくれる。
係の女性はたいへん親切で、窓からバイクが見えたので、たぶん鉄道屋だろうと準備をしていたそうで、どうぞごゆっくり、写真もお好きなように、といってくれた。
なかには、渚滑線に関する多くの鉄道資料が展示されている。
3.上渚滑~滝ノ下
上渚滑の構内から少しの間、路盤は道路に沿ったヤブとなっているが、道路に突き当たった先は消えている。
そこからいかにも廃線跡といった未舗装道があるが、これは渚滑線営業時からある道路で、路盤転用ではない。
道道306号の踏切跡もなにもなく、その先で渡っていた渚滑川の第1渚滑川橋梁は、現地に立つと路盤や橋の位置さえわからず、農地には畦道もないので立ち入れなかった。
航空写真では橋台の有無までは確認できないが、橋自体はなくなっている。
渚滑川を渡ると新しい国道と旧道との合流点附近に踏切があったはずだが、路盤の位置さえ定かでない。
奥東手前の奧東川には上渚滑方に橋台の基礎のようなものが残り、奥東方にも小さなコンクリート塊があったが、あいかわらず路盤の痕跡はなく、奥東仮乗降場の跡もなにもない。
ここから渚滑線は細い水路に沿っていたが、路盤は畑に取りこまれている。
航空写真では上奧東川に橋が見えるので、川沿いを歩いて確かめてみると、コンクリート橋が残っていた。
撮影して満足感にひたっていたら、上流側に石積みの橋台が見えた。どうやらむこうが渚滑線で、こちらの橋は道路のものらしい。
道路も路盤と同様、完全に消失していから、なんともまぎらわしい。
この先で紋別市から滝上町へ入り、アブカウシナイ川には氷川橋梁の橋台が残っている。
国道からさほど離れていないのに、まさに森のなかという感じがした。
近年まで駅舎が残っていた滝ノ下は、駅前通りを含め一面のヤブとなり、まわりの集落もほぼなくなっている。足場のついた鉄道用の電柱が1本、駅の存在を示し、裏側の牧草地との境にはホームがかろうじて見えた。
4.滝ノ下~濁川
滝ノ下を出た渚滑線は、滝下小学校の手前で国道の南側へ移るが、踏切で曲がっていた国道は直線化され、農場への入口が斜めになっているのが路盤の名残にも思える。
路盤が農地化されているのはこれまでと同じで、五十二川(足跡川橋梁)にはなにも残っていなかったが、川岸にはほっちゃれ(産卵を終えたサケ)が横たわり、川中にも遡上したサケが群れていた。
その先の用水路にはコンクリート橋が残っており、今度は銘板もあったからまちがいない。
銘板には昭和57年10月竣工とあるから、たった2年半ほどしか使われなかったことになる。
雄鎮内仮乗降場も路盤ともども跡形はない。
やがてカーブして国道に近接、国道へ出る道路の舗装面には、線路跡がはっきり残っていた。
国道と並行して第2渚滑川橋梁を渡る。ここには雄鎮内方に石積みの橋脚の下部があるのが見えたが、濁川方は確認できなかった。
渚滑川を渡って少し行くと、濁川の手前まで網走西部森林管理署西紋別支署濁川里土場(貯木場)への道路となり、いかにも廃線跡といった雰囲気となっている。
路盤は濁川市街の手前の営林署の土場にさしかかる。
土場は太陽光発電のソーラーパネルが設置されたほかは空き地となっているが、かつての営林署関係の建物もあり、面影が感じられる。
路盤は市街地で道路に突き当たり、そこから宅地となっている。
今回はここまでです。
おしまいまで読んでくださり、ありがとうございました。
次回は、濁川から終点北見滝ノ上へ向かいます。
さて、今年も大晦日になりました。1月から始めたnoteの廃線跡探訪も今回で100回になりました。
読んでくださった皆様、スキしてくださった皆様、フォローしてくださった皆様、そしてコメントしてくださった皆様にあらためて御礼申し上げます。
生来あきっぽいのに、なんとか続けられたのも皆様のおかげと感謝しています。ありがとうございました。
どうか皆様、よい年をお迎えください。