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北海道 鉄道残照~失われた鉄道の遺産あれこれ
その21 富良野市のD51 954と根室本線廃止区間の駅(富良野~金山間)
1.ごあいさつ
ご訪問ありがとうございます。
ことしからnoteをはじめ、「北海道の廃線跡探訪」なる、国鉄地方交通線の廃線跡を主にした記事を投稿しています。
ここでは車輌や遺構のことなど、つれづれなるまま、書いていこうと思います。個人的主観で、なるべく有名でなさそうなものを・・・(今回はちがいますが)。
道東方面へ出かけるときの休憩をかねて、根室本線廃止区間の駅を訪ねてみました。最近は駅舎などをさっさと撤去してしまう例もなきにしもあらずなので・・・
2.富良野市役所横のD51
以前、「胆振縦貫鉄道のD51」の文末で、富良野市に保存されているD5105→D51 954が再塗装され、きれいになったことをお伝えしましたが、自分の目で確かめてきました。
保存場所前方の富良野市文化会館はなくなり、となりには洒落たデザインの市役所新庁舎ができていました。
さて、D51 954は・・・。より美しくなっておりました!
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全体がいっそうきれいになったのはもちろん、下まわりのロッドや動輪輪心を、保存機によくある安直な銀色塗装にせず、ていねいに磨き出しています。
錆を落として磨き出すのは、たいへん時間と手間がかかるのに、毎回しているとは、たいしたものです。
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再塗装は、塗装が剥離して下地まで腐蝕してしまってからでは、その補修がたいへんです。
富良野市では、塗装が痛まないうちに定期的に塗りかえているようです。
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野外展示でこれだけ保存状態のよい機関車はほとんどないでしょう。野外、しかも積雪地でも、きちんと手入れをすれば長期間の保存もできるという見本です。来年で廃車・保存から半世紀を迎えるとはとても思えません。
これからもずっと、この状態が維持されていくことを願っています。
3.布部駅
やっと根室本線へ。
1980年代(石勝線開業後)の資料をみてみると、富良野~落合間の駅はすべて列車交換可能でした。今さらながら、石勝線開業の影響と時代の変化を感じます。
布部駅は国道38号から少し離れた、こぢんまりとした集落の一角にありました。かつては東大演習林の森林鉄道が出ていました。
きれいな木造駅舎は営業当時と変わりないようでした。立ち入り禁止の単管の柵があるのが、現実を物語っていますが。
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44年前の写真は、周遊券使用時、富良野での列車待ち時間内に往復できる最長区間が布部だったからで、とくに布部に行きたかったのではないと記憶しています。
4.山部駅
山部駅は国道38号沿いにあります。
こちらの駅舎は、山小屋風というか、ちょっとおしゃれな外観です。
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帯広方には旧駅舎の一部が車庫として使われ、おそらく開業時からの危険品庫(ランプ小屋)も残っています。
いまでは全国的にも少なくなった貴重な建物ですから、これだけでもぜひとも残してほしいものです。
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5.下金山駅
下金山駅は国道237号沿いにありました。ここからも、かつて東大演習林の森林鉄道が出てきました。
駅舎の出入口には扉がないので、単管で柵がしてあります。正面には南富良野町がつけたと思われる(町内すべての廃止駅にある)、青い惜別プレートがつけられていますが、ここも営業当時とさほど変わっていないようです。
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駅舎はプレハブ風のもので、あまり興味がわきませんが、横にあった小さな倉庫は対照的に、模型化したいような木造倉庫でした。
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6.金山駅
下金山から金山までの線路は、鉄橋前後の単管柵がまだ設置されていないところもあり、まだ列車が走ってくるかのようでした。
金山駅は、かなやま湖からの道道465号が国道へぶつかるところにあります。
金山駅舎は、サイディングされてはいますが、大きな木造です。
昔ながらの北海道の駅舎には珍しく、待合室が左・事務室が右側にあります(逆の場合がほとんど)。
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列車交換可能駅でもあり、保線関係の車庫や事務所も並んでいます。
ここからも、金山森林鉄道が出ていました。
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ここにも山部と同じランプ小屋があります。こちらもぜひ保存してほしいと思います。幸い、富良野市(山部)と南富良野町(金山)に1棟づつだし。
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今回はこのへんで。
おしまいまで読んでくださり、ありがとうございました。
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