閉鎖病棟での生活
ぼくが初めて精神病院に入院したときは、ぼくはそこが病院だということがわかってなかった。悪の秘密のアジトくらいに思っていた。それくらい当時のぼくの頭の中は狂っていた。ぼくは隔離室に入れられた。自分の意志では部屋の外には出られなかった。広さ四畳半くらいのひとり部屋。鉄のドア。コンクリートの壁。部屋の中央あたりに和式便器。自分で水は流せない。室内に水道はない。紙コップが二つあった。食べ物は1日3回、廊下に通じる小さな窓から入ってきた。とにかく最初のうちは隔離室の外にほとんど出られなかった。ぼくは何もすることがなかったので、歌ったり、部屋の中を歩いたり、筋トレをしたり、ストレッチをしたりした。最初のうちは、朝、部屋の外に出て、廊下の水道で顔を洗って、歯を磨いた。そしてそのあと再び隔離室に入った。初めて部屋にトレイとうどんが入ってきておいしかった感動が忘れられない。そして隔離室を出て廊下を出て初めて病棟に出たときの感動が忘れられない。最初のうちは午前中だけ病棟、あとは隔離室、とか。そのうち、朝から午後3時半くらいまで病棟、とか。そしてとうとう隔離解除、隔離室を卒業して6人部屋の大部屋に初めて移ったときの感動は忘れられない。入院生活は大変だったこともあったが、楽しかったこともたくさんありすぎたので全部いい思い出だ。
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