国家と革命、について


 国家権力の奪い合いという闘争、このレーニンの国家論は、いまや虚構に陥る。なぜならば、もはや国家はあらゆる経済階層の共有物であるからである。しかしながら国家権力はそれでも、唯一の社会的属性者達にそのすべてを委ねているように見える。つまり、単一の民族と人種にである。だが、現代的デモクラシーが生ぜしめる経済的結合が喚起する民族移動は、この国家権力の基本状態を、レーニン的原理をまとった新しい国家獲得の哲学へと昇華せしめる。つまり、外国人による合法的な侵略である。

 いまや国家権力の為の闘争は、民族闘争としてか生じ得ないし、またそれは、かつてのイデオロギー闘争、階級闘争の核心の中に民族闘争の原理が内包されていたことを暴露するものでもある。

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