人体と人倫
人間がもし、その倫理の精髄たるものを確保したときには、この身体の形態が人倫にはふさわしくないことを理解できる。肉を食らい、手で武器をつくり、口で悪罵する。これよりも、人間精神に適切な表現形態はあったはず。
それは生殖でも同じことだ。もし、減数分裂の介入しない、完全な有糸分裂によって人間が生殖する存在するであったなら、人間は生殖に罪を見いだすこともなかったろう。乱倫も、性犯罪も、それどころかアンチナタリズムも生まれなかったかもしれない。
逆にこうも言える。人体があまりにも下劣で狡猾であるために、人間は我慢できずに倫理を生み出した、とも。