ショートストリー:マウイオニオンくんとマンゴロウくん
マウイオニオンくん、
1人でトッコトッコトッコと、
住宅街を歩いています。
丸い形だけど、変わった形の丸い形の
甘い香りのマンゴーを見つけました。
1人で木の下でふぅ~と、
ため息を出して、
休んでいる様子。
マウイオニオンくんは、いつものように、
はじめて逢う人にも
『こ・ん・に・ち・わぁ~』
て、大きな息をすって、あいさつしています。
きみの名まえは?
マンゴロウだよ。
ふつうに話してくれました。
でも、ちょっと元気ないみたいだなって、
マウイオニオンくんは、思いました。
だって、ぼくのように、
おおきな声で、こ・ん・に・ち・わぁ~では、
なかったから、、。
マウイオニオンくんは、聞いてみた。
どうしたの?マンゴロウくん。
今日、足が痛くて、
病院に1人で行ったんだ、、。
いろいろ検査をしてとっても疲れた。
ランチも食べている時間もなかったんだ。。。
マウイオニオンくんは、
そうか、それは、たいへんだったね。と、
マンゴロウくんの顔を見て、
病院かぁ、
足が痛いのに大変だったろうなぁ
と、想像していた。
そうしたら、
マンゴウロウくんが僕に言った。
聞いてくれて、ありがとう。
マウイオニオンくんは、びっくりした。
ドキッとした。
聞いてくれて、ありがとう。
って、言われた。
僕は、何もしていない。
ただ、君の言葉に耳を傾けていただけ。
でも、それが、あ・り・が・と・う・。
1人で不安で、身体がつらい時、
それで、たいへんだった事を言葉に出して、
聞いてくれる人がいることって、
本当は、大切な事なんだって、。
マウイオニオンくんは、
いつもお父さん、おかあさんに
今日の出来事を話している。
ココナッツくんの話、
パイナップルコちゃんの話、
ふつうにお話している。
でも、マンゴロウくんは、
今、両親のお世話をする時。
だから、自分の身体の事は、後回し。
つらくてもがまんするしかない。
やっと、今日、病院にいけたらしい。
マウイオニオンくんが
こ・ん・に・ち・わぁ~っと、
声をかけてくれたから、
ちょっと話が出来た。
このちょっとが、マンゴロウくんは、
ふぅ~とため息と同じように、
心の中がとっても軽くなったのだろうと、
思った。
聞いてくれて、ありがとう。
マウイオニオンくんは、
これから、出逢う人の話を
たくさん聞いてあげようと、思った。
聞く事ぐらい、僕にだってできる!
って、思ったから。
おしまい