幼馴染みは女の子を近づけないよう必死です
お日さまが笑っている
まさにそんな言葉が似合う朝
菅原咲月は今日も〇〇の横を死守するようだ
ー
咲月:〇〇お〜はよっ!
〇〇:お、咲月おはよう
咲月:もうっ!なんで先に行っちゃうの!
咲月:毎日2人で学校行ってるじゃん!
〇〇:まぁたまにはいいじゃんか
咲月:ダメ〜!
咲月:〇〇はわたしと行くの〜!
咲月:だから!明日も一緒だからね!
〇〇:仕方ないなぁ
〇〇:明日もってか毎日じゃん
咲月:そうだよ!〇〇とわたしはセットなの!
咲月:ハッピーセット!
〇〇:じゃあ咲月はおまけのおもちゃの方で
咲月:誰がおまけじゃい!
ー
なぜ咲月は〇〇の隣、一緒にこだわるのか
それは
幼馴染みだから
咲月が〇〇のことを好きだからである
だから〇〇の隣を守ってるのである
ー
咲月:最近さぁあったかいから冬服卒業したんだ〜
〇〇:もうそんな時期かぁ
咲月:この前入学したばっかなのにね
〇〇:1年ってあっという間だなぁ
〇〇:今年こそは全国行けるよう部活頑張んないと
咲月:大丈夫だよ隣にわたしがいるからっ!
〇〇:ありがとう咲月
咲月:ふへへ…
ー
咲月はこの関係に満足しているわけではない
しかし一歩踏み出せるわけでもなく…
他の女子を遠ざけること徹底している
ー
2人きりの登校に満足しテンションの上がる咲月だったが
和:あ!さっちゃんと〇〇くんおはよ〜!
咲月:げっ…!
〇〇は女の子と仲が良く
そして意外とモテることを思い出す
咲月:あ~…せっかくの2人きりがぁ…!
なんて思っているのは誰にも見せず
咲月:和だ!おはよう!
和:この時間に会うのなかなかないよね
和:珍しいね
咲月:今日は〇〇が先に行っちゃうんだもん!
〇〇:たまにはいいかなーって
咲月:さっきも言ったけど良くないからね!
〇〇:はいはい
和:お〜今日も仲良しなことで
咲月:へへ…
褒めには弱い咲月
和:じゃ、わたしも一緒に行ってもいいかな?
という和の要望に
〇〇:うん、いいよ
和:ありがとう!〇〇くん
和:最近思ったんだけどさ
和:さっちゃんとわたしは仲良いけどさ
和:〇〇くんとはあんまり喋ったことないなぁって思ってさ
和:〇〇くんとも仲良くなりたいんだよね
〇〇:確かに…そういえばあんまり喋ったことないね
和:だからさ!質問していい?
和:質問コーナー!
と言って和はさり気なく
わたしと反対側の〇〇の隣に並ぶ
これはまずい…
〇〇の隣はわたしだけ…
わたしも〇〇のすぐ横だけど1人で十分だもん
和には絶対に譲らないし…
〇〇と和の隙間から顔をだす
ヒョコッ
和:さっちゃんどこから顔だしてるの?
〇〇:咲月なにしてんの〜
咲月:和と〇〇の間がいいんだもん〜!
和:かわいいねぇ
咲月:へへ…
和:あっ、質問コーナー!
〇〇:忘れてた
和:えっと、〇〇くんとさっちゃんっていつから仲良いの?
〇〇:ん〜…いつだっけか?
和…絶対〇〇のこと狙ってる…
咲月:保育園の年少から!
〇〇:え、そんな前からだっけ?
咲月:もう!なんで忘れてるの!
和:〇〇くんは忘れん坊なのかな?
和:あ!じゃあさ!〇〇くんの小中学生のとき知りたいっ!
和:どんな感じだったの?
〇〇:えっと…
咲月:〇〇はね!すごい大人しかったんだよ!
和:そうなの!?
和:今とあんまり変わらないのかな?
咲月:今よりもっと泣き虫でね〜
〇〇:ちょっ!
咲月:いっつもわたしの右腕にくっついてたの!
和:えぇ!なにその〇〇くん見てみたい!
咲月:今度みせてあげる〜
〇〇:恥ずっ…
ー
咲月は〇〇と和が近づかないよう
しっかり気づかれない程度に対策している
ここからが本当の勝負
ー
ガラガラ
咲月:おはよ~!
教室に入り席に着く
咲月:美空おはよ〜
美空:さっちゃんおはよ!
美空:ねぇ!聞いて!昨日のあーやがね!
美空:めっちゃ可愛くて!
美空:一緒にケーキ食べに行ったんだけどさ!
美空:鼻にクリームつけてたんだよ!
美空:しかも天然だよ!
美空:連写しちゃったよね!
咲月:えぇ!見せてよ!
咲月:いいよ!これなんだけどね…
〇〇:2人は彩ちゃん好きだよな〜
美空:〇〇くんおはよう!
〇〇:おはよう
美空:だってこのあーやだよ!見てこれ!
〇〇:確かに…これは可愛いな
美空:あーやはほんとに可愛い!
咲月:娘にしたいよね
美空:でさっ!〇〇くん!
〇〇:ん?
美空:美空は〜?
美空:美空は〜可愛いっ?
伝家の宝刀上目遣い
咲月:なっ…!
もちろん美空もこんなことをするくらい
〇〇のことを狙っている
〇〇:……
美空:答えてよ〜!
美空:可愛い…?
あーやから〇〇へとターゲットが変わり
ベタベタと〇〇の手を触る
咲月:〇〇困ってんじゃん
美空:え〜…美空可愛くないの〜?
ベタベタ
流石にボディタッチが激しい
わたしだってそこまで触ったりできないのに…
咲月:ちょっと…美空ベタベタし過ぎ〜
咲月:別に〇〇と付き合ったりしてるわけじゃないしょ?
咲月:〇〇勘違いしちゃうよ
美空:え〜?でも咲月も〇〇くんと付き合ってないでしょ〜
美空:いいじゃん!
美空:別に勘違いされてもいいし〜
美空:可愛いって言って〜!
〇〇:……可愛い…
美空:えぇ!照れた〇〇くん可愛い…!
咲月:お〜い!ダメダメ!
咲月:イチャイチャするんじゃないよ!
咲月:まだ午前中だし!接触禁止!
咲月:〇〇も美空に耐性なさすぎデレデレするなぁ!
咲月:ほら授業始まる!
咲月:美空帰りなさい!
美空:は〜い
美空:じゃ〇〇くんバイバイ!
パチッ
ウインクして去る美空に
〇〇:……
咲月:照れんなっ!
ー
ようやくお昼になる
〇〇に近づく女子を睨み返していると
そこには和と美空以外いなくなっていた
ー
美空:〇〇くん一緒に食〜べよっ!
〇〇:うん、いいよ
和:わたしも〜
咲月:〇〇はほんとに周りに可愛い子ばっかだよね!
少し不満を漏らす
〇〇:まぁ〜そうだね
美空:え?可愛い?
〇〇:うん…
和:ほんとに恵まれてるね
咲月:ね!和に美空にね!
〇〇:あと咲月もね可愛い
咲月:えぇ!?
〇〇:え?可愛い待ちじゃなかった?
咲月:そうだよ!可愛い待ちだよ!
そんなこんなで3人が〇〇の隣を密かに
争奪戦していると
奈央:〇〇せんぱ〜いっ!
奈央:遊びに来ましたよ〜!
と元気な子が
咲月:ん?この子は?
〇〇:奈央だよ
〇〇:部活の後輩、マネージャーしてるの
咲月:へ〜
和:可愛い子だね
美空:ほんとだ
奈央:〇〇先輩一緒にいいですか〜?
〇〇:いいよ、どこ座る?
咲月:椅子ないね
奈央:椅子ならありますよ!
奈央:〇〇先輩のお膝〜!
咲月:え!?
和:奈央ちゃん!?
美空:大胆!
〇〇:お〜奈央身長でかいからお弁当見えないわ
奈央:むっ…気にしてるのに…
〇〇:違うってスタイルいいってこと
奈央:ほんとですか?
〇〇:ほんとほんと
奈央:それなら許しますっ!
美空:ちょっと忘れてない〜?
〇〇:忘れてないよ
〇〇:奈央が視界の全てを埋めてるだけだから
美空:見えてないじゃ〜ん
和:せっかく〇〇くんに食べさせてあげたかったのに
奈央:それなら奈央を通してくれたら食べさせてあげますからね〜
このやり取りについていけない咲月
咲月:ちょっ…奈央ちゃん膝の上とか…
咲月:高校生の男女がやることじゃ…
奈央:〇〇先輩ならいいんですよ〜
奈央:ねっ〇〇せんぱ〜い?
咲月:〇〇?流石にダメだよね?
〇〇:まぁいいじゃん
〇〇:奈央だしね
奈央:えへへ…〇〇先輩分かってるぅ〜
やっぱり〇〇も男の子だし
女の子特に可愛いこの3人とは仲良くしたいと思う
だけど
〇〇が他の女の子とイチャイチャしてるところなんか見たくない
〇〇:ちょっ奈央お弁当見えないわ
奈央:え〜もう仕方ないですね〜
奈央:食べさせてあげますよ〜
〇〇:え?それ奈央のじゃん
奈央:いいんですよ黙って食べれば〜
〇〇:むぐぅ!
奈央:ふへへ…リスみたいですね〜
〇〇:むぐもごぉ!
奈央:なに言ってるんですかぁ?
美空:ちょっと奈央ちゃん!イチャイチャしすぎだよ!
奈央:部活前の部室でもこのくらいやってますよ〜
奈央:意外と〇〇先輩受け入れてくれますからね〜
奈央:今度みなさんもやるといいですよ〜
絶対に〇〇は譲らない
その闘志を胸に
咲月は〇〇の足を思い切り踏みつけた
ー
帰り道
他の人には邪魔されない2人きりの時間
〇〇を独占できる時間
咲月:ねぇ公園寄ってこ!
〇〇:公園?まぁいいけど
公園に向かう道中
美空は今日スキンシップが激しかったなと思い出し
〇〇の左腕に掴まる
〇〇:咲月!?
咲月:ん〜?恥ずかしいの?
咲月:昔は〇〇からくっついて来てたんだよ?
〇〇:でも…もう高校生だし…
咲月:奈央ちゃんもこのくらいの距離だったよ?
〇〇:まぁ…それなら
新技上目遣いもしてみたり
咲月:昔と身長が逆転して可愛さ倍増したかな〜
咲月:どう?〇〇?
〇〇:…可愛いよ……
咲月:照れんなっ!
歩いていると〇〇が
〇〇:他の子といるのも楽しいけど
〇〇:やっぱり咲月といるのがなんかしっくりくるよな〜
咲月:えぇ…
〇〇:咲月は絶対に隣にいるって感じ
〇〇:いつもありがとね
咲月:…急にどうしたの…?
〇〇:なんとなく?
そこから公園に着くまで
感謝と褒め言葉の強制シャワー
プールの授業前のあの冷たくて逃げたくなるのじゃなくて
まだ浴びたいような心地いいような
公園について
咲月:あっ!ブランコ!
咲月:久しぶりに見た〜!
咲月:乗ろ!
〇〇を先に座らせ
膝の上に座る
〇〇:え!?咲月?
咲月:いいじゃんわたしだもん
〇〇:まぁいいか?
意外と受け入れてくれるみたい
2人乗りだからスピードは出さない
咲月:質問コーナー!
〇〇:ん?
咲月:和もやってたやつ!
咲月:〇〇に質問!
〇〇:なに〜
ブランコを止め対面する
真剣な表情
〇〇:どうしたの咲月?
咲月:どうしたら〇〇の隣にいれるかな?
〇〇:え?
〇〇:もういるじゃん
咲月:そうじゃなくてさ
咲月:もっと
咲月:なに…?こう…
咲月:特別っていうの…?
咲月:ただ隣じゃなくてさ
〇〇:?
咲月:もうっ!
夕日で重なった影は
全くの1つになる
〇〇:さ…咲月…?
咲月:こういうこと!
咲月:だからね…?
咲月:〇〇は!
咲月:どうなのかなっ…て…
〇〇:ぼ、僕は…
〇〇:ずっと前から、さ…
〇〇:咲月が好き…
咲月:ほんと…?
〇〇:うん
咲月:ちなみにいつから…?
〇〇:泣きながら抱きついてた頃から…
咲月:そんな前から…!?
〇〇:恥ずかしいな…
〇〇:ちょっと…仕切り直して
〇〇:咲月にはずっと隣にいて欲しい
〇〇:永遠に僕の隣にいて下さい
公園を出て隣を歩く
咲月の右腕と〇〇の左腕が絡まる
笑っている
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